ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

「曾根崎心中」「かなたの子」感想 角田光代

2012-02-20 | 小説・漫画他

両方とも、今までに角田さんには、あまり無かったタイプの小説。
新しい世界にも、どんどん挑戦しようとされているのかも。

「曾根崎心中」
近松門左衛門の原作は全然知らない状態で読みました。
昔のお話なのにもかかわらず、現代女性にも共感出来る感情があったし、角田さんの解りやすいけれど、ぐいぐい引きこむ様な文章力がこの作品でも冴えていて、非常に読みやすかったです。

たまたま最近私が読んでいた小説が、その時々で語る人間が変わったからでしょうか?この「曽根崎心中」は、終始、「初 はつ」一人だけの目線で語られているので、初の気持ちに入り込んでじっくり読めるのが良かったです。個人的にこういった文章が一番好きです。

それと、最近は、少し恋愛に冷めた感じや、乾いた雰囲気の小説を読む事が多かったせいか、濃厚で熱く激しい恋愛ものが、物珍しく新鮮に感じて、とても私は面白かったです。普段あまり恋愛小説を進んで読まないからかな?4つ★半

メインの2人の恋愛はもちろんのこと、初の先輩やら回りの女性達が、本気の恋をしたために身を滅ぼして行った様子や、「心中立」なる行為(爪剥ぎ、指切り@@)、それでも恋を知らないまま死ぬよりも、知っておさらばする方が幸せだ、という哀しくも情念を感じる所も書かれているのが、とても良かったです。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
ラスト直前、初は、一瞬「本当は徳平衛が嘘をついていたのかもしれない・・・それでもやっぱり・・」って思うんですよね。私は、全く徳さんを疑わずに読んでいたけれど、もしかしたら、その可能性だってあるんだな?と気づかされました。
あとラストで、初が先に刃物で喉を切り、これから徳さんが!ってシーンで終わっているんですよね。それを読んで、もしかしたら気の弱い徳さんは自害出来ないんじゃないか・・・?一人残ってしまうんじゃないか?と思ったのですが、読み終わった後に、原作の曽根崎心中の内容曽根崎心中を読んだら、徳さんは無実の罪だったし、2人は一緒に亡くなったというお話だったんですね。ほっとしました。私の取り越し心配?でした
以上

角田さんの過去の作品で、ここまで熱く情熱的な恋愛を書いた本ってあったかな・・・?彼女が作ったストーリーではないけれど、ここ数年で、きっと凄い恋をしたんだろうなぁ~なんて、勝手に想像しちゃいました。若いバンドマンさんとは、きっと大恋愛の末、入籍したんだろうなぁ

「さくらん」とか「魚神」とか、こういった花魁とか遊女ものは、なぜか昔から結構好きです。そうそう最近やっとコミックの「JIN 仁」も11巻まで読んだんです。今の所、ドラマの方が原作よりも何故か好きという状態です・・・。「のだめ」以来かな、こういう珍しいパターンは。

角田 光代 近松門左衛門 / 2011-12-22
装丁もぱっと目を引くイラストで、良いですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「かなたの子」

角田さんのインタビューで、以下の様に書かれていました。
「夏目漱石の『夢十夜』や内田百けんの作品のようなものを書きたいと漠然と思っていたんです。また2つの雑誌で書くということで、それぞれの雑誌に書いたものが呼応するようなものにしたいと思っていました。それがだんだん日本の原風景、とくに闇を描くことに収斂されていったんです。」

和風で、ちょっと怖いようなお話たち。
「おみちゆき」「同窓会」「闇の梯子」「道理」「前世」「わたしとわたしではない女」「かなたの子」「巡る」の8編収録。

印象に残ったのは、和尚さんが生き仏になるべく、生きたまま埋められるが、想像以上に長く生き続けているみたいで・・・というお話。怖かった・・・。
この風習は、偶然先日恒川さんの最新小説でもちょっと書かれていました・・。
どのお話も、面白いのだけれど、やっぱり短編だから、私は、ちょっと物足りない感じがしちゃったかな。個人的に「曾根崎心中」や「八日目の蝉」みたいに、主人公の心の中を濃厚に描いてくれる作品の方が好みなので
角田光代/ 2011-12

「なくしたものたちの国」「ツリーハウス」
「水曜日の神さま」
福袋
「くまちゃん」面白かったです
森に眠る魚(ネタバレです 注意!)
何も持たず存在するということ
角田光代さんの小説色々感想まとめ
「三面記事小説」「マザコン」
ロック母
「薄闇シルエット」凄く共感、良かった 角田光代
「いつも旅のなか」「誰かのことを強く思ってみたかった」
「presents」「夜をゆく飛行機」
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」 「恋するように旅をして」の感想
「対岸の彼女」感想と、全あらずじ 
ドラママチ 「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想
「八日目の蝉」 角田光代 凄く引き込まれて一気読み

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« ネタバレ「舟を編む」感想 ... | トップ | 宮越屋珈琲 東京町田店に行... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (時折)
2012-02-20 17:43:55
そういえば、『曽根崎心中』を忘れていました、というか、すっかり忘れているわけではないんですが、何となく敬遠していました(角田さんの本は他はすべてハードカバーで買っていたというののに)。
>角田さんの過去の作品で、ここまで熱く情熱的な恋愛を書いた本ってあったかな・・・?
おおおっ(カエルがいっぱいいる!!)、今すぐ読みたくなってきました。
ありがとうございます。
返信する
時折さん☆ (latifa)
2012-02-22 11:05:07
こんにちは、時折さん
時折さんの感想を拝見して、漱石つながり?は、解る人には解るんだなぁ~~!とびっくりしていました。
時折さんご自身も、それが解って驚かれた様ですね
まさに、私も同じサイト(本の話web)を読んで、上の記事に一部文章抜粋させてもらったんですよ

以前、角田さんと、小川洋子さんが、内田百けんのファンと言っていた事から、私も何冊か読んだことがあり、また夏目漱石の「夢十夜」も、以前同名映画を見た経緯で興味が沸いて読んだのですが、残念ながら、私の文学的感受性と理解力が著しく劣っているため、普通に面白く読んだ程度で、そこまでの大衝撃は受けられませんでした・・・。
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事