いよいよ大晦日を迎えているハル文庫の高橋です(皆さまも、同じですね)。
信じられますか?
この間、年の暮れを迎えたと思ったら、また年の暮れ、だなんて!
地球全体の時間の流れが速くなっているとしか思えません(笑)
こうなったら、こちらも加速度を上げる必要があるかもしれません。
そんな気ぜわしい今年の終わりですが、
来年はぜひ、揺蕩うように時間を過ごせて、しかも、遅れをとるわけではない
しかも! 充実している……そんな時間の過ごし方を研究してみたいと思います。
では、今年最後の三津田さんの物語は、着物の話です。
そんなわけで、五十歳にしてフサコさんは、初めてお勤めに出ることになりました。
困ったのは通勤着で、通勤にふさわしい洋服など持っていません。
何着も新調しないといけないでしょう。
ところが、とフサコさんは考えました。
着物はたくさん持っているじゃないの。
これまで、出かけるときはいつも着物だったでしょ。
そうよ。着物で通勤することにしましょう。
着物といっても、かしこまった席で着る堅苦しいものではありません。
ウールの一重の着物で、帯も軽いのです。
着慣れていますから、洋服と同じようにラクに動けます。
お勤めに出てから、フサコさんはお母さまに感謝することになります。
というのも、一重のウールの着物ぐらいなら、自分で仕立てることができたからです。
お母さまにいわれて呉服屋さんで和裁を習ったのが、ここで役に立ちました。
フサコさんは新しい着物がほしくなると、
「いい柄だわ」と思う安価なウールの反物を手に入れて、
自分で仕立てました。それは、思いのほか楽しい時間でもありました。
それに会社に新しい着物で行くと、誰かしらが「おやっ、いいですね」と褒めてくれます。
すると、フサコさんは特別にうれしい気分になるのです。
着物を着て通勤だなんて、かっこいいです。
かっこいいのは大事です。
来年は、ハル文庫もかっこよく決めていきたいと思います。
ではでは、よいお年を!!
除夜の鐘が鳴り始めるまで、素敵な大晦日をお過ごしください。