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「バリ山行」ネタバレ感想 松永K三蔵

2024-09-21 | 小説・漫画他
バリ山行 : 松永K三蔵

芥川賞っぽくない作品というか・・・
解りやすく読みやすいお話ですね。
全く期待してなかったのも良かったのか結構面白かったです。4つ★

まずはバリ山行というのは、「バリ」はバリエーションの略で、通常の登山ルートに従わず、道なき道を自力で切り開いて登山する上級者の方法だそうです。
正規の決まったルート外を行くので危険も伴うんですね。
私は山登りは全然しないし、体力無いので絶対無理ですが、このバリの面白さとか、それに取りつかれる人とかの気持ちも解らないでもないなと思いました。

主人公は普通のサラリーマンで、転職後のその会社でトップが仕事のやり方を変えてから周りの社員が大変・・みたいな感じの様子等も半分くらいの容量で描かれています。
前半で辞めて行った顧問役は良い人だったなあーと思ったし、今度の社長はダメだなーとか同僚の面々もそれぞれちょこちょこ人柄がかいま見られました。

主人公は前の会社でリストラ候補にされてしまったのだけれど、それは彼が仕事が出来なかった訳ではなく、飲みニケーションみたいなのとか会社の仕事外での付き合いや交流をしてなかったことで首を切られやすかったみたいです。
今の会社でも、あまりそういう付き合いには参加せずに直帰していたけれど、山登りの会にちょっと参加してみたら面白くてどんどん趣味として好きになっていく様子が前半描かれます。

そして会社には変人と思われていて、ちょっと孤立気味の妻鹿(MEGA)さんという人がいて、彼がそのバリ登山の玄人なんですよね。
彼はどんなに多忙でも週末は山に行っていたし、彼なりの生き方やポリシーみたいのがあって、実際お仕事でも現場で一人で水漏れの場所を的確に見つけ対応し、凄く出来るヤツ!なんですよね。

主人公はMEGAさんの過去の山登りアプリのルート等を見たりしていくうちに興味を持つようになり、一緒に2人でバリ登山に行くことになるのですが、途中でヘロヘロになり命の危険も感じる様な経験もして怪我をしてしまいます。
最後は疲れやら何やらで、MEGAさんに酷い事をぶちまけてしまうのでした。
「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」

★以下ネタバレ★


翌日から肺炎で長期寝込んで、やっと年明けに会社に行ってみたら、MEGAさんは会社を辞めてしまった後でした。
社長と仕事の方針の事で喧嘩して辞めてしまったのでした。
主人公は、MEGAさんに謝りたかったし連絡を取りたかったけれど解らずじまい。
一人でまた山に登り、以前MEGAさんと登ったルートを歩いていたら、彼がよく使っていた青いチェックのマスキングテープが貼られている枝を見つける、というところで終わっていました。(まだ山登りをしている様子だし、また偶然会えるかもしれない、そんなラストでした) 
以上

ただなー、主人公にはフルタイムで働く妻がいて、小さな子供もいるのですよ。後半、仕事が多忙になって、週末も休日出勤しなくてはならなくなり、妻はしょうがないけどこっちは休み無しでワンオペだよーって泣き言をいうのだけれど、彼は平日に代休をもらえるんですね。そして山登りに行ってると。
なんだかなあーと、妻が可哀想に思えちゃったな。 そこだけネックだった。

バリ山行   2024/7/29 松永K三蔵 (著)
第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。
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2 コメント

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Unknown (セレンディピティ)
2024-09-23 00:07:46
latifaさん こんばんは。
この作品、おもしろいっていう感想をどこかで見たので、私も読んでみようかしら?と迷っていたところです。
「K」っていうミドルネーム?が入っていて、変わったペンネームの方だな~と思っていました。^^

バリって、バリバリ(本気の、ガチの)って意味かと思ったら、バリエーションのことなんですね。
スキーでも、わざとコースを外れて滑って遭難する、という事故が時々あって、迷惑かけるな~なんて思っていましたが、こういう登山があるんだ、認められているんだ...とびっくりしました。
私はガチの登山はしないですが、ゆる~いハイキングはわりと好きです。
登山小説(新田次郎さんとか)や、アドベンチャーもの(「わたしに会うまでの1600キロ」とか)も好きですよ。
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セレンディピティさん☆ (latifa)
2024-09-23 13:48:17
セレンディピティさん、こんにちは!
ペンネームの由来は私も見ました。幾つかの家族由来の要素を入れ込んでいる様ですよ。

あら!スキーでもそういうわざとコースを外れて滑って遭難、っていうのがあるのですね。
本作もそうなのですが、実際これで遭難とか事故になったら迷惑かけちゃうよなーっていうのは常に頭の中にありました。

メインのコースが人で混雑していて歩きにくい様子が書かれていたり、ちょっと外したルートを歩く面白さみたいのも初めて読んで、なるほど・・と理解は出来たのですけれどもね。

セレンディピティさんは登山系やゆるいとはいえハイキングも結構お好きなのですね。
私は子供でも登れる様な山でも、途中でバテたり、貧血起こして迷惑かける酷さです・・
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