アメリカで一から看護師になって6年目。
まだまだ知らない事・未経験のことが多くて
新しいことを学ぶ日々が続いています。
2017年はCRRTとHACAを担当するようになりました。
CRRTはContinuous Renal Replacement Therapyの略で
24時間稼働の人工透析のことです。
通常の人工透析にかかる時間は3-4時間。
Dialysis techと呼ばれる人工透析専門の技師さんが
病室まで来て透析を行ってくれます。
CRRTが必要な患者さんというのは
通常の人工透析には耐えられないような
重篤な病状であることが多く、
ICUナースが1対1でCRRT及びその他のマネジメントを行います。
HACAはHypothermia After Cardiac Arrestの略で
心肺停止後に蘇生した患者さんに行う低体温療法です。
Targeted Temperature Managementとも呼ばれます。
通常36-37℃ある体温を32-33℃まで落とすことによって
心肺停止による脳へのダメージを最小限にすることが目的。
こちらもICUナースが1対1でマネジメントにあたります。
CRRTもHACAもある程度の知識・経験が必要なので
ICUナースとして複数年の経験がないと
トレーニングを受けさせてもらえません。
うちの病院ではHACAは循環器系のICU担当でした。
それが去年から私のICUで受け持つことになったので
4分の1ほどのナースがトレーニングへ送り込まれ
HACAを担当させてもらってます。
未経験の領域なので学ぶことは多いし、
個々の患者さんによってマネジメントの仕方も違ってくるので
毎回勉強になることがたくさんあります。
CRRTも同じで毎回勉強になることが多いです。
CRRTはナースのマネジメント能力が問われると言うか
ナースのちょっとした判断の違いで
患者さんの生死が別れたりするケースもあるので
なかなか難しいけど、なかなかやりがいのある看護です。
「この(低すぎる)血圧じゃCRRT出来ない」
と誰も口にした患者さんがいたんですが
私は思い切ってCRRTをスタートさせて
ギリギリの血圧で血液をろ過し続けたんです。
まだ未来のある患者さん(50代)だったし、
CRRTやらなかったら亡くなるのは目に見えてたから。
CRRTやらずに死を待つよりも
やれること(CRRT)をやりきった結果での死のほうが
この患者さん、家族にはいいと思ったんです。
もちろん私がそうしたかったというのもあります。
結果的にこの患者さんは生き延びて
少しずつ回復してリハビリ施設へと移っていきました。
こういうケースを目の当たりにすると
本当の本当に嬉しいです。看護師冥利に尽きます。
先日も同じようなケースがあって、
50代、心肺停止、CRRT、人工呼吸器に繋がれてて、
でも意識ははっきりとあった患者さん。
看護師目線で見て、回復の見込みが充分望めました。
ただ、意識がはっきりしているのに
人工呼吸器にずっと繋がれているのって辛いです。
多くの人が鬱になります。
鬱にならなくても気がすごく滅入ります。
だから、ずっと励まし続けたんです。
あなたは若い。
あなたには良い兆候がたくさんある。
多少の後遺症は残っても
あなたは通常の生活に戻れる日が来る。
今はとても辛いですよね。
でも諦めないで。
人工呼吸器から外れたら
あなたの声を聞くのを楽しみにしてるわ。
リハビリして歩けるようになったら
この病棟に挨拶に立ち寄ってね。
本当に楽しみにしているから。
この方を担当したのが先週の木曜日。
今週の月曜日に病室のぞいてみたら
気管抜管されて初めて声を聞けました!
この日の担当ナースも言っていたけど
生死をさまよった患者さんが回復するのって
言葉に尽くせないくらい嬉しいです。
HACAとCRRTの話からだいぶ逸脱しましたが
これからも質の高い看護サービスを提供出来るように
日々精進していきたいです。