平野啓一郎さんの本を何か読んでみようと思い、まずは最初の作品で芥川賞を取った「日蝕」をリクエストしましたが、少し読んで難解な漢字や言葉や内容でもう無理・・・と挫折。
その後「高瀬川」にトライ
こちらは平野さんのそれまでの作風とは違う第2期(短篇・実験期)にあたる作品だそうです。
4つお話が入っていて、2つめのタイトル作は、若い作家さんと仕事で知り合った女性との関係を濃厚に描いた恋愛系の内容でした。
主人公の作家さんは、平野さんと重なる処がある設定っぽいし、いつも冷静沈着で取り乱したり激しく気持ちを動かされたりしないタイプ。デートしたり行為の最中も落ち着いている。
この小説、とても性描写が長くて細かい。
でも、ちゃんとストーリーとして興味を惹かれる部分もありました。
彼女は過去に妊娠・流産した経験があって、その流産した時の経験がトラウマになり、一度はいて脱いだ下着を再度履くのが気持ちが悪くて無理になっているんですよね。それで片足にかけたまま行為をしたりしているのです。
3つ目は私は、よく解りませんでした。バラバラな文章が並んでいました。
4つめの氷塊は面白かったです!
私の中での平野さんらしさを感じる筆力というか。
とりたてて大きな事件があるわけじゃないけれども、心理描写が上手くて、グイグイ物語に引き込んでくれました。
内容は、上下二段になっていて
上の段は私立中学に通い始めたばかりの少年の目線
ある時偶然見た女性が自分の亡き母なのではないか?と思う。
下の段は その女性の過去と日常。現在不倫をしています。
彼女目線で上の少年を見た処が書かれています。
★以下ネタバレ★
2つ目の最後はペットボトルにお互いの下着を入れて川に流しちゃうというところで終わってました。
4つ目のお話
少年のは妄想ですよね。お母さんではありませんが、恋に近い気持ちかな?彼のドキドキする様子が読みながら手に汗握る 笑
女性の方は、彼女が不倫するに至る経緯や気持ちが凄く丁寧に書かれていて、凄くリアルで納得がいくものでした。
彼女は自分が不倫している医者の息子なんじゃないか?と勝手に妄想していて(違う)
毎週約束している美術館の喫茶店で待ち合わせをしている処だったのです。
結局少年は勇気を出して喫茶店の中に入って行くのですが、お店の女性が水をこぼしてしまい、テーブルに大量の水と氷が・・・。
この後、彼女はもう彼と会うのは辞めようと決意しているし、2人が会うことはなかったのでしょうね・・・ 以上
次は、第3期(前期分人主義)の「ドーン」『かたちだけの愛』が手元にあるのですが、読めるかな・・・(「ドーン」は途中で挫折してしまいました・・)
『高瀬川』 2003/03/28
表題作は、私小説的な設定で若い男女の一夜をリリカルに描写し、性をコミュニケーションの過程に繊細に位置づける。記憶のない父の死を、比喩化された言葉によって反復的に再構成してゆく「追憶」。存在の孤独が、幻視的な光景と共に鮮烈に表現された「清水」。「氷塊」は、母を失った少年と不倫をする女との儚い誤解を、上下二段に分割された斬新な手法で描く。
初出
清水(『波』1999年5月号)
高瀬川(『群像』2003年1月号)
追憶(『21世紀 文学の創造9 ことばのたくらみ―実作集』)
氷塊(『新潮』2003年2月号)
・・・・・・・・・・・・・・
かたちだけの愛
義足についてとか、詳しく書かれており、知らない事も多かったので、そういう部分では興味深く読ませてもらいました。
なんだろう・・・「マチネ」でも思ったのだけれど、何か少女漫画チック(大変失礼ですいません!)に感じる処があって・・・ハマれないというか、ちょっと距離を置いて冷静な頭で読んでしまうというか・・・。
基本的に恋愛物があまり好みではない私が読むのが、そもそもイカンのだと思います。
3つ★
車いすや杖や義足もカッコイイとかお洒落!自分も使ってみたい!と思われるデザインにすると、人の見る目や印象が変わるというのは、確かにあると思います。
片足を失った女優、叶世久美子とデザイナー相良郁哉の愛の模索の物語。
冒頭は車の事故現場に居合わせた人間と大けがをした女性という出会い方でした。
そしてその場から逃げた男。このどうしょうもない男が最後まで許せないというか、凄く嫌な奴で気分が悪かったわ。
★以下ネタバレ★
そもそも何故あんな男と付き合っていたのか?が謎過ぎる・・・
後半で久美子の方から連絡を取ってその男とヌード写真撮影に・・って呆れたわ。
後に、これはかっさらいに来てもらいたいが為の彼女の策とカメラマンさんが言うのだけれど、それがそうだったとして凄く面倒くさい迷惑な事する女だな、とやっぱり印象悪くて。
ラストは華やかなパリコレのランウエイで・・・というハッピーエンドになっていました。病院の差し入れに、手作りの「みかんを花の形に入れた牛乳寒天」はすごい!って思った。 以上
エイミー・マリンズという義足の綺麗で積極的に色々活動されている人。YOU-TUBEで見て来ましたよー。すごいな。
『かたちだけの愛』2012/10/26
第2期の多種多様な試みを経て、いよいよ本格的な第3期(前期分人主義)へ(以下4作)
『決壊』『ドーン』『かたちだけの愛』『空白を満たしなさい』
この後、第4期(後期分人主義)へ
「決壊」小説版「空白を満たしなさい」本心
この作家さん、あ~~「マチネ」だ!!ギタリストとの恋のヤツ!一度しか会ったことのない人に、そんなに恋するってよく分からなかった。
それ以降、読んでないんだけど・・・「本心」の感想を書いてる人が多く、気になってました。
短編のもあるのね。短編は、短いからすぐに読み終えることが出来て良いですよね。
ん~でも↑の感想を読んでると微妙だ!(笑)
私には理解出来ない作家さんなのかな?
平野さんの本、私も初期の頃の作品はまだ読んだことがないの。
難解と聞いているし、長編なので、ついしり込みしてしまって...
ショパンを題材にしているという「葬送」は興味があるのだけれど、果たして読めるかしら?
「高瀬舟」と聞いて、森鴎外だと思ったら、平野さんも同名の短編集を書いていらっしゃるのね。
平野さんに限らず、私は作者と作品をつい重ねながら読んでしまうので
生々しい性描写を書く作家さんて勇気があると思っちゃうわ。^^;
ま、作家というプロとしてのイマジネーションで書いているのかもしれないけれど。
「かたちだけの愛」読んだような気がしていたけれど、ストーリーを拝見すると読んでいなかったみたい。
パラリンピックを見ると、最近の義足はかっこいいし、テクノロジーがすごいですよね。
好き嫌いは別として、乙武さんが身体障碍者に対する人々の偏見を変えた業績はすごいと思う。
秋に平野さんの新作(短編集らしい)が出るそうなので楽しみにしています。
うわん、、お忙しいのに来てくれてコメントありがとうございます。
月に10回病院って、、そりゃあキツ過ぎますね・・・
私も母の付き添いで結構行ってるけど、自分のと含めて10回は超えてない。
なんとか今月乗り切ってね・・・
で、これ。
そうそう、マチネの人。
「空白を満たしなさい」の人だよ。
私は「空白を満たしなさい」「本心」「ある男」の3つが面白かったので、過去作品にも手を伸ばしている最中なの。
「本心」は今度映画化されるみたいね。
ちなみにこの2作は、おすすめしない・・・
コメントありがとうございます。
私も初期のは読んだ事がなかったから、色々手を出している最中なのだけれど、今の処昔の平野作品は、あまり自分には合わないみたいかな・・・って思っているところです・・。
合わない以前に難しくて読破できずに挫折したのもあるし・・・。
>私は作者と作品をつい重ねながら読んでしまうので
私も!だから好印象な主人公だと作家さんもこういう人なのかな?なんて思っちゃうし、嫌な奴だと・・
性描写は、ここまで書くの?って位、かなり詳細に長く書いてあって、びっくりしちゃった。
高瀬舟は京都に土地勘がある人だとちょっと楽しめるかもです。
義足とか車椅子とかカッコイイのありますよねー。そういうのは凄く良いと思うわ。
乙武君!最初の本、凄く面白く読んだわー!
彼のその後の波乱万丈な人生、あの時点で全く想像がつかなかった・・・
色々な意味で凄いわ・・