日本書紀 巻第三十
高天原廣野姫天皇 十九
・即位
・大赦
四年春正月一日、
物部麻呂朝臣
(もののべのまろのあそみ)が、
大盾を樹(た)てました。
神祗伯の中臣大嶋朝臣
(なかとみのおおしまのあそみ)が、
天神寿詞(あまつかみのよごと)を
読みました。
おえると、
忌部宿禰色夫知
(いみべのすくねしこぶち)が、
神璽(しんじ)である劒と鏡を
皇后に奉上(ほうじょう)しました。
皇后が、
天皇の位に卽(つ)きました。
公卿百寮が、
羅列して匝(めぐ)り、
拜み、拍手をしました。
二日、
公卿百寮が、
元会儀(げんかいぎ)の如く拝朝しました。
丹比嶋真人
(たじひのしまのまひと)と
布勢御主人朝臣
(ふせのみぬしのあそみ)が、
賀騰極を奏しました。
三日、
公卿と內裏で
宴(とよのあかり)をしました。
衣装を賜りました。
十五日、
百寮が薪を進めました。
十七日、
天下に大赦をしました。
ただ、
常赦(じょうしゃ)を免れない所は、
赦の例に入れませんでした。
位のあるものに、
爵一級を賜りました。
鰥寡(かんか)、孤獨(こどく)、
篤癃(あつひと)、
貧しくて、自ら存することができない者に、
稻を賜り、
調役をゆるしました。
二十日、
解部(ときべ)・百人を、
刑部省に拝しました。
二十三日、
幣(ぬさ)を、
畿內の天神地祗に班(わ)け、
及び神戸の田地を増やしました。
・天神寿詞(あまつかみのよごと)
古代日本での天皇の即位式および大嘗祭において、中臣氏によって奏上された寿ぎ詞(ほぎごと)中臣寿詞とも
・神璽(しんじ)
三種の神器
・奉上(ほうじょう)
貴人や目上の人に差し上げること
・匝(めぐる)
周囲をまわる・取り巻くなどの意味をもつ漢字
・元会儀(げんかいぎ)
年頭に君主が臣下及び従属国の使節から受ける新年拝賀の儀式をいう
・常赦(じょうしゃ)
奈良時代以後の恩赦の一つ
・鰥寡(かんか)
妻を失った男、夫を失った女、親のない子、老いて子のない人。 寄る辺ない身の上
・孤獨(こどく)
拠り所となるひとがいない
・篤癃(あつひと)
危篤の人。重病人。あつえひと
・解部(ときべ)
日本における訴訟を職務とした機関、またはその職員のことで、古代日本の部民制において訴訟を職務とした部のひとつ
(感想)
持統天皇4年春1月1日、
物部麻呂朝臣が、
大盾をたてました。
神祗伯の中臣大嶋朝臣が、
天神寿詞を読みました。
おえると、
忌部宿禰色夫知が、
三種の神器である剣と鏡を、
皇后に差し上げました。
皇后が、
天皇の位につきました。
公卿百寮が、
羅列して取り巻き、
拝礼し、拍手をしました。
2日、
公卿百寮が、
元会儀のように拝朝しました。
丹比嶋真人と布勢御主人朝臣が、
即位祝賀の言葉を奏しました。
3日、
公卿と内裏で宴会をしました。
衣装を与えました。
15日、
百寮が薪を献上しました。
17日、
天下に大赦をしました。
ただ、
常赦を免れない罪は、
赦の例に入れませんでした。
位のあるものに、
爵一級を与えました。
寄る辺ない身の上のもの、
拠り所となる人がいないもの、
重病人。
貧しくて、自活できないものに、
稲を与え、調役を免除しました。
29日、
解部百人を、
刑部省に拝命しました。
13日、
幣を畿内の天神地祗を分けて、
および神戸の田地を増やしました。
明日に続きます。
読んでいただき
ありがとうございました。
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