実習をしていた病院はラスベガスの繁華街から近い病院の1つという事もあって
他州からの観光客が体調を崩してERに来る事が多々あります
えいやもそんな観光客の患者さんを担当した事が何回かあるんですが
ほんとね、心の底から大きな声で言いたい。
遊びに来ているからって油断しないでーーー!!!
たまたま旅行に来た時に脳梗塞になってしまった、
気分が悪くて病院に行ったら糖尿病である事が発覚した、
こんな場合はコントロールのしようがないから仕方ないです。
テキサスから遊びに来て脳卒中になった女性を先学期に担当した時は
左半身麻痺で食べ物が上手く飲み込めず胃瘻の手術などをしなければいけなかったものの
意識もあるし、指示に従う事も出来るし、容態的には安定していたので
1-2週間程度でテキサスの自宅へ戻っていきました
こういったケースは患者さんだってわざわざ観光地で病気になりたかった訳じゃない。
でもね
持病がある人はそれを軽視して遊びにくるのは止めてください!ホント
えいやがICUで担当した63歳の男性患者さん。
ルイジアナ州から奥さんとお友達夫婦を連れて夢のラスベガス観光だったそうです
COPD(慢性閉塞性肺疾患)持ちで自宅では酸素ボンベ2Lを常用。
慢性的に酸素ボンベを使っている時点で病状はそんなに良くない事は明白。
な・の・に、ラスベガスへは酸素を持たずに遊びに来てしまい
2日目の朝に呼吸困難でERへ急行
(そりゃそうだ)
その場で気管挿入、人工呼吸器につながれICUへ入院。
最初に担当した時は入院2日目で人工呼吸器の設定も至って平均的な
A/C、FiO2 50%、PEEP 5でSpO2を90-95%に保てていたのが
翌週(5日後)にはFiO2 100%、PEEP 13に大悪化
それなのにSpO2は80-85%しか保てない...
全身むくんでパンパン、Propofolが入ってるから意識は無いけど
Sedation vacationしても目を開けることもなし。
最初に担当した時は回復の見込みは充分あると思ってたけど
2回目の時点で経験の浅いえいやでも「ちょっと厳しいな~
」状態。
患者さんは3-4週間ほどICUにいましたが
回復の見込みはないと医師からも判断されたのでしょう。
最終的に奥さんがこれ以上治療しない事を決断。
気管、人工呼吸器、胃瘻、点滴から外され、お亡くなりになりました。
ルイジアナに移送する事も出来ず、63歳という若さで、
しかもなぜ観光地で命を落とさなければならなかったのか
飛行機内や観光地での酸素ボンベの手配は色々面倒なのはわかります。
自宅で体調が良かったからラスベガスでも大丈夫だろうと思ったのもわかります。
でも、体調がいいのはあくまでも酸素ボンベを使っているからであって
空中酸素濃度では生きていけないという事を本人は認識出来なかった
奥さんも認識出来なかった
友人夫婦も認識出来なかった
本人とその周りの人々の考えの甘さもあるかもしれませんが
問題はこれだけではないような気がしてなりません
えいやは思うのです。
患者さんのかかりつけ医師はどのようにCOPDという病気を説明していたのかと。
その病院・クリニックの医療関係者は適切な教育を患者さんに施していたのかと。
患者さんに関わるのは医師だけではありません。
仮に、医師が説明不足だったとしても
看護師や呼吸療法士という人達がCOPDに関して説明する事が出来ます。
もしかしたら彼らはちゃんと説明していたかもしれない。
でも、回避可能だった死は結果的に訪れてしまいました。
ホント、患者さんへの教育って大切ですね。
病気を発症した当初だけでなく、定期健診で何度も情報を補わなければ
多くの患者さんの心には響かないと思います。
でも、病状に関してしっかりと説明・教育してくれる病院や医療関係者は
実際のところそんなに多くないかもしれません。
だから、患者である私達も自ら情報を求める姿勢で病気に立ち向かう事は必要でしょう。
何だか最初に書こうとしていた事より真剣な話になってしまいました
多くの人が自己健康管理を適切にして
落とさなくてよい命をしっかりと守って欲しいものです
←アメリカは医療費異常に高いし