冒険者カイルたち一行は、キルジョイズの酒場で朝食をとっていた。
厚めのトースト2枚、目玉焼き、ハム、サラダ、オレンジ、コーヒーの
厚めのトースト2枚、目玉焼き、ハム、サラダ、オレンジ、コーヒーの
モーニングセットである。
男性陣は、トーストをもう1枚追加。
前衛職は体力勝負で燃費が悪い。
腹八分の感覚が後衛の女性陣とは違っていた。
「ゴッセンはともかく、カイルとシーマはよく入るわね。」
ここのトーストは厚くてデカいが、焼き加減は絶妙だ。
クヌットという町の特産品の蜂蜜が塗られており、
男性陣は、トーストをもう1枚追加。
前衛職は体力勝負で燃費が悪い。
腹八分の感覚が後衛の女性陣とは違っていた。
「ゴッセンはともかく、カイルとシーマはよく入るわね。」
ここのトーストは厚くてデカいが、焼き加減は絶妙だ。
クヌットという町の特産品の蜂蜜が塗られており、
程よい甘さがコーヒーとよくマッチする。
「美味いからな。
2枚では少し物足りない。」
そこに酒場のマスターのギルが顔を出す。
「また今日も例の迷宮に行くのか?」
「ああ、新しい情報も得られた事だしな。」
「なら気を付けて行きな。
お前さん等は今、冒険者たちの中では次の銀等級候補として
「美味いからな。
2枚では少し物足りない。」
そこに酒場のマスターのギルが顔を出す。
「また今日も例の迷宮に行くのか?」
「ああ、新しい情報も得られた事だしな。」
「なら気を付けて行きな。
お前さん等は今、冒険者たちの中では次の銀等級候補として
目立ち始めている。
誰もが行き慣れた様な迷宮に入ると、
誰もが行き慣れた様な迷宮に入ると、
普段お目にかかれない盗賊の類が待ち構えている事もある。
用心するに越したことはないぞ。」
“普段お目にかかれない盗賊”とは、同業者たちの事だ。
嫉妬心から、出る釘を叩き潰すタイプは、
用心するに越したことはないぞ。」
“普段お目にかかれない盗賊”とは、同業者たちの事だ。
嫉妬心から、出る釘を叩き潰すタイプは、
どこの世界にもいつの時代にもいる。
器の小さい小心者の代表格みたいな奴等だが、
器の小さい小心者の代表格みたいな奴等だが、
それでも集団で襲われたらそれなりに脅威となり得る。
それはカイルも重々承知していた。
「ありがとうマスター。
気を付けて行ってきます。」
「おう。
ヤバいと感じたらすぐに逃げろよ。」
「はい。」
西区に向かって歩いていると、ラナがボソリと呟く。
「さっき嘘ついたでしょ。」
「え、嘘?」
「え、じゃないわよ。
危険だと分かってても、ロクに逃げた事ないじゃん。」
「危険にも度合いがある。
今までは逃げる必要性が無かっただけだ。」
・・・。
悔しいが、その通りかもしれない。
カイルとシーマの考える策は、恐ろしいほど計画的で有益だ。
冒険者は自身の出自を語らないが、
それはカイルも重々承知していた。
「ありがとうマスター。
気を付けて行ってきます。」
「おう。
ヤバいと感じたらすぐに逃げろよ。」
「はい。」
西区に向かって歩いていると、ラナがボソリと呟く。
「さっき嘘ついたでしょ。」
「え、嘘?」
「え、じゃないわよ。
危険だと分かってても、ロクに逃げた事ないじゃん。」
「危険にも度合いがある。
今までは逃げる必要性が無かっただけだ。」
・・・。
悔しいが、その通りかもしれない。
カイルとシーマの考える策は、恐ろしいほど計画的で有益だ。
冒険者は自身の出自を語らないが、
カイルの兵法は一体誰から学んだものなのだろう。
ラナが少々憮然としていると、兄のシーマから確認される。
「ジャイアントスパイダーを解体した時に手に入れたアレは
ラナが少々憮然としていると、兄のシーマから確認される。
「ジャイアントスパイダーを解体した時に手に入れたアレは
売却していないよな?」
「コレの事?」
臓物の1つに見えるけど、何なのコレ?
「まずは魔法街に寄る。
それを元に作ってもらってから、迷宮に挑むとしよう。」
カイルもシーマに同意する。
「そうだな。
同業者の邪魔が入る可能性が高いなら、用意しておくべきだ。
背後からの奇襲さえ完璧に防げば、少なくとも挟撃は避けられる。」
ゴッセン、ラナ、ミリアの3人は何を作ってもらうつもりなのか
「コレの事?」
臓物の1つに見えるけど、何なのコレ?
「まずは魔法街に寄る。
それを元に作ってもらってから、迷宮に挑むとしよう。」
カイルもシーマに同意する。
「そうだな。
同業者の邪魔が入る可能性が高いなら、用意しておくべきだ。
背後からの奇襲さえ完璧に防げば、少なくとも挟撃は避けられる。」
ゴッセン、ラナ、ミリアの3人は何を作ってもらうつもりなのか
全く理解出来ずにいた。
ミウは答えが分かったのか、うんうんと頷いている。
ラナがミウの顔を覗き込む。
「何を作ろうとしてるか分かったの?」
「ぶわーっ!てのを作るんですよぉ。」
・・・。
聞いた相手を間違えた様に感じたラナであった。
着いた所はウェストブルッグ家。
向かって右側の、薬局と書かれた扉をノックする。
パタパタと小走りな音が聞こえた後、
「はーい、どちら様でしょうか?」
という声と共に扉が開いた。
ケイトの母アニスである。
「初めまして、カイルといいます。
冒険者をしています。
実は・・・。」
事情を説明し、作ってもらいたい物を語った。
ラナがそれを聞いて、ゲッとなる。
「悪辣だわー。」
でもアニスは真逆の思い。
「あら、とても素敵な考えね。
いいと思うわよ。」
薬局の魔女にしてみれば、美学の範疇なのかもしれない。
しかし、
「それなら私よりキャサリンに作ってもらった方がいいわ。
ちょっと待ってて、今呼んでくるから。」
と言われ、再び扉が閉じる。
少しすると、中央の正面玄関扉の方が開き、
ミウは答えが分かったのか、うんうんと頷いている。
ラナがミウの顔を覗き込む。
「何を作ろうとしてるか分かったの?」
「ぶわーっ!てのを作るんですよぉ。」
・・・。
聞いた相手を間違えた様に感じたラナであった。
着いた所はウェストブルッグ家。
向かって右側の、薬局と書かれた扉をノックする。
パタパタと小走りな音が聞こえた後、
「はーい、どちら様でしょうか?」
という声と共に扉が開いた。
ケイトの母アニスである。
「初めまして、カイルといいます。
冒険者をしています。
実は・・・。」
事情を説明し、作ってもらいたい物を語った。
ラナがそれを聞いて、ゲッとなる。
「悪辣だわー。」
でもアニスは真逆の思い。
「あら、とても素敵な考えね。
いいと思うわよ。」
薬局の魔女にしてみれば、美学の範疇なのかもしれない。
しかし、
「それなら私よりキャサリンに作ってもらった方がいいわ。
ちょっと待ってて、今呼んでくるから。」
と言われ、再び扉が閉じる。
少しすると、中央の正面玄関扉の方が開き、
眠たそうな表情の美少女がやってきた。
「おはよーございまーす。
キャサリンといいまーす。
お客様ですかあ?」
この聞き慣れたのんびりイントネーションは、
「おはよーございまーす。
キャサリンといいまーす。
お客様ですかあ?」
この聞き慣れたのんびりイントネーションは、
ミウの口調に通じるものがあった。
ミウが、サッとラナから例の臓物を取り上げ、キャサリンに手渡す。
「キャサリンさん、これでね、
ミウが、サッとラナから例の臓物を取り上げ、キャサリンに手渡す。
「キャサリンさん、これでね、
ブワーッ!としたのを作ってほしいんですよー。
お願い出来ますかぁ?」
カイルたち5人が『え!?』といった表情を見せたが、当のキャサリンは
「もちろんいいですよー。
こんな綺麗な臓物ならすぐに出来るので、
お願い出来ますかぁ?」
カイルたち5人が『え!?』といった表情を見せたが、当のキャサリンは
「もちろんいいですよー。
こんな綺麗な臓物ならすぐに出来るので、
ちょおっと待ってて下さいねー。」
と言って、家に入っていった。
そのすれ違いでアニスが戻ってくる。
「じゃ、出来上がるまでの間、薬局にいらっしゃいな。」
「あ、はい、ではお邪魔します・・・。」
ミウを除くカイルたち5人は不安になっていた。
あの会話だけで、本当に通じたのだろうか?と。
薬局の応接室に通されたカイルたちはコーヒーを頂いていた。
「ここでは冒険者の店で売っているような
と言って、家に入っていった。
そのすれ違いでアニスが戻ってくる。
「じゃ、出来上がるまでの間、薬局にいらっしゃいな。」
「あ、はい、ではお邪魔します・・・。」
ミウを除くカイルたち5人は不安になっていた。
あの会話だけで、本当に通じたのだろうか?と。
薬局の応接室に通されたカイルたちはコーヒーを頂いていた。
「ここでは冒険者の店で売っているような
毒消しや体力回復などのポーションも売っているのでしょうか?」
「もちろんあるわよ。
但し数は少ないわ。
うちで作っているのは、主に王国と病院関係だから。」
客先を聞いて、聞いてはいけない領域だったのではと上目遣いする。
アニスは苦笑した。
「大丈夫よ。
そこまで機密な情報じゃないわ。
国からの依頼で今作っているのは、
「もちろんあるわよ。
但し数は少ないわ。
うちで作っているのは、主に王国と病院関係だから。」
客先を聞いて、聞いてはいけない領域だったのではと上目遣いする。
アニスは苦笑した。
「大丈夫よ。
そこまで機密な情報じゃないわ。
国からの依頼で今作っているのは、
土壌の活性薬を作っている程度だから。」
「あ、そ、そうですか・・・。」
話していると、家の廊下側の扉が開き、キャサリンがやってきた。
「出来ましたよおー。
銀貨100枚になりまーす。」
そう言って、半透明な繭玉みたいな物が沢山入った袋を差し出した。
カイルが袋を改めて中身を確認し、その量の多さに『は!?』となる。
「安すぎませんか?」
「高級な臓物頂いたので、ぜえんぜんおっけえでぇーっす!
「あ、そ、そうですか・・・。」
話していると、家の廊下側の扉が開き、キャサリンがやってきた。
「出来ましたよおー。
銀貨100枚になりまーす。」
そう言って、半透明な繭玉みたいな物が沢山入った袋を差し出した。
カイルが袋を改めて中身を確認し、その量の多さに『は!?』となる。
「安すぎませんか?」
「高級な臓物頂いたので、ぜえんぜんおっけえでぇーっす!
(註:全然OKです)」
「あ、ありがとう・・・ございます。」
シーマも半ば信じられない様子で中身を眺め、銀貨100枚を差し出した。
「使い方を説明しますねー。
まず迷宮に入りましたらあ・・・。」
説明を聞き終えると、ラナは声に出さず、
『悪女の中の悪女だわ、この娘。
見た目と裏腹のとんでもないホエホエ魔女ね。』
とげんなりしていた。
しかしミウは声を大にして
「凄いですわあ。
さぁいこう(最高)ですわよぉー!。」
と感嘆としていた。
類は友を呼んでいたようであった。
「あ、ありがとう・・・ございます。」
シーマも半ば信じられない様子で中身を眺め、銀貨100枚を差し出した。
「使い方を説明しますねー。
まず迷宮に入りましたらあ・・・。」
説明を聞き終えると、ラナは声に出さず、
『悪女の中の悪女だわ、この娘。
見た目と裏腹のとんでもないホエホエ魔女ね。』
とげんなりしていた。
しかしミウは声を大にして
「凄いですわあ。
さぁいこう(最高)ですわよぉー!。」
と感嘆としていた。
類は友を呼んでいたようであった。