リートリンの覚書

日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 四十八 ・明王、処刑される



日本書紀 巻第十九 天国排開広庭天皇 四十八

・明王、処刑される



この時、
新羅は、
佐知村(さちすき)の
飼馬奴苦都(うまかいやっここつ)に語って、
(更の名は、谷智(こくち)

「苦都は賤しい奴である。
明王は名だかい主(こきし)である。

今、
賤しい奴を使い、
名だかい主を殺させよう。

冀うは、
後世に伝えて、
口に忘れさせないことだ」
といいました。

しばらくして、

苦都は、
すなわち明王を獲って、
再拝して、
「どうか王の首を斬らせてください」
といいました。

明王は答えて、
「王の頭は、
奴の手で受けてはならぬ」
といいました。

苦都は、
「我が国の法は、
盟(ちかい)に違背したなら、

国王といえども、
まさに奴の手で受ける
と、あります」
といいました。

(一本は云う、明王は、胡床(こしょう)に乗り、座ると、佩刀(はいとう)を解いて谷知に授けて斬らせたと)

明王は、
天を仰いで、
大いになげき、
涕泣(ていきゅう)しました。

許諾して、
「寡人(かじん)は、

念じるたびに、
つねに骨髄に入って痛むだろう。

願わくは生き残らないように計らってくれ」
といい、

すなわち、
首をさし延べて斬られました。

苦都は首を斬って殺しました。
あなを掘って埋めました。

(一本は云う、新羅は、明王の頭骨を留めて理(おさ)め、礼をもって余骨を百済に送りました。今、新羅王は、明王の骨を北庁の階の下に埋めました。この庁を名づけて都堂といいます)



・胡床(こしょう)
一人用のこしかけ。床机(しようぎ)。あぐら
・涕泣(ていきゅう)
涙を流して泣くこと
・寡人(かじん)
一人称。帝王・諸侯などが自分をさしていう語



(感想)

この時、
新羅は、
佐知村の飼馬奴苦都に語って、
(更の名は谷智)

「苦都は賤しい奴隷である。
明王は名だかい主である。

今、
賤しい奴隷を使い、
名だかい主を殺させよう。

こいねがうは、
後世に伝えて、
口に忘れさせないことだ」
といいました。

しばらくして、
苦都は、
すぐに明王を獲って、

再拝して、
「どうか王の首を斬らせてください」
といいました。

明王は答えて、
「王の頭は、
奴隷の手で受けてはならない」
といいました。

苦都は、
「我が国の法は、
盟に違背したなら、

国王といえども、
まさに奴隷の手で受ける、
と、あります」
といいました。

(一本は云う、明王は、胡床に乗り、座ると、佩刀を解いて、谷知に授け、斬らせたと)

明王は、
天を仰いで、
大いになげき、
涙を流して泣きました。

許諾して、
「私は、
念じるたびに、
つねに骨髄に入って痛むだろう。

願わくは、
苦しまないよう一思いに斬ってくれ」
といい、

すぐに首をさし延べて斬られました。

苦都は首を斬って殺しました。

そして、
あなを掘って埋めました。

(一本は云う、新羅は、明王の頭骨を留めて理(おさ)め、礼をもって余骨を百済に送りました。今、新羅王は、明王の骨を北庁の階の下に埋めました。この庁を名づけて都堂といいます)

明日に続きます。

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