以下、ペースト記事
全国では27日午後8時時点で、過去最多20万9646人の新型コロナ新規感染者が確認されました。
重症者は311人(27日時点)、病床使用率は37%(20日時点)となっています。
◆コロナ患者の治療にあたっている埼玉医科大学総合医療センターの感染症専門医・岡秀昭教授に聞きます。
(Q.2週間前に出演していただいた際、岡教授の病院では『病床にはまだゆとりがある』という話がありました。その時と比べて、現在の現場の状況はどうなっていますか?)
この1週間で急速に患者の数が増えています。1週間前は6人でした。それが週末には12人になり、25日には24人、27日は31人。40床のコロナ病床のうち80%近くが埋まっています。
もう一つ厳しいのは、医療従事者の欠勤です。
全国的に問題になっていると思いますが、私どもの所も例外ではなく、看護師・医師・その他の医療従事者で100人近い休職が出ています。
40床の確保病床は、あくまでも医療従事者がフルに活躍できる状況での数です。この40床を動かすのは、非常に厳しい状況です。
つまり今、限界に達してきていることが想像できるのではないかと。
そして、第7波では重症者が生まれにくいと考えていましたが、そんなことはなさそうです。
当初1床ほどの重症者でしたが、この1週間で4人まで増えました。
これは私どもの病院では、第6波の重症者の数を超えている状況です。
(Q.入院する患者の特徴はありますか?)
私どもの所は大学病院で、重症化リスクのある方を中心に依頼されます。そのため、おおよそ半数は80~90代の高齢者になります。
高齢者の特徴は、高齢者施設でクラスターが起きていて、一度に複数の患者が運ばれてくることです。
これは今、方々でクラスターが起きていることの現れではないかと思います。
ただ、高齢者ばかりではありません。むしろ重症になる方は、30~50代が多いです。
なぜかというと、積極的に人工呼吸器などの治療を希望される方が多いからです。
今いる4人の重症者はいずれも30~50代で、基礎疾患があることが多いですが、残念ながらワクチン接種を1回も受けていなかったり、2回までの接種にとどまっている方が多いです。
ワクチンを打っていない方は、オミクロン株といえども、両方の肺が真っ白になる重症の肺炎を起こし得ます。
しっかりワクチンを打っている方は、重症化しても従来のパターンではなく、誤嚥性肺炎を起こしたり、脱水症や食事が取れなくなる、全身の衰弱のような形になります。
ワクチンを打っていない場合は、重い肺炎を起こすことに注意が必要だと思います。
(Q.2週間前に出演していただいた際に『重症化予防効果があるワクチンが広く打たれ、治療薬も投与している。“重症者が増えない”淡い期待をしている。ただ、感染者数が増えれば持ちこたえられない可能性も』と話していました。淡い期待は裏切られている状況ですか?)
現実としては裏切られている可能性が高くなってきました。
何よりもこれから先、今までで一番最悪の被害を生むかもしれないという心配を持っています。
BA.5は、感染力が強くなることは2週間前にも分かっていましたが、入院リスクについてはよく分かっていませんでした。
入院リスク、つまり重症化リスクが高くなるのであれば、大変なことになると心配していました。
ここ数日の間に複数の論文が発表されました。
デンマーク国立血清学研究所の論文では、BA.5の入院リスクは、ワクチン3回接種済みの場合、BA.2と比べて1.78倍になると。
ポルトガルからも、死亡率が上がるのではないかという報告が出ています。
BA.5はBA.2に比べて、感染力が強くなっているだけではなく、重症化しやすい恐れがあります。
今後、次第に重症者が増え、医療がひっ迫し、最後には亡くなる方も増えるのではないかと心配しています。
***
大阪は27日『医療非常事態宣言』を出し、高齢者に対して、今月28日から来月27日までの1カ月間、不要不急の外出を控えるように要請することを決めました。
現在の感染拡大を受け、政府は、濃厚接触者の待期期間を、原則7日間から5日間に短縮などの対応を打ち出しています。
後藤厚労大臣は27日「社会経済活動をできる限り維持しながら、高齢者等を守る対策に取り組む」として、行動制限には言及しませんでした。
***
(Q.行動制限の効果をどう考えていますか?)
2週間前は、政府の方針に対して「そろそろ、そういう考えも必要」として反対しませんでした。
ただ、2週間経った今、医療の最前線を見る限り、何かしらの対策を取っていただかないと、甚大な被害が出てくるのではないかと思います。
今までのような飲食・旅行などに対象を絞る行動制限ではなく、医療現場は患者が殺到してさばき切れない状況になっているため『医療の受診制限』や『軽症者の受診抑制』といった対策が必要になってくるのではないでしょうか。
これは言うのは簡単ですが、受診できない患者の不安・パニックをあおる恐れもあり、難しいです。
少なくとも例えば、検査の陰性証明や陽性証明を現場に求める必要はないと、政府から要求していただきたいです。
受診の制限に関しては、システム作りから必要だと思いますが、これこそ政治の手腕の見せどころではないかと思います。
政治の丁寧な説明とリーダーシップを期待したいです。
(Q.政府のこれまでの対策をどう評価しますか?)
結果論なので、難しいですが後手後手に回ったのではないかという印象を持っています。
『withコロナ』で、行動制限を行わずに社会を回していくことは、いつか必要だと思います。
しかし今回、そのための準備が足りなかったと思います。
私は数カ月も前から、医療従事者のワクチン接種をすべきだと言っていました。
第7波は医療従事者と院内クラスターとの戦いだと警告をしていましたが、その通りになっています。
ところが、この事態になってから、医療従事者への接種が決まりました。
子どもや30~40代のワクチン接種も進んでいません。
濃厚接触者の緩和も状況がひっ迫してから行われるようになりました。
社会が回らないということであれば、事前に緩和策を検討しておいて良かったのではないか。
社会を回すという理念は良いですが、そのための準備が全て後出しになっていて、準備が不十分になっていることが大変残念でした。
重症化の予防のために、四回目のベネフィットと心得て、
接種致します。
全国では27日午後8時時点で、過去最多20万9646人の新型コロナ新規感染者が確認されました。
重症者は311人(27日時点)、病床使用率は37%(20日時点)となっています。
◆コロナ患者の治療にあたっている埼玉医科大学総合医療センターの感染症専門医・岡秀昭教授に聞きます。
(Q.2週間前に出演していただいた際、岡教授の病院では『病床にはまだゆとりがある』という話がありました。その時と比べて、現在の現場の状況はどうなっていますか?)
この1週間で急速に患者の数が増えています。1週間前は6人でした。それが週末には12人になり、25日には24人、27日は31人。40床のコロナ病床のうち80%近くが埋まっています。
もう一つ厳しいのは、医療従事者の欠勤です。
全国的に問題になっていると思いますが、私どもの所も例外ではなく、看護師・医師・その他の医療従事者で100人近い休職が出ています。
40床の確保病床は、あくまでも医療従事者がフルに活躍できる状況での数です。この40床を動かすのは、非常に厳しい状況です。
つまり今、限界に達してきていることが想像できるのではないかと。
そして、第7波では重症者が生まれにくいと考えていましたが、そんなことはなさそうです。
当初1床ほどの重症者でしたが、この1週間で4人まで増えました。
これは私どもの病院では、第6波の重症者の数を超えている状況です。
(Q.入院する患者の特徴はありますか?)
私どもの所は大学病院で、重症化リスクのある方を中心に依頼されます。そのため、おおよそ半数は80~90代の高齢者になります。
高齢者の特徴は、高齢者施設でクラスターが起きていて、一度に複数の患者が運ばれてくることです。
これは今、方々でクラスターが起きていることの現れではないかと思います。
ただ、高齢者ばかりではありません。むしろ重症になる方は、30~50代が多いです。
なぜかというと、積極的に人工呼吸器などの治療を希望される方が多いからです。
今いる4人の重症者はいずれも30~50代で、基礎疾患があることが多いですが、残念ながらワクチン接種を1回も受けていなかったり、2回までの接種にとどまっている方が多いです。
ワクチンを打っていない方は、オミクロン株といえども、両方の肺が真っ白になる重症の肺炎を起こし得ます。
しっかりワクチンを打っている方は、重症化しても従来のパターンではなく、誤嚥性肺炎を起こしたり、脱水症や食事が取れなくなる、全身の衰弱のような形になります。
ワクチンを打っていない場合は、重い肺炎を起こすことに注意が必要だと思います。
(Q.2週間前に出演していただいた際に『重症化予防効果があるワクチンが広く打たれ、治療薬も投与している。“重症者が増えない”淡い期待をしている。ただ、感染者数が増えれば持ちこたえられない可能性も』と話していました。淡い期待は裏切られている状況ですか?)
現実としては裏切られている可能性が高くなってきました。
何よりもこれから先、今までで一番最悪の被害を生むかもしれないという心配を持っています。
BA.5は、感染力が強くなることは2週間前にも分かっていましたが、入院リスクについてはよく分かっていませんでした。
入院リスク、つまり重症化リスクが高くなるのであれば、大変なことになると心配していました。
ここ数日の間に複数の論文が発表されました。
デンマーク国立血清学研究所の論文では、BA.5の入院リスクは、ワクチン3回接種済みの場合、BA.2と比べて1.78倍になると。
ポルトガルからも、死亡率が上がるのではないかという報告が出ています。
BA.5はBA.2に比べて、感染力が強くなっているだけではなく、重症化しやすい恐れがあります。
今後、次第に重症者が増え、医療がひっ迫し、最後には亡くなる方も増えるのではないかと心配しています。
***
大阪は27日『医療非常事態宣言』を出し、高齢者に対して、今月28日から来月27日までの1カ月間、不要不急の外出を控えるように要請することを決めました。
現在の感染拡大を受け、政府は、濃厚接触者の待期期間を、原則7日間から5日間に短縮などの対応を打ち出しています。
後藤厚労大臣は27日「社会経済活動をできる限り維持しながら、高齢者等を守る対策に取り組む」として、行動制限には言及しませんでした。
***
(Q.行動制限の効果をどう考えていますか?)
2週間前は、政府の方針に対して「そろそろ、そういう考えも必要」として反対しませんでした。
ただ、2週間経った今、医療の最前線を見る限り、何かしらの対策を取っていただかないと、甚大な被害が出てくるのではないかと思います。
今までのような飲食・旅行などに対象を絞る行動制限ではなく、医療現場は患者が殺到してさばき切れない状況になっているため『医療の受診制限』や『軽症者の受診抑制』といった対策が必要になってくるのではないでしょうか。
これは言うのは簡単ですが、受診できない患者の不安・パニックをあおる恐れもあり、難しいです。
少なくとも例えば、検査の陰性証明や陽性証明を現場に求める必要はないと、政府から要求していただきたいです。
受診の制限に関しては、システム作りから必要だと思いますが、これこそ政治の手腕の見せどころではないかと思います。
政治の丁寧な説明とリーダーシップを期待したいです。
(Q.政府のこれまでの対策をどう評価しますか?)
結果論なので、難しいですが後手後手に回ったのではないかという印象を持っています。
『withコロナ』で、行動制限を行わずに社会を回していくことは、いつか必要だと思います。
しかし今回、そのための準備が足りなかったと思います。
私は数カ月も前から、医療従事者のワクチン接種をすべきだと言っていました。
第7波は医療従事者と院内クラスターとの戦いだと警告をしていましたが、その通りになっています。
ところが、この事態になってから、医療従事者への接種が決まりました。
子どもや30~40代のワクチン接種も進んでいません。
濃厚接触者の緩和も状況がひっ迫してから行われるようになりました。
社会が回らないということであれば、事前に緩和策を検討しておいて良かったのではないか。
社会を回すという理念は良いですが、そのための準備が全て後出しになっていて、準備が不十分になっていることが大変残念でした。
重症化の予防のために、四回目のベネフィットと心得て、
接種致します。