外国の海で見た魚が綺麗だったこと、
金曜日になるとカレーを上手につくる人がいて、いい香りに包まれたこと。その日になると、心なしか、乗ってるみんなの声が明るく聞こえたこと。
いつだったか、ひろいひろい大海原にひょっこり浮いたとき、空に星がまたたいて、ラッパの音がして、それがとても美しくて、すごく感動したこと。
ラッパの音が、しました。
あたりはすっかり、夕暮れを迎えていました。
金色に輝くさざ波にうたれながら、潜水艦は話を続けました。
「あの基地に見える護衛艦には、大きくて眩しいあかりがついていて、それをつけたり消したりすることで、遠くの人と会話ができるの。役目を終えて、空にのぼった護衛艦は、夜に、人がいなくても、あかりを光らせることができるの。自分の言葉を伝えられるの。一番よくしてくれた乗組員の人に、ありがとうって言えるし、ひろいひろい海の上で迷子になった人に、こっちだよ、あっちだよって、助けることができるの。私もあかりを持っているのよ!だから、役目を終えるのは、ちっとも悲しいことではないの。だけど、空にいけなければ、何の役にもたたないの。ありがとうって言えないの」
潜水艦は、またしくしくと泣きはじめました。
スカレーは、どうしていいか分からなくなって、ふと、横須賀基地を見ました。
真っ白な制服姿のお兄さんが、ロープを片づけています。
「あ!」スカレーは、いいことを思いつきました。
「ねぇ!」だしぬけにスカレーは、言いました「ロープでひっぱったら、空、飛べるんじゃない?」
カモメ達がいっせいにスカレーを見ました。
「そんなこと、考えたことなかった」
「できるかな」
「やってみようか?」
「やってみようよ!」
一羽のカモメがパッと飛んで、ロープをくわえてもどってきました。
「いらなくなったロープ置き場、知ってるんだ、オレ」
得意気に言いました。
「すごいや!」
「ね、それでどうやってくくるの?」
すると魚たちが海から顔を出して言いました。
「海の中はわたしたちがくくるわ。わたしたち、この潜水艦と泳ぐの、とても好きだったの。だから、何かさせて欲しいの」
「わーい!」スカレーは嬉しさのあまり、バンザイをしました。
こうして、カモメと魚たちが協力して、潜水艦をロープでくくりました。
スカレーはロープをしばる係です。
つづく
金曜日になるとカレーを上手につくる人がいて、いい香りに包まれたこと。その日になると、心なしか、乗ってるみんなの声が明るく聞こえたこと。
いつだったか、ひろいひろい大海原にひょっこり浮いたとき、空に星がまたたいて、ラッパの音がして、それがとても美しくて、すごく感動したこと。
ラッパの音が、しました。
あたりはすっかり、夕暮れを迎えていました。
金色に輝くさざ波にうたれながら、潜水艦は話を続けました。
「あの基地に見える護衛艦には、大きくて眩しいあかりがついていて、それをつけたり消したりすることで、遠くの人と会話ができるの。役目を終えて、空にのぼった護衛艦は、夜に、人がいなくても、あかりを光らせることができるの。自分の言葉を伝えられるの。一番よくしてくれた乗組員の人に、ありがとうって言えるし、ひろいひろい海の上で迷子になった人に、こっちだよ、あっちだよって、助けることができるの。私もあかりを持っているのよ!だから、役目を終えるのは、ちっとも悲しいことではないの。だけど、空にいけなければ、何の役にもたたないの。ありがとうって言えないの」
潜水艦は、またしくしくと泣きはじめました。
スカレーは、どうしていいか分からなくなって、ふと、横須賀基地を見ました。
真っ白な制服姿のお兄さんが、ロープを片づけています。
「あ!」スカレーは、いいことを思いつきました。
「ねぇ!」だしぬけにスカレーは、言いました「ロープでひっぱったら、空、飛べるんじゃない?」
カモメ達がいっせいにスカレーを見ました。
「そんなこと、考えたことなかった」
「できるかな」
「やってみようか?」
「やってみようよ!」
一羽のカモメがパッと飛んで、ロープをくわえてもどってきました。
「いらなくなったロープ置き場、知ってるんだ、オレ」
得意気に言いました。
「すごいや!」
「ね、それでどうやってくくるの?」
すると魚たちが海から顔を出して言いました。
「海の中はわたしたちがくくるわ。わたしたち、この潜水艦と泳ぐの、とても好きだったの。だから、何かさせて欲しいの」
「わーい!」スカレーは嬉しさのあまり、バンザイをしました。
こうして、カモメと魚たちが協力して、潜水艦をロープでくくりました。
スカレーはロープをしばる係です。
つづく
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