一穂ミチさんの本は初めて読みましたが凄く読みやすく、かつ物語に引き込む力も強くて、どのお話も面白かった。4つ★半
最近読んだ作家さんの中でもトップクラスに良い印象です。
BLの作家さんとして長く活躍されて来た方だそうですけれども、他のお話も是非読んでみたい!って思いました。
スモールワールズ 6編の短編集。
「ネオンテトラ」 「魔王の帰還」 「ピクニック」 「花うた」 「愛を適量」 「式日」
注意 ★ 以下ネタバレであらすじ書いてます ★
ネオンテトラ
なかなか子供を授からず34歳になったモデルの女性。夫は浮気をしている。
ベランダからある日、父親が息子をひどく激高しているのを目撃してしまった。
姪っ子の同級生だと解る。コンビニでその少年に近づき、お腹が空いている彼にちょっと何か食べ物をあげたり・・と、なんとなく不思議な関係になる
オチがどうなるかと思いきや、なんと姪っ子と少年が留守中の彼女の家で会って関係を持っているのに気がつき、そういう機会を沢山持つようにしむけて妊娠してしまったのを手助けし、その赤ちゃんを自分の養子にしてしまう。
その娘は現在幼稚園。とても可愛く生きがいになっている。
そして、その少年がバイク事故で亡くなった事をある日聞く・・・。
魔王の帰還
ガタイが良い姉が出戻って実家にやってきた。(このお姉さんがめっちゃ良い人だなあ!!)
弟は元高校球児だったが現在は金髪に真っ黒い肌でガタイがよく威圧感からか学校で浮いている。
同じクラスの菜々子も浮いていて、彼女はヤリマンとか言われている。実際は家庭の事情で(母親の再婚相手が手を出してきて、それを拒否したんだけど、、、母親が男と別れたくなくて、むしろ彼女が誘ったからと言ったなんて、酷い母親でビックリ。それで祖母の処で住み駄菓子屋を手伝っている。金魚取り選手権に3人で出る事にする。
どうして姉が離婚することになったのか追跡したら、夫が難病で体の自由がだんだん効かなくなってしまうから、彼の方から泣いて別れてくれと言われたんですね・・・。
ピクニック
ちょっと留守にして母と生後10ヶ月の孫だけにした間に孫が亡くなってしまう。
調べたところ、虐待の疑いがあると母は逮捕されてしまい、しかも昔母は生まれたばかりの赤ちゃんだった次女を亡くしていた事が解る。
昔の事件は、なんと主人公が妹を抱っこしようとした事がきっかけだったとは。そして母はその時の体験?で、どうもおかしな行動を無意識に?取ってしまったってことでしょうかね。このお話だけ、ちょっとオチが、ん???って思いました。
花うた
兄を殺され天涯孤独になった深雪と、加害者で服役中の青年・秋生の文通。
文通の途中で秋生がとある服役者に暴力をふるわれて脳障害になってしまったみたいで・・・記憶がおかしなことになっちゃいました。
その後結婚して・・・。最後は病気で余命僅かになった深雪から弁護士先生(お世話になった先生の息子で弁護士)への手紙。彼が秋生の身元引受人となってくれたそうです。
秋生が小学生の頃仲良くしてくれた友人のジグソーパズルの1つを持ち帰ってしまった出来事がキーになっています。
愛を適量
高校の教師。やる気無くし何とか日々過ごすだけの毎日。ある日離婚してから会わずに何年も経っている娘がやってくる。
なんと娘はほぼ男になっていた。2か月に一回会うだけの関係だったのに、なぜか最後に会った時は娘から連絡が来て、生理が来た事を辛そうに打ち明けたのだけれど、父は受け流してしっかり良い対応が出来なかった。
それっきり娘と会う事は無いままだった。まさか娘がそういう事で悩んでいたとは想像もしていなかったのよね・・・。
久しぶりに会った娘からタイで性転換手術を受ける予定であること、交際相手にお金をネコババされて逃げられたことなどを聞く。
一緒に温泉に行った後、500万円を持って娘はいなくなるが(もともと、そのお金はあげようと思っていたけど)電話で最後話す時に色々打ち明けられた。
この先生が元バスケの顧問で一生懸命になり過ぎていたことで家族も学校でも上手く行かなくなってしまった経緯が悲しい。一生懸命過度にやってあげる事が必ずしも良いとは限らないよね、確かに。
式日
定時制の高校。昼間と夜の机に座っている同士でメモをやり取りって、、すごい!これは出会いのきっかけとして素敵度が高い!
BLの作家さんとのことだけど、この先輩後輩2人の関係や様子、深層心理の描き方がとても胸に染みるものがあったなー。
先輩は後輩の事好きだったのよね。後輩はそれに段々気がついて。
なんと、後輩がネオンテトラの笙一だったんですねーー!!この式日は、時系列で言うと最初のお話の途中の出来事なのね。
4.5年経ってるってことは、事故で死ぬ直前頃だったのかな・・・。結局彼女や娘に会う事ないままだったし。
あの父親は飛び降り自殺してたのね。
スモールワールズ 一穂ミチ 2021/4/22
【2022年 本屋大賞ノミネート】
【第165回直木賞候補作】
最近読んだ作家さんの中でもトップクラスに良い印象です。
BLの作家さんとして長く活躍されて来た方だそうですけれども、他のお話も是非読んでみたい!って思いました。
スモールワールズ 6編の短編集。
「ネオンテトラ」 「魔王の帰還」 「ピクニック」 「花うた」 「愛を適量」 「式日」
注意 ★ 以下ネタバレであらすじ書いてます ★
ネオンテトラ
なかなか子供を授からず34歳になったモデルの女性。夫は浮気をしている。
ベランダからある日、父親が息子をひどく激高しているのを目撃してしまった。
姪っ子の同級生だと解る。コンビニでその少年に近づき、お腹が空いている彼にちょっと何か食べ物をあげたり・・と、なんとなく不思議な関係になる
オチがどうなるかと思いきや、なんと姪っ子と少年が留守中の彼女の家で会って関係を持っているのに気がつき、そういう機会を沢山持つようにしむけて妊娠してしまったのを手助けし、その赤ちゃんを自分の養子にしてしまう。
その娘は現在幼稚園。とても可愛く生きがいになっている。
そして、その少年がバイク事故で亡くなった事をある日聞く・・・。
魔王の帰還
ガタイが良い姉が出戻って実家にやってきた。(このお姉さんがめっちゃ良い人だなあ!!)
弟は元高校球児だったが現在は金髪に真っ黒い肌でガタイがよく威圧感からか学校で浮いている。
同じクラスの菜々子も浮いていて、彼女はヤリマンとか言われている。実際は家庭の事情で(母親の再婚相手が手を出してきて、それを拒否したんだけど、、、母親が男と別れたくなくて、むしろ彼女が誘ったからと言ったなんて、酷い母親でビックリ。それで祖母の処で住み駄菓子屋を手伝っている。金魚取り選手権に3人で出る事にする。
どうして姉が離婚することになったのか追跡したら、夫が難病で体の自由がだんだん効かなくなってしまうから、彼の方から泣いて別れてくれと言われたんですね・・・。
ピクニック
ちょっと留守にして母と生後10ヶ月の孫だけにした間に孫が亡くなってしまう。
調べたところ、虐待の疑いがあると母は逮捕されてしまい、しかも昔母は生まれたばかりの赤ちゃんだった次女を亡くしていた事が解る。
昔の事件は、なんと主人公が妹を抱っこしようとした事がきっかけだったとは。そして母はその時の体験?で、どうもおかしな行動を無意識に?取ってしまったってことでしょうかね。このお話だけ、ちょっとオチが、ん???って思いました。
花うた
兄を殺され天涯孤独になった深雪と、加害者で服役中の青年・秋生の文通。
文通の途中で秋生がとある服役者に暴力をふるわれて脳障害になってしまったみたいで・・・記憶がおかしなことになっちゃいました。
その後結婚して・・・。最後は病気で余命僅かになった深雪から弁護士先生(お世話になった先生の息子で弁護士)への手紙。彼が秋生の身元引受人となってくれたそうです。
秋生が小学生の頃仲良くしてくれた友人のジグソーパズルの1つを持ち帰ってしまった出来事がキーになっています。
愛を適量
高校の教師。やる気無くし何とか日々過ごすだけの毎日。ある日離婚してから会わずに何年も経っている娘がやってくる。
なんと娘はほぼ男になっていた。2か月に一回会うだけの関係だったのに、なぜか最後に会った時は娘から連絡が来て、生理が来た事を辛そうに打ち明けたのだけれど、父は受け流してしっかり良い対応が出来なかった。
それっきり娘と会う事は無いままだった。まさか娘がそういう事で悩んでいたとは想像もしていなかったのよね・・・。
久しぶりに会った娘からタイで性転換手術を受ける予定であること、交際相手にお金をネコババされて逃げられたことなどを聞く。
一緒に温泉に行った後、500万円を持って娘はいなくなるが(もともと、そのお金はあげようと思っていたけど)電話で最後話す時に色々打ち明けられた。
この先生が元バスケの顧問で一生懸命になり過ぎていたことで家族も学校でも上手く行かなくなってしまった経緯が悲しい。一生懸命過度にやってあげる事が必ずしも良いとは限らないよね、確かに。
式日
定時制の高校。昼間と夜の机に座っている同士でメモをやり取りって、、すごい!これは出会いのきっかけとして素敵度が高い!
BLの作家さんとのことだけど、この先輩後輩2人の関係や様子、深層心理の描き方がとても胸に染みるものがあったなー。
先輩は後輩の事好きだったのよね。後輩はそれに段々気がついて。
なんと、後輩がネオンテトラの笙一だったんですねーー!!この式日は、時系列で言うと最初のお話の途中の出来事なのね。
4.5年経ってるってことは、事故で死ぬ直前頃だったのかな・・・。結局彼女や娘に会う事ないままだったし。
あの父親は飛び降り自殺してたのね。
スモールワールズ 一穂ミチ 2021/4/22
【2022年 本屋大賞ノミネート】
【第165回直木賞候補作】
この本、凄いですよね?
作風が、全部違うのよね。一穂さんの多才さに脱帽したわ。
私は、2話目の「魔王の帰還」が一番好きだったなぁ。この姉ちゃん大好き。
一穂さんの中で、この本が一番好きです。
寒いですねー!
毎日の温度差についていけませんー。
私も2話目の魔王が気に入ってます。
後からもう一度読み返してみたら、最初の話の最後の方で、道を渡る時に止まってくれた車を運転していたのが魔王さんだったことに気がつきましたー。
それにしても一穂さん、BLの本は凄い沢山出していらっしゃる方なんですねー。
細かくリンクしているところも上手かったですし。
私も、ダントツで二作目が好きでした。お姉ちゃんのキャラ最高でしたよね。このキャラだけでまた作品書いてくれないかなぁ。
べるさんもミチさんの他の2作品読まれていらっしゃるんですよね。
感想は読まないでそっと立ち去っていますが、後日他の2作品を読んだら、べるさんの感想読むのが楽しみです。
私もちょこちょこリンクしてる小説好きです。楽しみが増しますよね。
2作目のお姉さん、いつか映像化されそうな予感。とはいえ難しいなー、誰が演じれば良いかな。
日本語学習中の読者です。
『スモールワールズ』を読みました。
ことばに不自由があって、解説できないところもありますが、すごく面白かったです。
もっと『スモールワールズ』を理解したくて、読んだ方に教えてもらいたいと思いますので、コメントさせていただきました。
申し訳ございません、この場で質問をさせていただいても、よろしいでしょうか。
コメントありがとうございます。
日本語学習中なのに、既に日本語がとてもお上手で、びっくりです。
『スモールワールズ』を読まれたのですね。
もし私で良かったら、お気軽に質問してください。
ただ、私がその本を読んだのが2年前で、結構忘れてしまっているので、お役に立てるかどうか・・ちょっと心配ですが
>Minh さん☆... への返信
返事を読む時、すごく嬉しいです。小説を読むのがとても好きで、ただ何か気になるところがあれば、もやもやしてたまらないという癖がありますから(笑)。
ではお言葉に甘えて、質問させていただきます。
では、「式日」についてです。順番どおりではなくて、すみません。
・「先輩」は男性と思って、間違いはないでしょうか?2,3回だけですが、先輩は「俺」を使っていると思います。
・「後輩」は「先輩」に謝るとき(315ページのところ)、「好かれたら始まっちゃうから、そっちのが怖いよ」と言っています。
なんだか、「後輩」が「先輩」のと同じ気持ちを持つのはまずないだろうと思います。そのため、「始まっちゃう」とは「何が始まるか」ちょっと気になります。
「先輩」に謝る「後輩」の心理について、latifaさんのご意見を聞かせて頂ければと思います。
そういう時はネットで検索して、あちこちめぐって、調べたりしています。
先輩
男だと思います! これはBL(ボーイズラブ)の要素が入っているお話だと思って私は読んでいました。
始まっちゃう・・・の処は、友達という関係性を超えて恋愛関係になる、という事でしょうか・・。
親しくなった2人、でも微妙な関係。なんとなく先輩の気持ちが解っているけど、ハッキリさせてない状態。
ハッキリ言葉に出して色々と本音や気持ちを打ち明けると、この関係が終わってしまう? 関係性が変わってしまう?
というのを恐れて、わざと曖昧なままにしてるんだな、と私は思いました。
後輩は女性と交際していた事があるので、男性だけしか愛せない人ではありません。
でも、もしかしたら、男性も女性もokな人なのかも・・・・。
それは後輩本人も、解らずとまどっていたのかな?
今迄知らなかった世界(ゲイの)に、これをきっかけにして足を踏み入れるのが怖いという気持ちもあって、セーブする気持ちもあったのかな・・・?
ちょっと気を持たせる(先輩の気持ちを解っているのに)様な印象もありました。
今私の家に本が無いのです(私はいつも図書館で本を借りて読書しているので)
違っていたら、ごめんなさい!
本当は今、再読してお返事したかったのですが、すいません。
>Minh さん☆... への返信
感想を聞かせていただき、誠にありがとうございます。とても勉強になりました。
後輩にゲイの世界に足を踏み入れるのが怖いという気持ちもあるとは思っていませんでした。私にとって、とても新鮮な解説です。
先輩の気持ちは恋愛だと思いますが、後輩はどうなる小説ではっきり書いていません。やっぱり、そこは読者に任せるという作者の意図がありますね。
後輩も先輩に期待を抱かせるような印象もあると思って読むとなんとなくさらに切なくなりますね。
せっかくページ数まで教えて下さったのに、本が無いので、調べる事も出来なくて、申し訳ありません。
本があったらなあ・・・。
私の家の近くに書店も無いから、さっと行ってみて来る事も出来ないし・・・
後輩の気持ちは、先輩の恋人(ゲイの対象の相手になる)は無理だけど、でも先輩との良い関係が無くなるのも悲しいと思っていて、それで曖昧にしていた。
そして、やんわりお断り(拒否)を示したというのが普通の解釈かなーとも思いますが、あまりにも2人が良い感じだったので、後輩君にも絶対無理!って気持ちだけでは無かったんじゃないかな?と(私の少し希望で)思ったのです。
>そこは読者に任せるという作者の意図がありますね。
それ!それですね!
色々、人によって解釈をお任せするという感じなんだと思います!