拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

クルエラのム(ッ)ター

2024-02-11 12:30:16 | 言葉

あたしの最近のプロジェクト(エマ・ストーンの出演映画を見る)の次なるターゲットは「クルエラ」。実母役にエマ・トンプソン。「日の名残」ではあんなに地味な役どころを演じたトンプソンが、憎らしいったらありゃしない役を演じてる(そんなことを言ったら、「日の名残」でのアンソニー・ホプキンスだってレクター博士とは別人)。

とっても面白かった。それ以外の感想?あたし、映画については無口なの。以下、例によって周辺的なこと(=どうでもいいこと)についての感想を書きましょう。

まずは、あたしの馬鹿を示す話から。あたし、ヒロインが途中から悪になって「クルエラ」と名乗ったのを見て、そう言えば、イタリア語のオペラで好きな人からひどい仕打ちを受けた人が「クルエーレ」(ひどい人っ)って言ってる、それだ!と思ったら大間違い。イタリア語の「ひどい人」は「クレーレ」だった。でも、英語の「クルエール」は「ひどい」で、名前の「クルエラ」はそこからきてるんだってよ。英語の「クルエール」(cruel)とイタリア語の「クルデーレ」(crudele)は「d」の有無の違いがあるけど語源は同じなのかしら。だったら、「クルエラ」からイタリア・オペラの歌詞を連想したのは馬鹿だけど大馬鹿ではなかったかも(自分を慰める)。因みに、本作の「クルエラ」は、「101匹ワンちゃん」の悪役「クルエラ」の若き日の姿なんですってね。

大馬鹿ではなくても馬鹿には違いない。やっぱりイタリア語は畑違いだからね。ドイツ語ならもう少しまともなことが言えるわよ。気になったのは「母親」って台詞。この映画、ディズニー+で見てて、あたし、ディズニー+は音声をドイツ語に設定してあるんでドイツ語で聞いたの。だからドイツ人の声優さんが「母親」を「Mutter」と言ってるんだけど、この発音のことなのよ。日本で学校で習うときは「ムッター」(小さい「ッ」が入る)。でも、ドイツ人が会話で話すときは「ムター」。だから、ヴァイオリニストの「アンネ・ゾフィー・Mutter」は「ムター」なの。問題は、本来はどうなのか?歌うを歌うときはどうなのかっていうこと。あたしはね、歌うときは綴りに忠実に小さい「ッ」を入れる派なの。でも、ある合唱団で子音が重なったとき小さい「ッ」を入れるかが議論になって、指揮者が、ドイツに留学経験のあるドイツ語の達人に「どう?」って聞いたのね。そしたら、その達人が「会話では小さい「ッ」を入れない」って言って、じゃあそうしようってことになったの。あたし、とっても不満だった。でも、当時、あたしはドイツに語学留学する前だったからその達人に異を差しはさめなかったの。日本では語学留学経験の有無で人を評価するところがあるからね(その評価が正しいとは限らないんだけど)。今なら「歌うときは普通の会話と違っていい」と胸をはって言えるんだけどね。で、今回なんだけど、クルエラが「Mutter」をゆっくり発音するとき「ムッター」って言ってるのよ。あたし、我が意を得たり、の気持ちでした。

そうやってドイツ語吹き替えで視聴したものだから、エマ・ストーンの生声は聞けなかった。今度はオリジナル音声で視聴してみようかしら。

因みに、「とっても不満」って書いたけど、「とっても」は、ホントは「とても」よね。それから、クルエラは実母に「あなたは私の母親」と言ったけど、「スターウォーズ」ではダースベイダーがルークに「私はお前の父親」(I am your father)って言うのよね。



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