僕は名もない凡人でいたい

バイオリン オペラ 文芸 旅行 絵……そして、日常。白血病闘病記も

賢治とベルリンフィル

2016年01月27日 | 本と雑誌
宮澤賢治が好きだったという「田園交響曲」(古いレコードのような音質の良くないCDをわざわざ引っ張り出して)を聞きながら「銀河鉄道の夜」を読む。

ああ面白い
やっぱりどこか意味不明だ。
どこか、というより全体に、意味不明だ(笑)
賢治さんは宇宙視点だからきっとそうなんだ。
「僕は地球人だ!」
って、全身全霊で叫んでいるみたい。 
いや、「地球の人」じゃなくて「地球の生物」の方が正しいかもしれない。
少し時間を置いてまた読み返そう。
次はメモをしながら。



CDは、指揮者フルトヴェングラーが第2次世界大戦の戦火を逃れ、戦後非ナチ化裁判に勝利して、ようやく復帰した時の歴史的ライヴ録音。
当時、爆撃による倒壊や火災などでコンサート会場として耐えられる劇場がほとんどなかったため、ベルリンの映画館ティタニア・パラストで演奏されている。

 (ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  1947年5月25日 ベルリン、ティタニア・パラスト(ライヴ))

ベルリン・フィルと言えばいまや世界的オーケストラだけど、栄光の影には多くの団員の戦死や被災、ナチ裁判や貧困との闘いもあった。
生きていると、辛い事や悲しい事ばかりだと思う夜もある。
だけど、戦争がない国と時代に生まれただけでも、すごいラッキーで幸せなんだよね

夫が帰って来る頃には、音楽は「田園」から「運命」に変わっていた。
「ジャジャジャジャーン!」に出迎えられて、目をまん丸くした後、すごく笑っていた。

本です。

2015年10月24日 | 本と雑誌

【音楽と文学の対位法】

音楽の基礎知識があって、音楽家や文学者、画家などの芸術家に詳しい人にとっては、すごく面白い本だと思う。

わたしには難しいところもあったけど、ショパンやワーグナー、ラヴェルなど音楽家たちの知られざる素顔に出会えたのは楽しかった

音楽と言葉や詩(文学というよりも)が、磁石のように近づいたり離れたりする。

でもやはり、音楽は言葉を超えるんだろうな。

児童文学のノーベル賞

2014年03月25日 | 本と雑誌

わたしの大好きな『精霊の守り人』の作者・上橋菜穂子さんが児童文学のノーベル賞といわれるアンデルセン賞作家賞を受賞しました。

日本人の受賞はまど・みちおさん以来、20年ぶりの快挙。

やったぁ~~!!

なんかすごく嬉しいです

何年か前、大学で一番好きな作家として上橋さんを挙げたけど、当時はあまり知られてなくて、全然とりあげられることもなくって……

アメリカに住む大学の友人が唯一、

「わたしも上橋さんの『精霊の守り人』好き」

と、メールをくれたことがありました

『精霊の守り人』や『獣の奏者』など、上橋さんの作品は児童文学というジャンルに分類されていますが、大人こそ読むべき深い物語ばかり。

小説というより、物語と呼んだ方がしっくりきます。

命の尊さ、それを守る強さ、厳しさ、優しさ……

その愛情は人間だけに向けられるものではなく、動物や植物、天候を左右するもの、理のようなものにまで向けられる。

個体にとっての生死は恐れを持って迎えられるものだけど、そんなことも本来はささいなひとつの変化に過ぎず、日常の一コマである。

だけど……

だからこそ皆、必死で生きる。

生きるために生きるんだ。

精霊の守り人 (新潮文庫) 精霊の守り人 (新潮文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2007-03-28
獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫) 獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
価格:¥ 660(税込)
発売日:2009-08-12

芥川賞読みました

2014年02月24日 | 本と雑誌

芥川賞「穴」(小山田浩子・作)読みました?

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芥川賞受賞作を読むと、大体、

(ちんぷんかんぷん、何が面白いのかわからーん)

となるのですが、今回の受賞作は面白かったです。

非正規社員で働く語り手、その同僚、すべてを仕切りたがる姑、四六時中携帯をいじる夫、耳の遠い義祖父……

現実的なトラブルに発展しそうな人たちが出てきて、それぞれのエピソードも盛り込まれているのに、だんだんとリアルが遠のき、読み終わった後は(すべて幻想だったのか?)と思わせる仕掛けがいくつもあります。

存在を隠されてきた義兄、見たことのない獣など……

生き生きと喋っていた登場人物たちの会話がなくなることで、存在の薄さが一気に加速する。

唯一最後まで会話をする夫も、手から離さない携帯電話によって別世界と繋がっているようで、妻(語り手)との間に心が無いという不気味さがある。

語り手でさえ、実在していたのかどうか。

最初は、不満を口にしない姿勢が、何かを達観しているかのように見えるけれど、悟っているとかそういうことではなくて、もはや生きていることが希薄なのではないか。

ドロドロしていないのです。

人間ドラマがない。

いや、あるのかもしれないという想像はさせるけど、あまりはっきり見えない。

そして何故か、

(アレはなんだったんだろう?)

なんてことをいちいち考えなくていいという結論が、私の中にあります。

どんなによくわからない現象が起こっても、すべてをありのまま受け入れる語り手の思考にならされているのかも。


すーちゃん

2013年05月20日 | 本と雑誌

雨です

少し肌寒い感じがします。

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「すーちゃん」4コマ漫画です。

30代~40代の働く独身女性が、忙しい日々の中で抱えている悩みを、すーちゃんたちがぼやいてくれます。

正しいってどういう事?

このまま年を取ったらどうなるの?

自分を変えるにはどうしたらいいの?

若い子の無神経な発言にイラッとしたり、自分が持っていないものを他人の中に見つけて動揺したり・・・・・・。

だけど、夜眠って朝を迎えると、また新しい自分がいる。

同世代だからか、すーちゃんの言いたいこと、すごくよくわかります。