前夫と私が、もうじき納品するという仕事に没頭していた。
あるインターネットゲームをウインドウズ版とマック版に移植して納品するという仕事だ。
大半は、前夫の友人と二人でプログラムを作り、私は発注主とのすり合わせやスケジュール管理、検証作業を担当していた。
前夫の友人も相当苦労していたが、次の仕事があり、プロジェクトから抜けた。後は一人で前夫が検証しながら手直しをする作業が続く。
24時間態勢が1週間くらい続く。
納期は、ずっとバグが出なくなったらそれが納期状態で、版元は広告やデータを入れる工場を押さえているので、そちらも大きな散財が出ている状態だった。
抜き差しならぬ状態で、爆弾を抱えているような気持ちで、検証作業が続く。
ウインドウズマシンでは、検証は安定していたが、マック版では、OSバージョンが異なるとエラーが出ると、発注元から報告がきて、調べると、こちらは大丈夫と出る。発注元に何度も手直しをしたプログラムを出して、それでもエラーが出たときに、発注元の担当者もほとんど仮眠生活、こちらの前夫も仮眠生活、私も子供を寝かしつけながらの作業状態で、食べる眠る風呂に入るという当たり前の行動があやうくなるような緊迫した日々が続いた。
前夫が、もう少しで終わりそうだという作業の前に、とうとう切れてビールを買って飲み始めて眠ってしまった。
発注元の担当者は、怒鳴っている。
私は、少し眠らせてからのほうが、良い作業となることを伝えるのだが、半日も待てないという。
そこで、苦渋の策で前夫を起こして、発注元の担当者からの電話に出てもらうと、その電話機を叩きつけて壊してしまった。
あわてて発注元の社長に携帯で連絡をして、謝り、怒って眠ってしまった前夫が起きてからの作業にしていただくことを了承していただく。
時間的に納期は1時間1時間が悪魔の時間だった。もう一作業なのに、直前で投げてしまう。
前夫は狂ったと思った。いや、もう十分がんばったのだと思う。
そして壊れた。
翌日、8時間ほど眠った前夫は、二日酔いの頭で何とか作業をし、納品をして、この仕事を終えることができた。
それ以来、その発注元の会社からは仕事が来なくなった。
代表電話用の電話機を買い求め、設置する。家の中の廊下のドアガラスも割れている状態で、そのドアガラスを替えるには、ドア自体の差し替えということで、その料金が高すぎて、すぐに替えることができずに私たちがいた最後まで替えることはなかった。
その後、前夫へ仕事は来なくなった。
狭い業界で、このトラブルの情報は、すぐに伝わる。
前夫の技術力は定評あるのに、残念なことだった。
私にくるWEBの仕事のプログラム分を担当するが、それもドキドキしながらお願いするような仕事で、外注できる方法を考え始めていた。
前夫のお酒への依存度は高まるばかりで、ビールを3L飲んでから、夜中になじみの女性がいるスナックへタクシーで出かける。
それをマンションの窓から見送っていた。夜中の3時には、タクシーで帰宅するのだが、その回数を数えないと、お金の遣り繰りが大変なのだ。
クレジットカードでタクシーや飲み代を払っているので、1回飲みに行くと、カードの明細には、3万円が追加される。
もうその時点では、コミュニケーションがなくなっていた。
暴れる恐さゆえに、何も言い出せないでいる私、酒代を用意するために働き、マンションのローンもある。
目の前が真っ暗になる。
家の中にいるときは、暴れるかもしれないので、和室の引き戸が開かないように棒でつっかえ棒をして前夫が入れないようにした。
そういう状態で、私は一度だけ、前夫に向かっていったことがある。
気に食わない私の言動に、向かってきて殴ったり蹴ったりしたが、私は近くにあったシャープペンシルで、前夫の太ももを刺した。2度ほど刺したら、痛がって自分の部屋に帰っていった。
この時、もう駄目だと思った。どちらかが殺すか殺されてしまう。
それまでも絶望を感じて、マンションの自室7階から飛び降りようとしたことが何度かある。しかし、小さい息子を残して私は死ねなかった。息子も笑顔が可愛いので、息子も一緒に飛び降りるということも、私のエゴだと思って出来なかった。
そこまで追い詰められていた。
ドメスティックバイオレンスが原因で、妻が夫を殺すという事件ニュースを耳にするたび、当時の追い詰められた自分の心理状態をフラッシュバックする。
頭がおかしくなるのだ。私が相手をあやめなかったのは、幸運だったとしか思えない。あやめたら愛する息子が私と離れ離れになるというのは、耐えなれない。
その翌日、前夫が昼ごろ起きてきて、話し合う。
私が言った覚えのないことを言ってくる。
私も頭がおかしくなったかもしれないので、病院に行きたいと伝える。
今日はもう疲れているので、明日、息子を保育園に連れて行ったら、一緒に病院へ行って、私がどれだけ頭がおかしいか、医者に証言してほしいと伝えると、素直に聞いてくれた。
その前から、お酒を大量に飲んで内蔵もおかしくなっているだろうから、医者に連れて行って欲しいと前夫の両親から頼まれていた。その両親へ実情を訴えていて、状況が伝わっていたので、幸運だった。
さて、翌朝、9時半に病院に行く準備をする。
次回につなげます。
感謝
あるインターネットゲームをウインドウズ版とマック版に移植して納品するという仕事だ。
大半は、前夫の友人と二人でプログラムを作り、私は発注主とのすり合わせやスケジュール管理、検証作業を担当していた。
前夫の友人も相当苦労していたが、次の仕事があり、プロジェクトから抜けた。後は一人で前夫が検証しながら手直しをする作業が続く。
24時間態勢が1週間くらい続く。
納期は、ずっとバグが出なくなったらそれが納期状態で、版元は広告やデータを入れる工場を押さえているので、そちらも大きな散財が出ている状態だった。
抜き差しならぬ状態で、爆弾を抱えているような気持ちで、検証作業が続く。
ウインドウズマシンでは、検証は安定していたが、マック版では、OSバージョンが異なるとエラーが出ると、発注元から報告がきて、調べると、こちらは大丈夫と出る。発注元に何度も手直しをしたプログラムを出して、それでもエラーが出たときに、発注元の担当者もほとんど仮眠生活、こちらの前夫も仮眠生活、私も子供を寝かしつけながらの作業状態で、食べる眠る風呂に入るという当たり前の行動があやうくなるような緊迫した日々が続いた。
前夫が、もう少しで終わりそうだという作業の前に、とうとう切れてビールを買って飲み始めて眠ってしまった。
発注元の担当者は、怒鳴っている。
私は、少し眠らせてからのほうが、良い作業となることを伝えるのだが、半日も待てないという。
そこで、苦渋の策で前夫を起こして、発注元の担当者からの電話に出てもらうと、その電話機を叩きつけて壊してしまった。
あわてて発注元の社長に携帯で連絡をして、謝り、怒って眠ってしまった前夫が起きてからの作業にしていただくことを了承していただく。
時間的に納期は1時間1時間が悪魔の時間だった。もう一作業なのに、直前で投げてしまう。
前夫は狂ったと思った。いや、もう十分がんばったのだと思う。
そして壊れた。
翌日、8時間ほど眠った前夫は、二日酔いの頭で何とか作業をし、納品をして、この仕事を終えることができた。
それ以来、その発注元の会社からは仕事が来なくなった。
代表電話用の電話機を買い求め、設置する。家の中の廊下のドアガラスも割れている状態で、そのドアガラスを替えるには、ドア自体の差し替えということで、その料金が高すぎて、すぐに替えることができずに私たちがいた最後まで替えることはなかった。
その後、前夫へ仕事は来なくなった。
狭い業界で、このトラブルの情報は、すぐに伝わる。
前夫の技術力は定評あるのに、残念なことだった。
私にくるWEBの仕事のプログラム分を担当するが、それもドキドキしながらお願いするような仕事で、外注できる方法を考え始めていた。
前夫のお酒への依存度は高まるばかりで、ビールを3L飲んでから、夜中になじみの女性がいるスナックへタクシーで出かける。
それをマンションの窓から見送っていた。夜中の3時には、タクシーで帰宅するのだが、その回数を数えないと、お金の遣り繰りが大変なのだ。
クレジットカードでタクシーや飲み代を払っているので、1回飲みに行くと、カードの明細には、3万円が追加される。
もうその時点では、コミュニケーションがなくなっていた。
暴れる恐さゆえに、何も言い出せないでいる私、酒代を用意するために働き、マンションのローンもある。
目の前が真っ暗になる。
家の中にいるときは、暴れるかもしれないので、和室の引き戸が開かないように棒でつっかえ棒をして前夫が入れないようにした。
そういう状態で、私は一度だけ、前夫に向かっていったことがある。
気に食わない私の言動に、向かってきて殴ったり蹴ったりしたが、私は近くにあったシャープペンシルで、前夫の太ももを刺した。2度ほど刺したら、痛がって自分の部屋に帰っていった。
この時、もう駄目だと思った。どちらかが殺すか殺されてしまう。
それまでも絶望を感じて、マンションの自室7階から飛び降りようとしたことが何度かある。しかし、小さい息子を残して私は死ねなかった。息子も笑顔が可愛いので、息子も一緒に飛び降りるということも、私のエゴだと思って出来なかった。
そこまで追い詰められていた。
ドメスティックバイオレンスが原因で、妻が夫を殺すという事件ニュースを耳にするたび、当時の追い詰められた自分の心理状態をフラッシュバックする。
頭がおかしくなるのだ。私が相手をあやめなかったのは、幸運だったとしか思えない。あやめたら愛する息子が私と離れ離れになるというのは、耐えなれない。
その翌日、前夫が昼ごろ起きてきて、話し合う。
私が言った覚えのないことを言ってくる。
私も頭がおかしくなったかもしれないので、病院に行きたいと伝える。
今日はもう疲れているので、明日、息子を保育園に連れて行ったら、一緒に病院へ行って、私がどれだけ頭がおかしいか、医者に証言してほしいと伝えると、素直に聞いてくれた。
その前から、お酒を大量に飲んで内蔵もおかしくなっているだろうから、医者に連れて行って欲しいと前夫の両親から頼まれていた。その両親へ実情を訴えていて、状況が伝わっていたので、幸運だった。
さて、翌朝、9時半に病院に行く準備をする。
次回につなげます。
感謝
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