未成年者の犯罪を描いた「天使のナイフ」が読みごたえがあったので、薬丸岳さんの新作「悪党」も読んでみました。2冊とも、未成年者による殺人事件の被害者側からの視点で描かれた本でした。
「天使のナイフ」 薬丸岳
自分の妻を殺した少年達が、何故か次々に殺されていく、自分が殺したわけではないのに・・・。でも憎んでいたのは事実だ。復讐から自分が殺したと疑われて行く・・。そしてそれぞれの少年達があの事件、事件前、どんな生活をし、どんな子供だったかが段々解って行く・・・。
犯罪を犯した人間は一生悪人か?その後改心は可能なのか・・・?反省・贖罪とは?を問う凄く読み応えのある小説でした。4つ★~4つ★半
★以下ネタバレです 白文字で書いています★
あの優しくがんばりやさんだった妻が、高校生の時にテレクラに電話してきたある中年男(教師)を殺してしまっていたとは・・・。妻は反省し、お詫びに行こうと被害者宅の前まで行っていたことが、大切にしていた万華鏡から解る・・。
そしてその殺された中年教師の娘が、桧山のコーヒー店のバイト先に来ていた娘だったとは・・・。難病で助からないと思っていた彼女に多額の募金をしていたのも檜山の妻だった。そもそも檜山の妻が幼い時に遭遇してしまった友達が殺されるという事件。それ以後檜山の妻の人生が変わってしまったと言っても過言ではない。その時の加害者(腕にアザがある)が今では弁護士になっていて・・・。檜山の妻がその弁護士を脅し、そのお金を心臓移植の募金に使った・・というのは、ちょっとうなずけない部分があるけれど・・・。以上
生後五ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。夫・桧山貴志は耳を疑った。犯人は、十三歳の少年三人。四年後、犯人の少年の一人が殺され、桧山は疑惑の人となる。殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか 第51回江戸川乱歩賞受賞作。 内容(「BOOK」データベースより)
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「悪党」2009-07-31
「悪党」「復讐」「形見」「盲目」「慟哭」「帰郷」「今際」の7つの短編(それぞれ佐伯が探偵であることなどは共通している)からなっています。短編になってしまってるが故に、あれっ・・・もう終わり?と、少々物足りなさを感じたりもしました。とはいえ、色々なケース、つながりなどもうまく構成されていました。
被害者側は、はたして加害者がどういう風に生活していたら(改心したとか、反省したというのがどういう風に現れていれば)赦すと思うことが出来るんだろうか・・・?というのを投げかけています。私ならば、どうやっても赦すことは出来ないんじゃないか・・・と思ったりもしますが・・・。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★キャバクラ譲の冬美までもが、子供の頃義父に性的虐待を受け、その時の写真をネットでばらかまれ整形していたという悲惨な過去があったとは・・・。それでも、彼女の存在が今後佐伯の救いになりそうで良かった・・・。最後彼女を探しあてて笑顔で・・って処で終わっていたので、後味は良かったです。以上
「悪党」もなかなか良かったのですが、「天使のナイフ」の方が私は面白かったです。「悪党」は3つ★半
「悪党」を読みながら、「さまよう刃」のことも、ちょっと頭をよぎりました。
内容(「BOOK」データベースより)
自らが犯した不祥事で職を追われた元警官の佐伯修一は、今は埼玉の探偵事務所に籍を置いている。決して繁盛しているとはいえない事務所に、ある老夫婦から人捜しの依頼が舞い込んだ。自分たちの息子を殺し、少年院を出て社会復帰しているはずの男を捜し出し、さらに、その男を赦すべきか、赦すべきでないのか、その判断材料を見つけて欲しいというのだ。この仕事に後ろ向きだった佐伯は、所長の命令で渋々調査を開始する。実は、佐伯自身も、かつて身内を殺された犯罪被害者遺族なのだった
面白く読めたみたいで良かった~!!
私もこれ面白かったんだけど、でも先日「なぜ君は絶望と闘えたのか」を読んだら、やっぱり実際のノンフィクションものに勝るものなし、って感じた。
>最後の最後に、あの弁護士の正体がばれた時は、びっくり!
私もびっくりだったよ。でも確か手にアザがあるだか・・なんだか、特徴があって、それの描写が出て来たから、もしや・・・と思っていたんだが、よく弁護士にまでなれたなぁ~と思った。弁護士ってなるのは凄く難しいだろうに。
そうなんだよね・・・同じ少年犯罪でも、その事件や経緯によって、思う処が違うよね~。
>この作者が言いたかったことは、立派な仕事について真面目に働くことが真の更生じゃなくて、被害者に心から謝罪の気持ちが持てるかどうか?ってことよね?
うん、うん。謝罪の気持ちや反省をどういう風に表せば伝わるか・・って処に重きを置いていて、読み応えがあったよね~。
>そういう意味では、やっぱり光市の場合なんて、全然保護の必要なし!って思うわ。
そーーだよね!後で感想書くけど、読みながら腹立って、腹立って。
>正当防衛って書こうとして、今見たら、性逃亡になってたよ
ちゃんと伝わってるから大丈夫だよ~
漢字変換って、時々、うわっ1って風になってることあるよね。私も何度もこの手の事やってる~
一番最初に誰かがコメントしてたけど、重いテーマをそうとは感じさせない小説って。まさに、私もそれと同じ感想だったわ。
しかし、これでもか?これでもか?って、言う展開は、すさまじかった!これぞ、作家の才能?って思っちゃたよ。
最後の最後に、あの弁護士の正体がばれた時は、びっくり!私ね、少年の殺人犯罪にもいろいろあると思うんだよね?この本の中に出てきたような、主人公の奥さん(祥子)の場合は性逃亡的なものだし、これは、完璧保護するべきだと思うけどさ。この弁護士とかの場合?更生無理っしょ?って思ってしまう。この作者が言いたかったことは、立派な仕事について真面目に働くことが真の更生じゃなくて、被害者に心から謝罪の気持ちが持てるかどうか?ってことよね?そういう意味では、やっぱり光市の場合なんて、全然保護の必要なし!って思うわ。
ところで、最後に正体を暴露された弁護士、相沢、これって、もしかして・・あの、神戸のさかきばらがモデル?話のあちこちに、実際に会った事件を基盤にした部分が出てきて、フィクションだけど、どこかそうじゃない部分?を感じて興奮しました。
latifa さんのブログで初めて知った作家だったけど、すごく楽しめた作品でした
寒さが染みる季節になってきちゃったね~。
これ、重かったね・・・。お姉さんの事件にまつわるビデオ・・って処は、「さまよう刃」の娘殺害直前の強姦してる処を撮影されたビデオを見てしまう父親、、、のシーンを思い出したわ・・・。そんなの身内が見たら、ショック死しちゃいそうだよね・・・。
そういうやつは死刑は無理でも、重い重罪に処して欲しいわ。一生性行為できないような不能にさせる刑とか。
読み終わったわ・・・。
短編だって知らなくって。
確かに長編の方がずっしり感があるよな・・・と思ったけれど、これはこれで、考えることも沢山あって、興味深く読んだわ。
しかしやっぱり難しいことだよね・・・。
途中で佐伯のお姉さんの事件にまつわるビデオが出てきたでしょ?新たな事実が分かるシーン。
あれは衝撃的で。あんな場面見たら、ますます立ち直れないんじゃあないかと思ってしまったよ。だから最後が、ああいうカタチで終ってくれて、正直ほっとしたところ。
急に寒くなっちゃいましたが、エビノートさんのお住まいの方はいかがでしょうか・・・。
最近マスクをいつもしているので、顔は温かいんですが(暑い時もある・・) じっと黙って読書なんてしてると、足下が寒いです~。
そうなんですよね、こういう本を読みながら、もし自分だったら・・・って置き換えて考える事が出来ますよね。 やっぱりこの作家さん、こういうテーマを常に描いているんですね。
今度は虚夢を読んでみようかな~と思っています。
自分自身が関係者だったら…と読むたびに考えさせられてしまいます。
実際のところは、そうなってみないと分からないんだろうけれど、こうやって小説を通して考えることも大事かなと思います。
未成年の犯罪の法律とかも、色々変えて欲しいです。少しづつ変わっては来ているみたいですが、その影には被害者の家族の方々の必死の活動あっての事のようですね・・。
悪党、花さんの感想、楽しみです
「悪党」も読んでみようと思っています。
悪党、順番待ち中なのね?私も結構待った感じ・・・。人気がある作家さんなのね~。
次は何を読もうかな?と思っていたところ、「虚夢」に決定したんだ~。図書館にリクエストしてこなくちゃ。
このところ、ダークなのとか、ずっしり重い作品が続いているので、ほんとは楽しい系の本も読みたい気分でもあるんだけどね
とはいえ、私が好きな小説って、ずっしり重い暗い系の気がする。
しんちゃんの大好きな作家さんの1人なんですね~。まだ2冊しか読んでいないものの、もっと読みたいと思わせる魅力のある作家さんですね。
そうっか・・・出版ペースがゆっくりなんですね。それだけ熱を入れて書いているという証拠でもあるのかな?
次回の新作も楽しみです。
悪党は今、予約中なの・・・。
そっか・・・さまよう刃に近い内容なのね。
こういう社会派の作品って、なんとなく
読んでしまうのよね。実際身近に起きたら
恐いんだけれど、少しでも色々なこと
考えていきたいな・・・って思うからかな。
天使~は、うん・・インパクトは大きかったわ。デビュー作って言うのがすごいよね~~
重いテーマを憂鬱にさせることなく読ませる作家ですよね。大好きな作家のひとりです。
ただ出版ペースが亀さんなのでじれったいです。といっても量産できるような作風ではありませんが^^;