先日「漁港の肉子ちゃん」が凄く良かったのですが、この「しずく」もまた、とっても素敵なお話揃いでした。5つ☆
初期の西さんの小説より、最近の小説の方が、私はより一層好きです。
この「しずく」の中では、特に「木蓮」と「シャワーキャップ」がお気に入りです。
「シャワーキャップ」のお母さんと、後に発表される「漁港の肉子」ちゃんは、何か共通するキャラクターの気がしました。もしかしたら西さんのお母さんって、こういうキャラなのかしら?
「ランドセル」
小学生時代の幼馴染と、ばったり再会し、ロスに2人で旅行に行く。
30になった2人・・・。
”私たちは何時の間にか女の子という時期を終え、初めての恋をしたり誰かを裏切ったり、そしていつしか大人になって、大人になったということに気づかないまま時はすぎ、また恋をして~~ くみちゃん、私たちは、ずいぶん年をとった”
なんか、鼻の奥がつーんとなるようなお話でした。
「灰皿」
老婦人の家を、若い女の小説家の坂崎さんが一人で借りて住む様になった。坂崎さんは老婦人のところにふらりと遊びにやって来る様になった・・。
老婦人は、亡くなった夫が、小説家をめざしていたこと、若い頃、彼がある日、家に帰らなかった時の事を回想し出す。
夫が一番読んでいたであろうSという作家。「ここ」以外に自分の場所があるのではないかと思い続けている男の話でした。「家」「妻」「子供」「生活」、自分がその「」の中に納まっている違和感、居心地の悪さ、理由のない焦燥が綴られていた。
私はあのマニラ紙の封筒を開けるのが怖くて開けることができずにいた。
「木蓮」
生意気な彼氏の娘と動物園に行く羽目になる・・
"私は、自分の7歳だった頃のことを思い出した。お母さんの選んでくれる服、親戚のおばさんにもらった靴、連れてもらった動物園、どれも私には嬉しくなかった。
大人が隠していることの全てを知りたかった。
「子供には分からない」なんてこと、大人しか思っていない。子供は大人が思っている以上に大人で、そして、大人が思っている以上に幼く、弱いのだ。"
「影」
沖縄に一人旅をしていたら、札付きの嘘つき女に「幽霊出るよ」と話かけられ・・
会社公認のカップルの、取立てて魅力があるわけじゃない男と深い仲になってしまった心理や、彼女にバレる経緯(それまで、男のほうは割り切った関係だと思っていたから、彼女への後ろめたさを持っていなかったが故に・・・というところとか)、会社内で総スカンをくらってしまうところとか、凄くリアル。。
もしかしたら、西さんか、身近なお友達に、こういう経験をされた方がいるんじゃないのか?と思ったくらい。
「しずく」
2匹の猫と一緒に同棲していたカップル。
貧乏で時間がある時は仲良しだったのに成功して忙しくなると、、、。
「シャワーキャップ」
子供の様な天真爛漫な母と、彼氏の浮気を疑いつつも、今度同棲する娘。
このお母さん、かわいいわぁー
しずく 西加奈子/ 2007年04月20日発売
漁港の肉子ちゃん
炎上する君
「あおい」「さくら」感想
きりこについて
GWいかがお過ごしですか~。
そうですよね、随分前に、こにさんは読まれていらっしゃいましたもん。
肉子ちゃん、読んだんですねー!
凄く良かったなんて、嬉しいなー。
記事楽しみに待ってまーす。
西さんのお母さんが肉子ちゃんに近いとしたら!
豪快で優しくて目いっぱいの愛情を西さんに注ぐ人、なのかな。
肉子ちゃん、読んだので近々記事にしますね。
泣いちゃいました。すごく良かったです。
(^^)