『小説現代』に2004年8月号にて初出。以後5年に渡って9作の短編が同誌に連載され、単行本は2009年に刊行されたそうです。
東京日本橋の古き良き老舗の商店街を舞台に、人情味溢れる江戸っ子らしい人や優しいエピソード。 それぞれが少しづつ繋がっていて、それぞれのエピソードで少し解った事によって、次々と推理の謎が明らかになっていくという構成。
それと、目のつけどころと洞察力が凄いだけじゃなく、優しさ溢れる刑事の加賀さんと、推理部分とが楽しめる内容でした。
ここ数年の東野作品の中で、最も良い作品だなーって思いました。
ただ、ガツーンという何かこう・・ぐわーっと来るものは無かったので、4つ星半(やっぱりかつて読んだ「白夜行」とか「手紙」が5つ★となると、それらとつい比較してしまうが故に・・・)
以下、完全ネタバレで書いているので、注意です!!!
「煎餅屋の娘」
保険外交員、そして煎餅屋の退院したばかりのおばあちゃんと孫娘と・・。 おばあちゃんの本当の病名ガンをを隠したい為に、黙っていた律儀な保険外交員や回りの人達。
「料亭の小僧」
料亭の主人は愛人に人形焼を手みやげにする為に、見習い坊主に買いに行かせていた。中に一つだけ、奥さんがいたずらで(ちょっとした意地悪で)入れたわさびのあんこが・・。愛人は本当は人形焼きなんて好きではなかった。被害者は同じマンションに住むその愛人から、なんのきなしに人形焼きをもらっていただけ。
「瀬戸物屋の嫁」
嫁、姑は仲が悪い。嫁の大好きなキティちゃんのタオルを勝手に使ってしまった事がきっかけだ。姑は近く友人と旅行に行き、名物のアワビを食べるそうだが、歯が悪くて固いモノが食べれない。
(被害者は、この店の常連で嫁とは最近友人になっていた。嫁はこの被害者に、食用ハサミを買って来てもらうのを頼んでいた→姑の旅行中に使ってもらおうと。 その姑は姑でご当地キティちゃんリストを・・)
「時計屋の犬」
時計屋の主人には駆け落ちで家を出て行ってしまった娘がいる。被害者はここの主人が犬の散歩中によく出会うとメールに書いていた。主人も被害者も、それぞれの子供(娘と、息子の嫁)が子宝に恵まれる事を願って水天宮に時々通っていたのだった。
「洋菓子屋の店員」
洋菓子クアトロには、数ヶ月前から常連になった優しいまなざしの女性客がいる。それは被害者だった。被害者の息子は、偶然、その近くに彼女と同棲しながら暮らしていた。翻訳家の友達が偶然息子をみかけ、二人乗りをしていた彼女が働いているお店を被害者に教えるのだが、たまたまそのころ銀行名が変わってしまったが故に、違うお店と勘違いし通っていたのだった。そのクアトロで被害者が、誰かとタメ口で電話で話していた・・。
「翻訳家の友」
被害者の学生時代からの親友。被害者に翻訳の仕事を回してくれていたが、プロポーズをされたのをきっかけに仕事を辞めようと思い・・・。
実は被害者は、怒っておらず、結婚のお祝いに、綺麗なプレゼントを用意心づもりしていたのだった。
「清掃屋の社長」
被害者のかつての夫は会社で、美しく若い秘書を雇っているが、元クラブのホステスのその女性は、愛人なのでは?との噂が流れている。実はそれは夫が若い頃つき合っていた女性の娘だった。女性がつけていた母の形見の5円玉加工指輪で解ったのだった。
「民芸品屋の客」
何不自由なく贅沢な買い物をして暮らす主婦。夫の稼ぎは幾らなのか解らない。
ある日遊びに来た義父が持っていた駒。
その駒を回す糸が被害者殺害の時使われていたのだった。
「日本橋の刑事」
最後の種明かし。
ちなみに、加賀刑事が所轄に異動させられたきっかけの事件というのは、加賀刑事が恋心を抱いたバレリーナの女性の事件「眠りの森」のことらしいです。
今年の春やっていた阿部寛主演のドラマ版は未見でしたが、いつか再放送など見れる機会があったら、見てみたいです。キャストを見た処、これは合う!って人選が数人いて笑ってしまいました。
新参者 2009-09-18
東野圭吾
カッコウの卵は誰のもの
「パラドックス13」
「 聖女の救済」「ガリレオの苦悩」
流星の絆、眠りの森
赤い指、悪意
「ダイイングアイ」「夜明けの街で」感想
「たぶん最後のご挨拶」「あの頃ぼくらはアホでした」 「容疑者Xの献身」東野 圭吾 感想
「手紙」東野 圭吾 読む価値の高い、お薦めの作品
「白夜行」小説・ドラマ比較と、「幻夜」感想
白夜行 東野 圭吾 小説読んだ感想
さまよう刃
そうなんですよね、ドラマ版、再放送してくれないだろうか・・って待ってる処なんですよ。
見てみたかったです。
hitoさんもこの作品が最近の東野さんの中で一番というのが同じで、嬉しいですー
プラチナデーター、何時回って来ることやら・・・。
派手さはないけどとても加賀さんの優しさが沁みるいい作品でしたね♪
私もlatifaさんと同じで最近の東野さんの中では一番でした!!
加賀さんシリーズは今後もずっと続けて書いて欲しいものです。