「トウモロコシ粉」について。
トウモロコシを挽いたあとに残る硬くて細かい部分です。
ふすま(皮表のこと、糖質・栄養価がある)や胚芽はほとんど、または全く含んでいない部分のことです。
ただの「カス」です。
少々栄養価は残っているようなので、肥料や飼料に使用される分にはかまいませんが、大切なペットに与える必要など全くありません。
「コーングルテン粉(ミール)」について。
コーンスターチやコーンシロップの製造過程で、ふすまが分離され、ほとんどのデンプンと胚が取り除かれたあとのものを乾燥させた物です。
これまた「カス」です。というよりほぼ「ゴミ」です。
「捨てるくらいならリサイクルしよう!」って感じのものです。
このように、『とうもろこし系』はよほど良質なものでない限り、そんなに期待できる素材ではないようです。
糖質やデンプン質、たんぱく質を求めるなら、炊いたごはんの残りでも上げていた方がよっぽど栄養価値が高く、消化吸収も優れています。(注・ごはんだけでは栄養が偏ります)
もし、心配であれば、トウモロコシを一切使わず、良質な米(白米、玄米)やオートミールなどを副原料として使用しているドッグフードを与えても良いかもしれません。
同じお金を払うなら少々高くても、安心できる素材を使用しているドッグフードを与えた方が良いでしょう。
■皮膚に良くないトウモロコシ
トウモロコシには『ナイアシン(ビタミンB3)』を合成する必須アミノ酸である、『トリプトファン』という物質が少ないので、トウモロコシが主原料のドッグフードを食べ続けると、自動的に体内のビタミンB3が不足してしまいます。
このナイアシン(ビタミンB3)が不足することで起こる欠乏症として代表的なのが『皮膚のトラブル』なのです。
また、体内の有害物質のアセトアルデヒドの分解にもナイアシン(ビタミンB3)が使われます。
そのため、不足すると体内にアセトアルデヒドが蓄積してしまいます。
さらに、炭水化物や脂肪を代謝するための補酵素としても重要な働きをし、血中コレステロールをコントロールしたり、消化器系の健康維持や、ホルモンの合成など様々な生理作用と関係しています。
トウモロコシを主原料としているドッグフードの評判が悪いのはこういった事も関係しているのです。
※余談ですが・・・
獣医の処方食は高額ですが、トウモロコシが主原料の場合が多いようです。
内容から見て、処方食は異常に高いと判断せざるを得ません。
品質は『ホームセンターなどで売っているフードよりかは若干良い』くらいです。
の展示があって、おっしゃるとおり、コーンミールとかコーンパウダーなるものは、カスと呼ぶにふさわしいものでした。重複になるかもしれませんが、コーングルテンも、ほかのグルテと同様とのこと。
そのほかにも、アレルギーや消化不良の報告の多いものにダ大豆や小麦類がありました。ドッグビスケット類も、小麦や大豆を含まない製品があり、さすがペット先進国の英連邦、
考えられた製品がいろいろとあるのだなあと感心させられました。
ドッグフード、キャットフードの販売についてもしかりで、愛犬家や愛猫家の多くは、ペット店ではなく、地元のスーパーやブッチャー、つまり精肉店で購入することのほうが多く、その理由は、ドライでも缶入りでもない、ソーセージ状の熱処理された、しかし要冷蔵のタイプのものが主流であるからでした。ペットショップも何軒か見てみましたが、ほとんどが子犬と用品、そしてドライフードの販売だけで、ロール/タイプと呼ばれるソーセージ状の製品は置いていませんでした。その理由を聞いたところ、小規模なところばかりのペットショップでは、冷蔵施設のないところばかりだからなのだそうです。
NZと英国の違いでいえば、子犬がペットショップで販売されている事です。英国に済んでいた事があるのですが、かの地では、雑種でないかぎり、子犬はケンネルクラブに登録されたブリーダーからしか買えないのがタテマエで、わずかな例外を除き、そのきまりは守られています。また、高層住宅で犬を飼う場合、5階か6階以上の会派ダメという条例もありました。
NZは、そのかぎりにあらずですが、聞けば動物愛護協会および王立(なんですね)ケンネルクラブの事前通知のない視察があり、その際のチェック事項にひっかかると、同国では権威のある雑誌であるAnimals' VOICEに非推奨店のリストに載せられてしまうのだそうです。同誌は季刊であるため、
いぜ改善しても、そのことは3ヶ月後の最新号まで掲載されないので、ショップ側も、そのことをしっかりと守ろうとしているようでした。まあ、そんなNZでも守らないショップはあるようですが。
いずれにせよ、NZにおける愛犬家、愛猫家たちの間でのペットフードに関する常識レベルは、私が考えていた以上に
しっかりとしたものでした。先でも触れたロールタイプのフードでも安物もあり、それは往々にしてノーブランドや、安売りを旨とするチェーンのオリジナルであったりするのですが、その善し悪しを見分けるのに、消費者は、魚肉ソーセージの親分みたいな(直径10cmくらい)ロールを強く押して判断していました。なぜかというと、安いものは脂肪分が多いので、冷蔵ケースの中では、良品に比べて明らかに固いのです。
最後に、コーンについてですが、先のコンファレンスであるスピーカーが画像と共に発表していたのですが、米国はコーンの作り過ぎで、それゆえアメリカンビーフはコーンフェッド、つまりコーンが主体の飼料で肥育されていて、それが諸悪の根源になっているとのこと。牛は本来草を食し、それを消化するための器官構成になっているのに、あえてコーンを与えていて、その結果、胃酸過多とせまい飼育場によるストレスで胃潰瘍になるものが続出したのだそうです。潰瘍で胃に大きな穴が空いた写真はショッキングでした。それゆえ、アメリカンビーフには、胃酸過多を抑える消化薬や抗生物質(そして肥育用ホルモン剤)が飼料に加えられているのだそうです。飼料の成分をガスクロマトグラフィで検査した結果がスクリーンにも映写されてました。そうなると、いくらプライムグレードのものであっても、アメリカンビーフには食指が伸びなくなってしまいました。ちなみに、麦類と乾燥牧草を主体とするオーストラリアとNZ産は安心できるとのこと。たしかに、牧場もそのほとんどが本当の牧草地での放し飼いばかりでしたし、なによりも良質のラムやマトンが安価であるので、良質なフードの原材料には事欠かないようです。
ということで、コーンパウダー、コーンミールもさることながら、なによりも原料表示のトップ7にグルテンがあるものはペケであり、避けるべきであると言われました。余談ですが、先のロールフードを持ち込み(ちゃんと検疫をとおり)、帰国後に与えてみたところ、食べっぷりも良く、翌日のウンチも多少柔らかめでしたが、好調でした。うちの愛犬は胃腸が弱く、食も細めでウンチも固いか、下痢一歩手前の
状態で悩んでいたのですが、いまのところ、それがウソのような食べっぷりで、またウンチも好調です。知人に小さな商社で仕事をしているのがいるので、これを輸入してもらうべく、口説いているところです。
それよりも、まず価格にビックリですが、2kgでなんと400円しません。そして原材料は、まず最初にコーン、つぎにコーングルテン、そしてコーンミールときます。スゴイですねえ。あまりにも業界とペット界の置かれている状況、そして問われている問題点を知らない人たちの所行です。安さしか興味のないペットオーナーもいるでしょうから、まあそれなりには売れるのでしょうけど、それにしても、ここまでスゴイと驚きを通り越してしまいます。