辺りがすっかり暗くなると、今度はニードルのエルとイヴが再来。
建物に入る予定であるが、
「ずいぶん周辺を警戒しているようね。」
「たぶんファイルを取られたからでしょ。
散々かき回していったみたいだし。」
二人にしてみれば、あの時のフランソワの動向も気になっていた。
使い魔で偵察させただけとは思えない。
必ず何か仕組んでいるはずよね。
「・・・イヴ、3階の窓が割れたままになっている。
あそこから侵入するわよ。」
「了解。」
二人は建物に近い外壁に登ると、
建物に入る予定であるが、
「ずいぶん周辺を警戒しているようね。」
「たぶんファイルを取られたからでしょ。
散々かき回していったみたいだし。」
二人にしてみれば、あの時のフランソワの動向も気になっていた。
使い魔で偵察させただけとは思えない。
必ず何か仕組んでいるはずよね。
「・・・イヴ、3階の窓が割れたままになっている。
あそこから侵入するわよ。」
「了解。」
二人は建物に近い外壁に登ると、
装着していた手袋と変わった靴に魔力を流した。
そして建物の壁にへばりつき、ヤモリのごとく壁を垂直によじ登っていく。
王国承認暗殺ギルド“ニードル”の常備品、
そして建物の壁にへばりつき、ヤモリのごとく壁を垂直によじ登っていく。
王国承認暗殺ギルド“ニードル”の常備品、
忍びの手袋と忍びの足袋によるもの。
天井にすら余裕で張り付く事が出来るこの2品は、
天井にすら余裕で張り付く事が出来るこの2品は、
極東の国インタテスラからの輸入品である。
見張りに気付かれる事なく3階の部屋へと侵入した。
そこで二人が目にしたものは、
「これじゃ警備も厳重にしたくなるわね。」
クールな声のエルであったが、イヴは笑いを堪えるのに必死。
これでもかという程に、黒猫フレイアの足跡が縦横無尽に付いていた。
「インクは乾いているから踏んでも大丈夫・・・って、
見張りに気付かれる事なく3階の部屋へと侵入した。
そこで二人が目にしたものは、
「これじゃ警備も厳重にしたくなるわね。」
クールな声のエルであったが、イヴは笑いを堪えるのに必死。
これでもかという程に、黒猫フレイアの足跡が縦横無尽に付いていた。
「インクは乾いているから踏んでも大丈夫・・・って、
いつまで笑っているのよ。」
「ふ・・・腹筋が痛い・・・。」
「さっさと下に降りるわよ。」
部屋を出れば、階段にも足跡が続いていた。
見た感じ、ゆっくりと降りていったように見える。
「ある意味、凄い黒猫ね。」
言いながら慎重に降りていく。
見張りが外に集中しているからか、敵と遭遇する事なく1階に着いた。
透化のマントで姿を見えなくしているが、廊下が狭い。
天井もそれほど高くないから、やり過ごすのは難しいだろう。
部屋を見つけては中に入って確認し、何も無ければまた次の部屋を探す。
そんな中、敵と遭遇すると、
「ふ・・・腹筋が痛い・・・。」
「さっさと下に降りるわよ。」
部屋を出れば、階段にも足跡が続いていた。
見た感じ、ゆっくりと降りていったように見える。
「ある意味、凄い黒猫ね。」
言いながら慎重に降りていく。
見張りが外に集中しているからか、敵と遭遇する事なく1階に着いた。
透化のマントで姿を見えなくしているが、廊下が狭い。
天井もそれほど高くないから、やり過ごすのは難しいだろう。
部屋を見つけては中に入って確認し、何も無ければまた次の部屋を探す。
そんな中、敵と遭遇すると、
エルは間髪入れずにダークを投げて相手を殺していく。
ダークとは投擲専用に作られた短刀の事だ。
エルはダークを相手の首に狙って投擲し、
ダークとは投擲専用に作られた短刀の事だ。
エルはダークを相手の首に狙って投擲し、
瞬時に声も出させずに絶命させるのを得意としている。
殺したら、首にダークが刺さったままの敵をズルズルと部屋に入れ、
殺したら、首にダークが刺さったままの敵をズルズルと部屋に入れ、
返り血を浴びないようにダークを回収。
そして探索を再開するの繰り返し。
徐々に見張りの数が減っていく不気味さを、
そして探索を再開するの繰り返し。
徐々に見張りの数が減っていく不気味さを、
見張りの下っ端たちは感づいていた。
が、これも時既に遅い。
「エル、見つけたわ。」
数本の鍵が付いた鍵束。
そして地下に降りる階段。
「イヴ、先に降りて待っていて。
罠を仕掛けてから降りる。」
「あ、うん、分かった。
気を付けてね。」
「すぐに降りるわよ。」
エルはイヴが降りて行ったのを見届けると、
が、これも時既に遅い。
「エル、見つけたわ。」
数本の鍵が付いた鍵束。
そして地下に降りる階段。
「イヴ、先に降りて待っていて。
罠を仕掛けてから降りる。」
「あ、うん、分かった。
気を付けてね。」
「すぐに降りるわよ。」
エルはイヴが降りて行ったのを見届けると、
ここで大きく深呼吸し、大きな息を吐いた。
吐息が薄っすらと緑色に見える。
それだけだった。
それだけすると、エルもさっさと降りていく。
イヴが、え?といった表情をする。
「もう罠を仕掛けてきたの?」
「さっさと先を急ぐわよ。」
「え、ええ・・・。」
立ち去った後、階段入口は地獄絵図と化す。
立ち入った者すべてが苦しみ、吐血し、絶命した。
生き残った者は無し。
人形娘エルのユニークスキル、全身武器。
薄緑色の吐息は、超猛毒として吐く事の出来る即死効果のブレスだった。
エルとイヴが地下の通路を小走りに移動していると、
吐息が薄っすらと緑色に見える。
それだけだった。
それだけすると、エルもさっさと降りていく。
イヴが、え?といった表情をする。
「もう罠を仕掛けてきたの?」
「さっさと先を急ぐわよ。」
「え、ええ・・・。」
立ち去った後、階段入口は地獄絵図と化す。
立ち入った者すべてが苦しみ、吐血し、絶命した。
生き残った者は無し。
人形娘エルのユニークスキル、全身武器。
薄緑色の吐息は、超猛毒として吐く事の出来る即死効果のブレスだった。
エルとイヴが地下の通路を小走りに移動していると、
先頭のエルがピタリと足を止めた。
「どうしたの?」
「微かだけど風を感じる。」
そう言われ、イヴは壁を調べるが特に何も無い。
・・・いや、でも確かに私も感じる。
いったいどこから・・・あ!
「エル、足元!」
暗い通路で分からなかったが、マンホールだ。
こんな場所に?
開けてみると少し固いが開いた。
しばらく使ってないみたいね。
エルが頷く。
「降りるわよ。」
降りてみると、地下下水道に着いた。
途中で滝のように流れているのか、
「どうしたの?」
「微かだけど風を感じる。」
そう言われ、イヴは壁を調べるが特に何も無い。
・・・いや、でも確かに私も感じる。
いったいどこから・・・あ!
「エル、足元!」
暗い通路で分からなかったが、マンホールだ。
こんな場所に?
開けてみると少し固いが開いた。
しばらく使ってないみたいね。
エルが頷く。
「降りるわよ。」
降りてみると、地下下水道に着いた。
途中で滝のように流れているのか、
流れている先の方でドドドと濁音が聞こえる。
「ここは下水道の上流の方みたいね。
いざって時の緊急避難通路に使えるんじゃない?」
イヴの声にエルは、
「そう・・・ね。」
と言いながら何かを感じ取っていた。
そして
「こっちに行くわよ。」
と下流へ歩く。
迷う事なく下流を選択し、何かに引き寄せられるように歩いている。
「エル?」
「・・・お香の匂いがする。」
「お香!?
こんな下水道で?」
下水道、とは言っても古の世界の遺産と言える大下水道は、
「ここは下水道の上流の方みたいね。
いざって時の緊急避難通路に使えるんじゃない?」
イヴの声にエルは、
「そう・・・ね。」
と言いながら何かを感じ取っていた。
そして
「こっちに行くわよ。」
と下流へ歩く。
迷う事なく下流を選択し、何かに引き寄せられるように歩いている。
「エル?」
「・・・お香の匂いがする。」
「お香!?
こんな下水道で?」
下水道、とは言っても古の世界の遺産と言える大下水道は、
今や地下水が流れる川の様な存在で、悪臭はそれほど無い。
しかし、だからといって他の香りを瞬時に嗅ぎ取るなど、
しかし、だからといって他の香りを瞬時に嗅ぎ取るなど、
常人には不可能だ。
これは人形娘エルだからこそ出来る嗅覚の力。
歩いていくと、他のマンホールにつながっているであろう梯子が見えた。
梯子を見ると、ごく最近、
これは人形娘エルだからこそ出来る嗅覚の力。
歩いていくと、他のマンホールにつながっているであろう梯子が見えた。
梯子を見ると、ごく最近、
それも数時間前くらいに数人で使用した様な痕跡がある。
「誰かが使っているのは間違いないわね。」
梯子を登らずに通過して臭いの元を辿る。
すると、突如として右側に大きなフロアが見えてきた。
このフロアからお香の匂いがする。
ここまで来るとイヴも感じ取れていた。
しかしエルは立ち止ったままフロアに入らない。
「イヴ、ここ、一方通行よ。
迷宮トラップだわ。」
「え?
もしかして西区の地下迷宮?」
「迷宮だと、もし逃げ込んだ場合、無事に地上に帰れる保証は無くなる。
ここは避難経路には向かないわ。
上流に戻るわよ。」
「分かった。
・・・でも何で、一方通行の空間だって分かったの?」
「見れば分かるでしょ。」
「・・・。」
どう頑張って見ても分からなかった。
人形娘は、エルもドールも五感が特殊になっている。
幻術や罠を目視で見抜く視覚や、微量な香りを感じ取れる嗅覚などは、
「誰かが使っているのは間違いないわね。」
梯子を登らずに通過して臭いの元を辿る。
すると、突如として右側に大きなフロアが見えてきた。
このフロアからお香の匂いがする。
ここまで来るとイヴも感じ取れていた。
しかしエルは立ち止ったままフロアに入らない。
「イヴ、ここ、一方通行よ。
迷宮トラップだわ。」
「え?
もしかして西区の地下迷宮?」
「迷宮だと、もし逃げ込んだ場合、無事に地上に帰れる保証は無くなる。
ここは避難経路には向かないわ。
上流に戻るわよ。」
「分かった。
・・・でも何で、一方通行の空間だって分かったの?」
「見れば分かるでしょ。」
「・・・。」
どう頑張って見ても分からなかった。
人形娘は、エルもドールも五感が特殊になっている。
幻術や罠を目視で見抜く視覚や、微量な香りを感じ取れる嗅覚などは、
その力の一端だ。
エルの五感で語られても、イヴがついていけるわけがない。
的確に首元を刺す投げナイフの腕前といい、この凄まじい五感といい、
エルの五感で語られても、イヴがついていけるわけがない。
的確に首元を刺す投げナイフの腕前といい、この凄まじい五感といい、
エルがニードルで序列1位の理由が分かるわ。
もしかして、ケイトのところにいるドールもそうなのかしら?
などと考えながら歩いていると、1つ気付いた事がある。
この地下下水道、地下迷宮の外側半分を囲む様な水路になっていた。
先ほど通り過ぎた梯子のところまで来る。
「登るわよ。」
マンホールを開ければ西区の外に出られた。
「脱出経路としてはいいけど、使った痕跡がある以上、少し危ないわね。
敵に待ち伏せされる可能性が高い。
また戻って、別ルートを探る。」
ここは夕方遅くに冒険者カイルたちが登った梯子。
でもエルとイヴはそれを知らない。
だからまた地下下水道に戻る。
そして上流の先に、上下に長く伸びた螺旋階段が姿を現した。
手前にはボロボロの看板が1つ。
『緊急避難階段。
常時の使用はお控え下さい。』
螺旋階段の上下を見ると、途中に扉があるのが分かる。
とりあえず上に登り、その扉を開けようとするが開かない。
鍵が掛かっていた。
「あ、任せて。」
イヴが魔力で難なく開錠。
ソッと開けると、通路の終端のような所に出る。
通路の壁には
『B2C』
の文字があった。
もしかして、ケイトのところにいるドールもそうなのかしら?
などと考えながら歩いていると、1つ気付いた事がある。
この地下下水道、地下迷宮の外側半分を囲む様な水路になっていた。
先ほど通り過ぎた梯子のところまで来る。
「登るわよ。」
マンホールを開ければ西区の外に出られた。
「脱出経路としてはいいけど、使った痕跡がある以上、少し危ないわね。
敵に待ち伏せされる可能性が高い。
また戻って、別ルートを探る。」
ここは夕方遅くに冒険者カイルたちが登った梯子。
でもエルとイヴはそれを知らない。
だからまた地下下水道に戻る。
そして上流の先に、上下に長く伸びた螺旋階段が姿を現した。
手前にはボロボロの看板が1つ。
『緊急避難階段。
常時の使用はお控え下さい。』
螺旋階段の上下を見ると、途中に扉があるのが分かる。
とりあえず上に登り、その扉を開けようとするが開かない。
鍵が掛かっていた。
「あ、任せて。」
イヴが魔力で難なく開錠。
ソッと開けると、通路の終端のような所に出る。
通路の壁には
『B2C』
の文字があった。