「削除ボーイズ0326」方波見大志(かたばみ だいし)1980年生まれ
第1回(2006年)ポプラ社小説大賞受賞作 なんと賞金がこれ1編で、2千万円!
小学校6年生のクラスの中の派閥やら、微妙な上下関係などの人間関係が半分、あと半分は、奇妙な機械で3分26秒過去の時間(出来事)を消せる事によって、過去が変わって来てしまう事・・・(映画バタフライ・エフェクトみたいな感じ)を書いた小説。
読んだ感想は、そもそも文学のブも解らない私が言う資格も無い訳で、でも、恐れながら・・・率直に言わせて頂くと、2000万円もらうような、1等になるような、凄い小説だとは、思わなかったな・・・(すいません)
多分小学生のクラスの中の人間関係をなかなかリアルに描いている部分を評価されたんじゃないのかな?って気も・・・。中学とか高校っていうのは、よくあるけど、小学校を舞台っていうのは、珍しく感じたし、私も初めて読んだから。
それにしても、株やってたり、ブログをみんながやってたり、女子との付き合いとかも、ずいぶんマセててびっくり。私の6年生だった時と全然違うわ。
後味が良い本ではなかったし、この主人公にも、ハルにも、クラスで孤立して友人を作るのが苦手な地味な女子「浮石」、イジメに近い待遇を受けてる、パシリな「コタケ」、クリオネみたいだったのに、急浮上の野望を持つ「種村」など、、、誰にも共感や、感情移入が出来なかった。飽きることなく、どうなるんだ?って読み進めたものの、好きな本ではありませんでした。
時間を削除出来るという発想は、面白いと思いましたが、色々な部分が、結構安易で、都合良い・・・様な文章の様な感じを受けるところも・・・。
一番萎えたのが、種村の「父が社長なんだぞ!」的な発言・・・。イマドキあるんでしょうか?しかも6年生で。(ほんとにあったら、呆れ果てますが)。それに関連した、マラソン大会での高橋の一件も・・・。
一番この小説で、印象的だけど、憂鬱になったのは、ハルの変貌ですね・・・。最初ハルは、クラスのリーダー的存在だった。彼の行動力や、誰よりも走るのが速いこと等で、圧倒的な権力を握っていたわけです。それが、ある事件以来、歩けなくなって、車椅子に乗ることになってしまったら、今までの地位?は、どこへやら。みんな彼から離れて行った。主人公は、そのハルの幼馴染みであり、常にどんな状態であっても彼の側にいる存在だったわけです。
★以下ネタバレです。文字反転して下さい★
ハルの足が元に戻った時、ハルは、車椅子だった時の記憶を失います。でも、ハル以外の子(主人公、浮石、コタケ)は覚えています。
ハルが車椅子だった時に側にいた浮石や、コタケを、足が戻ったハルは、小馬鹿にした様な態度を取ります。(以前足が悪くなる前もそうだったように)。忘れちゃったんだからしょうがない。そりゃそうです。これが現実ってもの。それでも、この主人公のグッチは、黙ってそれを見ているだけ。ハルに説明しちゃダメだったんだろうか?かつて君は車椅子で・・・こんなことがあって・・・・って。私、こういうハルみたいな、絶対権力を持って君臨している、気まぐれな暴君みたいな子、嫌いだな。給食のパンとか、取り上げて食べるとか、これって、ふざけの域を超えてる気がするわ。以上
このお話は、6年生だから、12歳。
以前読んだ、石田衣良さんの「4TEEN」という本は、14歳の中2の男の友人関係を書いた本。(こちらも、車椅子ではないけれど、仲間の一人の子は、病気を持っているという設定)「4TEEN」は、なんか上手く行きすぎ・・?と思っちゃう部分や、こんな優しくて良い子が、果たしているんだろうか?的な目で見てしまう部分が無いわけじゃないけれど、それでも、こんな仲間を持てたら、凄く幸せな人生だろうな!と思わせてくれるんだけれども、この「削除ボーイズ0326」は、こんな友人関係、嫌だな・・って思っちゃいました。
他に、小学校とか小学生が主人公で舞台の読み物といえば、随分前に読んだ、hanaeの「小学生日記」というのがあります。こちらはエッセイですが、私は、こちらの方が好きですね。この本が出版されて話題になったのは、もう何年か前なので、hanaeちゃん自身も、もう中学生?もしや高1くらいになってるのかな。
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小学生日記/hanae
hanaeちゃんは、アメリカ人の時間や整理整頓にアバウトなお父さんと、日本人の早く、時間通りに、ということをモットーにしてるフリマ好きなお母さんの間に産まれたハーフ。お父さんとお母さんは離婚して、お母さんは再婚し、今は血の繋がってないお父さんと一緒に暮らしている6年生の女の子。
hanaeちゃんには、モトイというお兄ちゃんがいて、アメリカでお父さんと暮らしていたけれど、日本に引っ越してくる。そんな彼女に日常を書いた日記みたいな小説なのだけれど、小学生らしい文章なのだけれど、私よりも、ずっと文章が上手い。
一杯文学賞も取ってるみたい。
hanaeママとの会話では、なるほど~って思う部分が色々ありました。
「アメリカは元気になれるところだよね」「日本は反省ばっかりするところ」「日本では、自慢っぽいことは言っちゃまずいんだ・・・」って部分とか、アメリカの学校と日本の学校の差とかも、興味深かったです。
モトイとママは、重松清がとてもお気に入りの作家らしい。私も結構読んでいるので嬉しくなったし、hanaeちゃんは、J-WAVEがお気に入りらしく、ラジオに対する思い?みたいのも同じだわ~って共感出来る部分が一杯あって、hanaeちゃんって小学生だけど、友達になれそうな人だな~なんて思っちゃいました☆
このhanaeちゃんは、後日解ったことには、映画だかドラマ版だかの「4TEEN」に出演していたそうです。未見ですが。
小学生なのに、大人びてましたね。
小学生で株取引はもはやスタンダードなんでしょうか?
ハルに関しては最後の「心の汗」という台詞(はっきりと覚えてないんですが…)で変わってなかったんだなぁ~と解釈したんですが、どうでしょう?
「小学生日記」私も読んだことあります。
hanaeから華恵に名前を変えてから書いた「本を読むわたし」も良かったですよ
こちらこそ、TBとコメント、どうもありがとうございました!
いや~、いまどきの小学生、これが本当だったら、なんかビックリですわ・・・。
少なくとも私の回りにいる小学生は、こんなに大人っぽくないです・・・。都会と田舎じゃ違うのかな・・。(私は田舎に住んでいます^^)
「心の汗」ありましたね、「嬉し汗が出てるぞ」?だったかな??読んだばっかりなのに、もう忘れていますw
小学生日記も、読まれたことがあったのですねー。
>hanaeから華恵に名前を変えてから書いた「本を読むわたし」も良かったですよ
わ~い!情報、ありがとうございます!是非読んでみますね
うれしかったです。
↑の本はじめて知ったのだけど、児童書好きな
私にとっては興味深い作品だわ。
やっぱり作者が若い・・(80年代生まれだよね)と
描かれる世界も今風なものになるのね。
私は同じ世代の方が書く児童書の方が
入りやすかったりもしますね。
小学生日記は読んだことないのですが
華恵さんのお名前は聞いたことがあります。
エビノートさんも(初めまして)書いていらっしゃったけれど、本を読む私・・は今年話題になっていましたものね。私もチェックしよう・・。
それにしても。latifaさん、沢山本を読んでいらして凄いな・・。なにかお薦めあったら教えてね
ではでは・・。
なんか、我ら(一緒にしていいのかな)の年になると、あんまりお誕生日って、嬉しいって感じじゃ無くなっては来るけれどもね^^
削除ボーイズ0326は、王様のブランチで、前に紹介してるのを見て知ったんだ。図書館に丁度入荷していたので、リクエスト待ちしていたのが回って来たの。
>私は同じ世代の方が書く児童書の方が入りやすかったりもしますね
うん、うん。私もそういう傾向があるよ。
でもね、hanaeちゃんだって、相当若いでしょう?この削除ボーイズの作家さんが80年生まれ、hanaeちゃんはもしや90年生まれ?位だけど、何故かhanaeちゃんの文や、彼女の思考回路は、好きだし、友達になれそう?に感じるんだ。
すっごく年が違っても、妙に波長が合う人と、たとえ同じ年でも、なんか合わない・・って人がいるように、世代を越えて、そういうのって、あるのかな。
私が10代の頃って、手に取る本の殆どが、自分より20,30歳年上の作家さんばっかりで、なんだか、共感出来る小説が無いなぁ・・・って思っていたんだ。自分よりもずっと大人な感覚の人達って思っていたのね。そりゃもちろん面白く読める本も一杯あったけれど、面白いって思える小説が、共感出来る小説?ってわけではなかったりするからね。
(ただ単に私が読んだ本が少なくて、そういう共感出来る本にたまたま巡り会えなかっただけなのかもしれないけど)
自分が年取って嬉しいな~って思えることの一つに、今では自分と同じ世代の作家さんの本が一杯溢れていて、共感出来る本が一杯有るってことなんだ☆
で、10代の時、私が最初に、共感出来る文章を書く人だな、って思ったのが、村上春樹さんだったんだ・・・。だから、初期の頃は、はまって読みあさっていたのよ。(でも前にも話したかと思うけれど、最近は全然読んでないんだけどね・・・)
こちらこそ、色々教えておくれ!みみこさんの方が、私なんかよりも、雲泥の差に、ず~~~っと詳しいよ!!!映画も小説も、いつも頼りにさせて頂いてます~
これ・・です。読みました。
うんうん!!私もバタフライ・エフェクトを思いだしたわ。でもあの映画みたいな、せつない思いは
感じなかったな・・。
あっ、そ!!みたいな感想。
それはこの主人公をはじめ、出てくる子たちに
共感できなかったからかもね。
今の子どもたちってここまでひどいのかな。
世間では色々言われているけど。
でもうちの子のクラスはこんな雰囲気でないから現実的にピン!!とこなかったわ。
だって、まだまだ性格いい子いっぱいいるしね。
ということでlatifaさんと同じような印象でした★
そうなのよね~。バタフライエフェクトは、何故か感情移入出来たし、良かったんだけど、この小説は、なにか今ひとつ・・・だったわ。
>あっ、そ!!みたいな感想
うははは みみこさん、言うねぇ~^^ でも、私も同じ感想だったわ!
こういう子達がいるところには、いるんだろうけれど、、でもさ、書いてる人は、20代なわけでしょう?これを書いたのが、小学生だったら(ありえんけど)ちょっと違った風に私は受け止めたけど・・・・。
何かさ、たとえば、女子高生って言ったら、みんな遊んでる子や、援助交際とかしてる子が多いような、そんな、とらえ方した映画やら小説とか結構多いよね?でも、実はそうじゃないって思うんだ(推察だけどね) そういう子もいるかもしれないけど、そうじゃない子だって結構一杯いると思うのよ。
で、そういう内容の小説や映画を作ってる側っていうのが、女子校生ではなくて、殆どの場合大人なのよね。たまにそういうの書く本当の女子高生もいるけど、それは、たまたまやってる側の子なわけで。そうじゃない女子高生が書いた小説とかなんて、話題にもならないから表に出ないじゃない?そうすると、一部のそういう話題になりそうな経験した子だけが、表に目立って出ることになって、世間に目につくと、そういう子が多い様な錯覚になるっていうか・・・。
上手く言えないけど、今回のこの削除ボーイズの作者さんが、小学生の日常を書いたことも、なんとな~く、それと、かぶる感じがあってね。