皇后さまとご養蚕
養蚕の始まりは、
今から5000~6000年前、
中国最初の皇帝・黄帝(こうてい)の妃が
初めて蚕を飼い、
民衆に広めたのが始まりといわれています。
日本での起源は
明確ではありませんが、
「日本書紀」には、
5世紀ごろ雄略天皇が
后妃(きさきみめ)に
養蚕を勧めようとされたことが
記されています。
現在、
皇居で行われている養蚕は、
明治4年に
明治天皇の皇后、
昭憲(しょうけん)皇太后が
宮中でお始めになり、
代々継がれてきたものです。
明治38年、
大正天皇の皇后、
貞明(ていめい)皇后は、
皇太子妃時代に
東京蚕業講習所から
純日本種の小石丸(こいしまる)を持ち帰り、
飼育を始められました。
それを昭和天皇の皇后、
香淳(こうじゅん)皇后が
大切にお守りになり、
そして、
上皇后・美智子さまが受け継がれ、
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令和になり
皇后陛下・雅子さまへと引き継がれています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/f8/cbcba431e4b7a7f6e60c02cadefa2b07.jpg)
明治から大正、
そして昭和の戦前までは、
皇后陛下が養蚕を行うことは
殖産興業として奨励するという
意味がありました。
現代では、
日本伝統的な文化を守り伝える
意味合いが強いです。
美智子さまは、
毎年5月上旬前後から
約2か月間のご養蚕の期間
「御養蚕始の儀」、
2度の「御給桑(ごきゅうそう)」
と「上簇(じょうぞく)」
「初繭掻き」
「御養蚕納の儀」
といった定例の行事を行い、
それ以外にも何度も
紅葉山御養蚕所や桑園に足を運ばれ、
ご公務の合間に自ら、
丹念に作業をされていたそうです。
紅葉山五養蚕所とは
昭憲皇太后が、
宮中での養蚕を復興して、
大正3年(1914)に
吹上御苑内の紅葉山に
養蚕所が設置されました。
1階は蚕の飼育室、
2階は繭になる過程の蚕を育てる
上蔟(じょうぞく)室となっています。
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出典:Wikipedia
ご養蚕の主な作業のながれ
御養蚕始の儀
⬇︎
1・掃立(はきた)て
蟻蚕を蚕座に移し、初めて桑を与えます。
羽ぼうきを使って
蟻蚕を掃き下ろすところから
「掃立て」と呼ばれています。
・蟻蚕(ぎさん)
卵から孵化したばかりの蚕
・蚕座(さんざ)
蚕を育てるところ
⬇︎
2・給桑(きゅうそう)
蚕に桑を与えることを「給桑」といいます。
蚕が小さいうちは
細かく刻んだ桑の葉を与え、
次第に枝付きの葉を与えます。
皇后さまは定例行事として
毎年2度「御給桑」に
お出ましになられます。
⬇︎
3・上簇(じょうぞく)
熟蚕を「簇(まぶし)」という
蚕が繭をつくる場所に移します。
・熟蚕
繭をつくる段階になった蚕
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紅葉山御養蚕所では
一般的な回転簇などのほか、
皇后さま御自身が
藁を編んでおつくりになる
昔ながらの藁簇が使用されます。
上簇から一晩明けると蚕は糸を吐き始め、
2~3日で繭になります。
⬇︎
4・初繭掻き
繭の中で脱皮して蛹になった後、
約10日で繭を簇から外します。
その最初の作業を「初繭掻き」と呼び、
皇后さまが行われます。
初繭掻きで繭を集めた後、
毛羽取り機を使って、
繭のまわりについている毛羽を
取る作業も皇后さまが行われます。
毛羽は繊維としては弱いため、
取り除かれます。
⬇︎
御養蚕納の儀
紅葉山御養蚕所で育てられる蚕
・純日本種「小石丸」
色は純白。
他と比べると少し小ぶりで
中央がくぼんでおり、
落花生のような形をしています。
・「白繭種(はっけんしゅ)」
日本産と中国産の交雑種で、
小石丸より大きく色は純白。
・「黄繭種(おうけんしゅ)」
欧州産と中国産の交雑種。
大きさは白繭種と同じ大きさですが、
色は黄色。
・「天蚕(てんさん)」
戸外に設けられた囲いの中で
くぬぎの葉で育てられる野生種。
他のものより若干大きく、
色は若草色をしています。
感想
天皇陛下は稲作、
皇后陛下は養蚕と、
両陛下、
御公務の合間に
日本の伝統を守っていらっしゃる。
伝統を守るだけでなく、
作られた米や絹は、
神々に供えられるのです。
素晴らしいことです。
頭が下がります。
さて、
女性天皇賛成と言っている方々は、
このことをご存知なのでしょうか?
それは…
御公務、祭事、育児、伝統行事、
稲作、養蚕…
全てを女性天皇が一人で
やれと言っているようなもの。
おいおい。
なんてブラックな。
そういう人たちは、
祭事、伝統なんて守らなくていい
って言い出しそう…
でも、
天皇皇后両陛下は、
国民を代表して、
神々に供えるものを作り、
祈りを捧げているのです。
それをやめてしまったら…
日本はどうなるのでしょうか?
(日本列島には、誰も住めない状況になったりして😱)
今一度、
考えていただきたいものです。
さて、今日はこれにて。
最後まで読んで頂き
ありがとうございました。