日本書紀 巻第二十九
天命開別天皇 七十五
・白朮を煎じる
・信濃に行宮を造る
冬十月四日、
百濟の僧の常輝(じょうき)に、
三十戸を封じました。
この僧の壽(とし)は百歲です。
八日、
百濟の僧の法蔵(ほうぞう)、
優婆塞(うばそくうばい)の
益田直金鍾
(ますたのあたいきんしょう)を
美濃に遣わして、
白朮(おけら)を煎じさせました。
よってもって、
絁(ふとぎぬ)、綿、布を賜りました。
十日、
軽部朝臣足瀬
(かるべのあそみたるせ)、
高田首新家
(たかたのおびとにいのみ)、
荒田尾連麻呂
(あらたおのむらじまろ)を
信濃に遣わして、
行宮(かりみや)を造らせました。
おそらく、おしはかるに、
束間温湯(つかまのゆ)に
幸しようとしたのでしょうか。
十二日、
浄大肆の
泊瀬王(はつせのおおきみ)、
直広肆の
巨勢朝臣馬飼(こせのあそみうまかい)、
判官以下、
あわせて二十人を
畿內の役(えだち)に任じました。
十七日、
伊勢王(いせのおおきみ)等は、
また、東国に向かいました。
よってもって、
衣袴(ころもはかま)を賜りました。
この月、
金剛般若經を宮中で説かせました。
・壽(とし)
長生き。命が長い。長命などの意味をもつ漢字
・優婆塞(うばそくうばい)
修行者に奉仕する在俗の信者をいうところから、正式に出家得度しないで修道の生活を行なう人に及ぼしていう。奈良時代には民間の宗教者を指していた。 半僧半俗的な生活形態をとり,山林にあって修行し,呪術にたけていた
・白朮(おけら)
=びゃくじゅつ・生薬
・行宮(かりみや)
天皇がお出ましの時の仮の御殿。行在所(あんざいしょ)
・束間温湯(つかまのゆ)
長野県松本市郊外にある温泉
・役(えだち)
労役
(感想)
(天武天皇14年)
冬10月4日、
百済の僧の常輝に、
30戸の領地を与えました。
この僧の寿齢で100歲です。
8日、
百済の僧の法蔵、
優婆塞の益田直金鍾を美濃に派遣して、
おけらを煎じさせました。
よって、
絁、綿、布を与えました。
10日、
軽部朝臣足瀬、高田首新家、荒田尾連麻呂を信濃に派遣して、
行宮を造らせました。
おそらく、
束間温湯に行幸しようとしたのでしょうか。
12日、
浄大肆の泊瀬王、
直広肆の巨勢朝臣馬飼、判官以下、
あわせて20人を
畿内の労役に任じました。
17日、
伊勢王らは、また、東国に向かいました。
よって衣袴を与えました。
この月、
金剛般若経を宮中で説かせました。
明日に続きます。
読んでいただき
ありがとうございました。
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