リートリンの覚書

日本書紀 巻第五 御間城入彦五十瓊殖天皇 六


日本書紀 巻第五 
御間城入彦五十瓊殖天皇 六


それほど時が経たないうちに、

武埴安彦と妻・吾田媛が反逆を謀り、
兵を起こし、
いちはやく攻め込んできました。

それぞれ道を分かれ、
夫は山背(やましろ)から、

婦は大坂から、
同時に帝京(都)を襲おうとしました。

この時、天皇は、
五十狭芹彦命(いさせりひこ)を派遣して、
山背に向かわせ、
吾田媛を攻撃しました。

(五十狭芹彦命は)
大坂で(吾田媛の軍を)遮り、
全て大破しました。

そして、
吾田媛を殺し、
その軍卒をことごとく斬りました。

また、大彦と
和珥(わに)臣の
遠祖・彦国葺(ひこくにふく)を派遣して、
山背に向かわせ、
埴安彦を撃ちました。

この時、
祭祀用の瓦を和珥の武スキ坂上に
鎮座させました。

(さらに)精兵を率いて進み、
那羅山(ならやま)に登り軍陣をしきました。

戦の時に
官軍は草木を踏み鳴らしました。

そこでその山を
那羅山(ならやま)といいます。

また那羅山を去り、
進み輪韓河(わから)に到着して、
埴安彦と河を挟んで対峙し、
互いに挑みました。

そこで時の人は、
その河の名を改めて
挑河(いどみ)いいました。

今、泉河というのは訛ったからです。

埴安彦は対岸から望んで、
彦国葺に、
「どういう理由で、
お前は軍兵を挙げて来たのか?」
と問いました。

「汝は、
天に逆らい道無である、
王室を傾けようと欲した。

故に義兵を挙兵し、
お前の反逆を討伐しようと思った。
これは天皇の命である。」
と答えました。

こうして、
それぞれ先に射ることを争いました。

武埴安彦が先に射りましが、
彦国葺に当たりませんでした。

彦国葺は後から射りましたが、
それは埴安彦の胸に命中し殺しました。

その(埴安彦の)軍衆は脅えて退却しました。

ただちにそれ追撃をし、
河の北にてそれを破り、

首を斬った敵兵の数は半数を超えました。
多くの屍で溢れました。

故にそこを名付けて、
羽振苑(はふりその)といいます。

また、
その卒兵が怖気づき逃走して、
糞が褌(はかま)より漏れました。
そこで甲(よろい)を脱いで逃げました。

しかし逃れられないと知ると、
頭を地面に叩ちつけて、
「我が君」
といいました。

時の人が、
甲を脱いだ場所を名付けて、
伽和羅(かわら)といい、

袴より糞の落ちた場所を
糞褌(くそはかま)といいました。

今、樟葉(くすは)というのは
訛ったからです。

また頭を叩ちつけた場所を名付けて、
我君(あぎ)といいました。



山背(やましろ)
山城。京都府

大坂
奈良県香芝市穴虫

那羅山(ならやま)
奈良市北辺の丘陵

羽振苑(はふりその)
京都府精華町祝園

伽和羅(かわら)
京都府田辺町河原

樟葉(くすは)
大阪府枚方市楠葉

五十狭芹彦命の詳細はこちら

武埴安彦の詳細はこちら



感想

前回のお話では、
地方平定に派遣された大彦命が
道中で出会った、
不思議な少女の歌を聞き、
都に引き返し、
詳細を奏言しました。

倭迹々日百襲姫がそれを聞き、
武埴安彦謀叛ありと
気づき、
天皇に対策をするよう忠告をしました。

今回のお話は、

やはり謀叛を、起こした武埴安彦。

天皇は
対策を議論していたので、
遅れを取らず、
すぐに、討伐に向かうことがでしました。

二手に分かれた武埴安彦と妻・吾田媛。

大坂、(現・奈良県香芝市穴虫)で激突した、
五十狭芹彦命率いる天皇軍と吾田媛の軍。

天皇軍が吾田媛の軍を破り
吾田媛は討伐されました。

一方、

輪韓河(現・木津川)で激突した、
大彦命と和珥(わに)臣の遠祖・彦国葺率いる
天皇軍と武埴安彦軍。

彦国葺が射った矢が
彦国葺の心臓に命中して
武埴安彦は倒されました。

その後、武埴安彦軍の残党は
逃げて羽振苑(現・京都府精華町祝園)にて
半数が討伐されました。

と。

今回のお話。
知っている場所が次々と出てきて
なんだか複雑😔

祝園に行ったことがあるのですが、
その際には、
日本書紀のこのお話全く知りませんでした。

駅を降りてまず駅名「祝園」を見て
なんて読むの?
と、悩みましたよ。

いわいその?
いわその?

そこでふりがなを見ると、

「ほうその」😳

祝って「ほう」とも読めるんだ。
と驚いたことがありました。

この駅名、
難読駅のひとつにあげられています。

今回のお話を読んで、
名前の由来を知り、納得。

イメージ払拭の為に
良い印象の漢字を
当てはめたってことですかね。

…歴史を知らないと、
ウッカリ古戦場跡地とか
住んじゃうって事になることを
今回学びました。

まぁ、
千年以上前のお話ですから、
今は祝の字の影響か、

京都府精華町は、

平成17年には、
人口増加率29.9%と全国一位になりました。
国立図書館もあるしね。

今は、
イヤシロチになったのかな。

さて、今日はこの辺で。

明日に続きます。

最後まで読んで頂き
ありがとうございました。


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