行動の理由

　外せない用事がありました。
　というと、ほかに誘いを受けたけれど行きたくないので断る時のようですが、ほかには何もありません。
　その用事のために外出をしました。
　外出は致し方がない、と言い訳をするようですが、外出するのにもっともな理由が必要な気分というのは煩わしいものです。
　家にいたからといって、誰も褒めてくれないのと同様、外出したからといって責められることも、いまのところありません。
　駅の周りには、いつもと同じように多くの人がいました。
　ただ、カフェと理容室は営業していなくて、とんかつ屋は持ち帰りだけで、宝くじは売っていなくて、レンタルビデオ店と書店は開いていて、暇そうに歩いている人がいて、ぼくもきっと同じように見えるのでしょう。