元北海道電力旭川支店総務課主幹 水島 能裕さん
震災から1年を経た今年3月11日、旭川市内で開かれたイベントで、元北電職員が一般市民120人を前に口を開いた。「原子力発電所が停まっても、 電気は賄えるんです」。在職中から反原発の立場を公にし、今もその姿勢を貫く水島能裕さん(65)。福島第一事故後はいっそうその思いが強まった。これを 機に自然エネルギーへ舵を切らないと、日本は大変なことになってしまう——。電力供給不足を盾に再稼動を唱える原発推進派に、職歴35年の元当事者が顔と 名前を晒して反論する。
(聞き手・小笠原淳、北方ジャーナル 2012年5月号に掲載)
■「元北電」は困るって北電の関係者に言われました http://news.nicovideo.jp/watch/nw242322
■自然エネの可能性に期待してるんです http://news.nicovideo.jp/watch/nw242322/2
風力と太陽光、合わせて270万kW以上の申し込みがあったわけですよね。それだけあれば、原発なしでもやっていけますよ。
道庁が 公開している資料によれば、太陽光発電の稼働率(設備利用率)は現在12%、風力は26%となっています(同経済部産業振興局環境・エネルギー室「北海道 の省エネルギー・新エネルギー促進の取組について」12年2月16日)。ただ、経産省のまとめを見てみると、風力の稼働率はもっと大きい。冬から春にかけ ての宗谷管内などで40%を超えていて、発電所単位で見れば1月の胆振管内で67・3%に達したこともあるんです(同原子力安全・保安院 北海道産業保安監督部「北海道における風力発電の現状と課題」11年9月29日)。北海道の冬は、風が強いでしょう。まさに電力の需要が最も大きくなるの が、その季節ですよね。電気が最も必要な時期に、風力発電の稼働率が最も大きくなる。
今の連系申し込みをすべて北電が受け入れたら、2年 ぐらいで自然エネルギーに転換できますよ。スペインでは、日本の半分の系統容量で日本の10倍の風力を導入できていて、電力量で2割を超える最大の電源に なっています。お金だって、原発推進派が言うほどはかからない。そもそも、原発は安全性の確保や万が一の事故対応、廃棄などに膨大なコストがかかるんで す。それに対し、小規模分散型の風力や太陽光は、普及さえ進めばすごい勢いでコストが下がっていきますよ。
自然エネルギーは不安定だ、という批判もよく聞かれます。これも、普及が進めば安定してくる。瞬時の変動ではなく、ゆったりとした変化になる筈です。天然ガスや水力などの電源で供給調整は可能ですし。
何よりも、自然エネルギーは膨大です。持続可能なのは自然エネルギーだけと言ってもいい。私は北電で、幌延や利尻の風力発電所の土地取得を担当したんです が、その時「日本は風力が遅れてるなあ」と実感しました。図書館に通って文献を読み漁り、自然エネルギーの可能性に期待したものです。太陽光も日照率の高 い北見などで進んでたのに、補助金が出なくなってほとんどなくなってしまいました。
原発をすぐやめろ、とは言いません。ただ、時間をかけてもいいから自然エネルギーへのシフトを進めていって貰いたいんです。送電網などに大きなお金がかかる、との話もありますが、自然エネルギーは本来地産地消なんです。工夫すればそれらの費用も抑えられると思います。
■福島が「泊」だったら北電は潰れてますよ http://news.nicovideo.jp/watch/nw242322/3
ニコニコニュースより