一・一書に曰く、
兄の火酢芹命は、
海の幸(獲物)を
よくとることがでました。
弟の彦火火出見尊は、
山の幸(獲物)を
よくとることができました。
ある時、
兄弟はお互いにその道具を
とりかえようと思いました。
そこで、兄は弟の道具の弓を持ち、
山に入り獣を探しましたが、
獣の乾いた足跡すら
見つけることができませんでした。
弟は兄の道具の釣針を持ち、
海に入り魚を釣りました。
しかし何一つ獲ることが
できませんでした。
あげくのはてに
その釣針を失ってしまいました。
兄は、弟に弓を返し、
失くした自分の釣針を
(返すよう)責めました。
弟は憂いて、
所持していた横刀で針を作り、
一つの箕に盛って兄にあげました。
しかし、兄は受け取らず、
「やはり自分の道具の針が欲しい」
といいました。
彦火火出見尊は、
求める所も分からず、
ただ憂いて、呻くだけでした。
いつしか海辺に行き着いて、
さまよい、嘆いていました。
そこに一人の長老(おきな)が
忽然とやってきて、
鹽土老翁(しおつちのおじ)と
自ら名のると、
「君は誰かな。何ゆえに憂いているのか」
と問いました。
そこで彦火火出見尊は
詳しい事情を話しました。
老翁は、
すぐさま袋の中の黒い櫛を
取り出して地に投げました。
すると五百箇竹林になりました。
そこでその竹を取り、
目のあらい籠を作ると、
彦火火出見尊を中に入れ、
海に投げ入れました。
別伝では、
目の無い堅くあんだ籠を
浮木(うけき)に作り、
細縄で彦火火出見尊を
結び付けて沈めたと。
これは所謂(いわゆる)堅間(かたまは)これは今の竹籠(たけのこなり)です。
時に、
海底(わたのそこ)の
美しい浜が自ずとありました。
浜辺に添って進むと、
忽然と
海神(わたつみかみ)
豊玉彦(とよたまひこ)の宮に着きました。
その宮は、城門を高く飾り、
楼台は壮麗ものでした。
門の外に井戸がありました。
その井戸の傍らに
杜(かつら)の樹がありました。
そこでこの木の下に立ちました。
しばらすると、
一人の美人がきて、
容貌は絶世の(美しさ)で、
多くの侍女を従え、
宮殿の中から出てきました。
玉壺で水を汲もうとして、
仰ぎ(見ると)
彦火火出見尊を見つけました。
そこで、驚いてもどり、
その父神に、
「門の前の井戸の傍らの樹の下に
一人の貴客がいます。
容姿は常人ではありません。
天下りされた方のような、
天の面持ち、
地より来た方のように、
地の面持ち。
本当に美しい方。
虚津彦(そらつひこ)という方でしょうか」
別伝では、豊玉姫の従者が
玉瓶(たまのつるべ)を持ち、
水を汲もうとしましたが、
どうしても満たすことが
出来ませんでした。
井戸の中をのぞいたら、
人の笑顔が逆さまに映っていました。
そこで仰ぎ見ると、
ひとりの美しい神がいて、
杜の木によりかかっていました。
そこでもどって(宮へ)入り、
その王に話しました。
そこで豊玉彦は、
人を遣わせ問いました。
「あなたは誰ですか。
どういうわけでここに
いらっしゃったのですか」
そこで、
「私は彦火火出見尊。私は天神の孫です」
と答えました。
そしてついに来意を話しました。
海神は迎え(に出て、天神を)、
拝すると、(宮内へ)引き入れました。
そして丁寧にもてなしました。
そのようなわけで、
娘の豊玉姫を妻としました。
そして海宮に留まり住んで、
三年が経ちました。
この後に彦火火出見尊は、
しばしば溜息をつきました。
豊玉姫は、
「もしかすると、
故郷に帰りたいとお思いでは」
と問いました。
「そうなのだ」
豊玉姫は、すぐに父神に話しました。
「ここにおいでの貴い客は
上の国に帰りたいと思っています」
海神は、海の魚全てを集め、
釣針を求めて、問うと、
ある魚が、
「赤女が長い間口の中を病んでいます。
ある伝えでは、赤鯛だといいます。
疑わしいです。
これが呑んでいるのではないでしょうか」
と答えました。
すぐに赤女を召して、
その口の中を見ると、
釣針は、まだ口の中にありました。
それを取ると、授けました。
そして彦火火出見尊に教えて、
「お前の兄に針を渡すとき、
『貧しさのもと、飢えの始め、
苦しみのもと』と呪いをいい。
そののち渡しなさい。
またお前の兄が海を渡るとき、
私が必ず疾風(はやて)と
大浪を起こして、
溺れさせ苦しませよう」
といいました。
そして、彦火火出見尊を大鰐に乗せて、
送ってあげました。
これから故郷に
帰ろうという別れの時に、
豊玉姫は、おもむろに、
「私は妊娠しました。
風波のさかんな日に、海浜へ行きます。
私のために産屋を作って
待っていてください」
といいました。
のちに、豊玉姫は、
その言葉通りにやってきました。
そして、彦火火出見尊に、
「私は、今夜産みます。
どうか見ないでください」
といいました。
しかし、彦火火出見尊はききいれず、
櫛を燃やして見てみると、
豊玉姫は八尋の大熊鰐となり、
這いまわっていました。
ついに、恥ずかしめられたのを恨み、
すぐに海郷(わたつみのくに)に
帰ってしまいました。
(豊玉姫は、)
その妹を残しました。
(生まれた子は、妹・)
玉依姫の養い子としました。
子の名、
彦波瀲武鸕草葺不合尊
(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)というわけは、
その海浜で産屋は、
すべて鸕鷀(う)の羽を
草(かや)として葺きましたが、
屋根の棟も(葺き)終わらないうちに、
子が生まれたというので、
それで名づけられたのです。
日本書紀に登場する神様一覧 第九段〜は、
こちら
昨日、眠気と戦いながら
別の一書の
記事の校正をしていたら
うっかり、発表していました😰
後日、
きちんと校正して発表し直します🙇🏻
もう、
眠い時に、
記事を書くのはやめよう😔
昨日の本文と
あまり変わりない物語ですね。
しかし、
昨日も思ったのですが
お腹を痛めて産んだ子を
置いていくとは…
時々、神様の行動に疑問が…
さて、明日もまた異伝です。
また、お付き合い頂けたら
これ幸いです。
読んで頂き
ありがとうございました。
・独り言
昨日、コロナウィルス関係の
ニュースを見まして、
傾向を述べている方がいました。
その中で、暑い地域は、
感染者拡大が少ない、症状が軽い。
逆に、寒い地域は、
感染者拡大し、症状が重い傾向と。
では、
イランで感染者が増えているのは何故?
と思ったら、
まさかの砂漠に雪。
本当に地球温暖化?
しかし、
疫病に、
大量発生の虫、
各地の異常気象。
地球怒ってねぇ?
と思う今日この頃。
地球に
人間は癌細胞と思われないように
気をつけたいですね。