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「彼方の友へ」伊吹有喜 感想

2018-06-01 | 小説・漫画他

朝の連続テレビ小説に、ぜひ!

伊吹有喜さんの本は、これで3冊目。
「今はちょっと、ついてないだけ」(2016/3)を最初に読んで、面白かったので、「四十九日のレシピ」を読んで、その次が本作でした。
たまたま一番新しい本ということで、手に取ったのですが、これって直木賞候補作に選ばれていたんですね。

読んだ感想は?というと、凄く面白かったです。
ノスタルジックさと、仕事、恋愛、昭和10年から戦争中に至るまでの出版業界(少女向け雑誌)と日本の様子など、とても興味深く読ませてもらいました。
5つ★でもいいくらいのお話だったのですが、お父さんや鉱山技師のおじさん等の部分など、結局何だったのか解らないまま終わってしまっていて、消化不良な気持ちが残ったので4つ★半。
続編を書いて欲しいです。
続編で、きれいにそのあたりの謎がスッキリさせてもらえれば、とても嬉しいです。

ちょっと残念だったことは、表紙と中身の印象が全然違っていたこと。
うーーん、せっかく実業之日本社創業120周年記念作品とのことなので、なんとか中原淳一さんのイラストとか、それが著作権などの問題で無理ならば、レトロな装丁で出せなかったものか・・・。惜しいです。
実業之日本社では、かつての付録などの復刻版とか、色々出しているようです。一番上は、フラワーカードなるものです。
こちら
いやー、こういうの私も大好きです!! 心躍りますよねー。昔、それほど物のない時代に、これは、物凄い魅力的で宝物にした少女も多かっただろうと思います。
私が子供の頃にも、こういうのじゃないんですが、チョコレートの包み紙に、一つ一つ違う花のイラストが描かれているのがあって、中身は同じチョコなんだけど、それが30個とかずらーっと並んでいると、すっごく素敵に見えて、包み紙を大切に保存しようと思った事があったし。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
現代の年老いたハツの元にやってきた若い青年津田智樹、彼は、霧島美蘭の娘の子供の息子(遠いな・・笑)だそうです。 若くして亡くなった両親のかわりに彼を祖母が育ててくれたそうなのですが、寮母として結構貧しく暮らしていたところに、純司の遺言により遺産が渡され、それからは余裕を持った暮らしが出来る様になった、とのことでした。 
純司は二本ラインの入ったマフラーを愛用しており、それは有賀のものだったのか、お揃いなのかは解らないけれど、彼はゲイで、一生彼を愛しつづけたんでしょうね。最後亡くなる時に棺に一緒にマフラーで・・と残されているし。(彼のモデルとされている、中原淳一さんはゲイではなかったようで、ご結婚もされ、孫さんも数人いらっしゃるようです)

美蘭の娘の父親は、有賀主筆ですよね、きっと。あの時の一度だけの時の子供なんじゃないだろうか(この時のシーンが迫力あって、とても印象的でした) 悲しい人、って言ってたから、きっとそうだと思う。
その有賀主筆は、謎の死を東南アジアで遂げているのですが、終戦70年だかを経て、彼の大切にしていた、フローラ・ゲームと、それを包んでいた日章旗にハツが書いた謎の音符記号(あたなたのともから、ありがさまへ いつまでも おしたいしております)ちゃんと解読出来ていたんですね^^
そして、中には、有賀からのメッセージが!「でぃあ はつこ しんしありい ゆあず」アウアウアウ!!!
この楽譜による暗号は、すごいですねー!こんなの初めて知りましたが、これは伊吹さんが考案されたのでしょうか?
2人がかつて会話し、他の誰もが知らない、このメッセージ。「私は永遠にあなたのもの」いやーー素晴らしいオチでした。
ちょっと「ちいさいお家」と何か通じる処がある小説だったなあ・・・と感じました。あちらも大好きなお話なんですよ。
以上

「彼方の友へ」2017/11/17
竹久夢二や中原淳一が活躍した少女雑誌「少女の友」(実業之日本社刊)の存在に、著者が心を動かされたことから生まれました。

平成の老人施設でまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった。昭和初期から現在へ。雑誌の附録に秘められた想いとは―。

伊吹有喜
彼方の友へ
「今はちょっと、ついてないだけ」

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10 コメント

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Unknown (Todo23)
2018-06-01 16:54:57
良い話でしたね。
実は前半は少女趣味過ぎて男性の私にはちょっと陳腐にさえ感じられたのですが、後半は素晴らしい。
投げっぱなしにされてしまったミステリー要素についても同感です。
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Todo23さん☆ (latifa)
2018-06-01 18:14:30
Todo23さん、コメントありがとうございます
そうなんですよね、少女漫画チックな展開、ありましたよね、私もそういうのは、あまり好みじゃないので、んん・・・前半は、不安を若干抱きました

憧れの人がいる職場に入れる(ありえん)とか、フルーツ・・が抜擢され、その後の昇進等も、若干上手く行きすぎかな・・?とも思いながらも、ハッピーエンドじゃない部分も色々あって、上手くバランスを取られていたのかなーと思いました。

最後の、あの音符での暗号メッセージと、sincerely・・がぐっと来ました
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Unknown (苗坊)
2018-06-01 21:44:33
こんばんは。
確かに朝ドラ向きかもしれないですね。
面白かったです。
波津子がとても逞しくて読み始めはこんな人になるとは予想もしていませんでした^^;
それにしても、戦時中に働いているくらいの年齢だった人は、今は90歳前後になっているんですね…。戦争が昔のことのようになってきましたけど、ちゃんと想いを継承していかなければならないなと、現代に戻って来たときの会話を読んで思いました。
有賀主筆との関係は切なかったです。
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昭和レトロ好きにはたまらない本でした。 (日月)
2018-06-02 01:42:00
私はこうした昭和レトロの雰囲気が大好きですし、伊吹有喜さんの作品が好きなので、読めて嬉しかったです。(直木賞委員からは酷評だったらしいですが…)

少女の友は本当に美しい雑誌で、実際に友の会の集まりなどあったそうです。

ただ、スパイ云々はいらなかったかもしれませんね。「ジョーカー・ゲーム」を読んでいたので、あの時代、スパイ活動をしている人がいてもおかしくはないと思いますが、「男装の麗人」は中途半端でしたね。実在の川島芳子(清朝の姫で日本軍スパイ)が強すぎて想像の人物はなかなか敵わないですし。
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苗坊さん★ (latifa)
2018-06-02 08:42:54
こんにちは、苗坊さん

>戦時中に働いているくらいの年齢だった人は、今は90歳前後になっているんですね…。戦争が昔のことのようになってきましたけど、ちゃんと想いを継承していかなければならないなと、

そうなんですよねー。
思わず、祖母とかの世代より、更に上の曾祖母、、ってのに、驚きました。
そうなんですものね。
反戦の意味も強く含んだ作品で、とても素晴らしかったです。

弥生美術館、今、セーラー服展やってるらしくて、興味あるんですけれどもね、
ちょっと遠いので、なかなか・・・。
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日月さん☆ (latifa)
2018-06-02 08:47:25
日月さん、こんにちは!
今さっき、日月さんちに行って、自分のコメント探しちゃって
すいません、ちがう処にコメント残していたみたいで・・申し訳ないです。

昭和レトロの雰囲気が大好きですし、伊吹有喜さんの作品が好きなので、読めて嬉しかったです。(直木賞委員からは酷評だったらしいですが…)

少女の友は本当に美しい雑誌で、実際に友の会の集まりなどあったそうです。

「ジョーカー・ゲーム」
大好きな小説でした!
きっと、お父さんとか、鉱山技師のおじさん、有賀さんあたりは、なにかかかわっていたんだろうなあ・・というのは推察できますけれどもね・・・。

>「男装の麗人」は中途半端でしたね。実在の川島芳子

この人、私も結構興味があって、映画のラストエンペラーの時の女優さんが、ちょっとイメージ違うだろ・・・って思ったものでした。
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申し訳ありません (Todo23)
2018-06-02 16:26:34
ひょっとして、初書き込みでしたか?
しばらく前からこちらにずっと寄らせて頂いていたので、すっかり勘違いしてたのですが、Read Onlyだったのですね。いきなりで申し訳ありません。
私、2000年から書評系のHPを運営して来たのですが、最近昔からの友達のページの閉鎖が相次ぎ、新しい友人を求めてネット上をウロウロしています。
拙ページにお越しいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
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Todo23さん☆ (latifa)
2018-06-02 17:51:41
Todo23さん、再度コメントありがとうございます
うわー、前から来てくださっていたなんて、すごく嬉しいです。
しょうもない事書いてるし、文章も下手くそなので、恥ずかしいですが・・・
前にコメントを頂いていたとしたら、うっかり忘れていた可能性も・・・もし、そうだったら、すいません!

そうなんですよね・・・私もブログのお友達が、近年、次々とブログの閉鎖や更新停止されて行って、サビシー状態です。
お気持ち、良く分かります。

Todo23さん、今後たびたびお邪魔しますので、どうぞよろしくお願いします。
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こちらへもお邪魔します (しずく)
2019-06-14 09:44:28
〉実業之日本社では、かつての付録などの復刻版とか、色々出しているようです。

私も1年半前に読んだ後にネットで色々検索して楽しみましたよ。
ポコアポコヤさん同様に、とても印象深く今でも心に刻まれています。「四十九日のレシピ」もね!
私の感想は↓

http://amegasuki3.blog.fc2.com/blog-entry-375.html
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しずくさん☆ (latifa)
2019-06-14 10:04:05
こんにちは、しずくさん
コメントありがとうございます!

あ、しずくさんも、ネットで色々検索されたのですねー。

やっぱり、この作品、NHKの朝ドラとかで放送すると良いのになーって思います。
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