新・日常も沖雅也よ永遠に

お引越ししました。

キャッシーさんに天使が舞い降りた

2015-10-31 23:55:00 | 沖雅也
キャッシーさんが初めてメールを下さったのは、もう10年以上前のことになる。
「小さな恋のものがたり」が大好きだということだった。
私にとっても大事な大事なバイブルのような作品のひとつだったので、
何度かメールのやりとりをするようになった。

キャッシーさんは生まれつき四肢に麻痺があり、
アメリカ人のお父様とは彼女が赤ちゃんの時に別れ、
13歳からは施設に入りお母様とも離れ、
今は一人暮らしをされている。
歩くことはもちろん、起き上がることも一人では出来ないのに一人暮らし。
よく障害のある方に対して同情してはいけないなどというが、
彼女のメールを読めば読むほど、同情どころか申し訳ない気持ちになったものだ。
ガタが来ているとはいえ動かせる手足があり、
ド近眼だとはいえ見える目があり、聴こえる耳がある。
そのどれもが不自由な状態の彼女が足の指でキーボードをたたいて送ってくれたメールは、
いつもまっすぐで愛があった。

今年の夏の「沖雅也研究会」にヘルパーさん三名を引き連れて参加されたキャッシーさんは、皆に囲まれてただニコニコしていたが、あとから来たメールには柏原監督が車椅子を階下まで担いで降りて下さったことが申し訳ないとあった。
心優しく気配りのあるキャッシーさんなので、ヘルパーさんも「とにかくお人柄が良いから」と懸命に介護して下さっていた。

キャッシーさんは沖さんだけでなく、岡崎友紀さんも大好きだった。
沖さんと共演している友紀さんが好きなのかと思いきや沖さんが出演していない「なんたって18歳」が一番好きだというから、そういうことではないらしい。
世間知らずの主人公が世の中に飛び出して周囲を明るくしていく物語。同時期に放映されていた「だから大好き!」も同じコンセプトだ。
社会との関わりに制限があるキャッシーさんにとっては、扉を開いて飛び出したヒロインが憧れの対象になったとしても無理はない。
岡崎友紀さんが劇中で歌う歌が大好きだとCDを購入し、ずっと聴いているというメールも何度もいただいた。

そんな彼女が病に倒れたのが数年前。
大きな手術をしてリハビリに励みながらも、「もう辛くて苦しいので、雅也のところへ行きたい」という内容のメールも何度も受け取った。
「このまま生きていても、もう何もない」という内容に
「そんなことないわよ」と気軽にも言えない。
キャッシーさんは高い魂の持ち主で、さらなる修行のためにこの世に生を受けたのかも知れないと思ったりした。

楽しい内容の掲示板の投稿とは別に、そんな内容のメールのやりとりがずっと続いていたのだが、最近になってまた病が彼女を襲った。どこまで神は彼女に試練を与えるのか。
彼女の短いメールには
「わたし、いままでがんばって来たけれど…マフォンさんお願いです。おかざきゆきさんに言葉を伝えたい」とあった。

「小さな恋のものがたり」のロケ地めぐりをした時に参加された岡崎友紀さんファンの方に相談すると、お手紙を書いて送ってみたらどうかという話になり、私からも事情を説明した一文を添えて事務所に送った。友紀さんファンの方が直接友紀さんに口添えもして下さった。
それでもお返事が来るかどうかは五分五分だと思っていたし、キャッシーさんにもそう伝えた。

だが、天使はキャッシーさんの枕元に舞い降りた。
友紀さんが名古屋で講演のお仕事があり、帰りに少しだけ立ち寄って下さるというのだ。
これには、私の方が舞い上がってしまった。

キャッシーさんも興奮したのか、十二指腸に穴が開いて緊急入院するという騒ぎがあり、ご自宅に来ていただくはずが病院へお見舞いという形になったり、ヘルパーさんが時間によって変わるので手違いがあるといけないので、私も急遽日帰りで名古屋入りすることにした。
もちろん、友紀さんに会えるという喜びもあった。

私にとっては「小さな恋のものがたり」は特別な作品のひとつで、この撮影で私は初めて生の沖雅也さんと出会うことが出来たのだった。
最終回は何百回観たことだろう。最後のキャンプファイアーのシーンは、もはやバイブルといえる。

私が行くと、名古屋の街が一望の下の高層階の病室で、キャッシーさんは静かに休んでいた。
少しすると看護師さんや私にメールを下さったヘルパーのUさんが勤務時間よりかなり早く来て下さった。
彼女曰くキャッシーさんはとても我慢強くて、痛くても口にしないことが多いという。
診断で初めて痛かったであろうことを知ったこともあるそうだ。
いわゆる「痛み慣れ」をしているほど、彼女の人生には痛みがつきものなのだ。

目を覚ましたキャッシーさんに顔を近づけ大声で話しかけるが、よく見えない、わからないと言う。
私のことは分からなくても良いが、岡崎友紀さんのことは分かるだろうか。
しばらくするとやっと私が分かってくれたので、
「今日、岡崎友紀さんが来てくれるって!」と言うと、本当?と急に目を輝かせた。
前にもUさんが説明してくれたそうだが本気にしていなかったらしく、現実のこととは信じがたかったらしい。
それはそうだ。私だってそのお話があった時には俄かには信じられなかったのだから。

現実だと分かったら今度は着替えたいとか姿勢を変えたいと言ってワクワク・ドキドキのキャッシーさん。
「あと何分?」と何度質問されたか。


マネージャーからのお電話で玄関前で待っていると、タクシーから笑顔の友紀さんが降りていらした。私の方がもう泣きそうだ。
病室に入った時のキャッシーさんの顔といったら、その前を知っている私にはびっくりだった。こんなに嬉しそうなキャッシーさんを初めて見たとUさんが言う。
良かった、本当に良かったと涙をぬぐうUさんと私。
急に顔色まで良くなってしまった。どんな薬よりも特効薬となったらしい。
友紀さんと同世代のヘルパーさんがシフトに入られ、ついでに彼女も大喜び(笑)。

キャッシーさんは私のことは見えなかったのに、友紀さんのお顔はバッチリ見えたらしい(笑)。
「かわいい」
「ずっとファンでした。大好きです」
「応援しています。頑張って下さい」
そんなことを一生懸命話しかけるキャッシーさんに友紀さんは
「私に頑張ってって言ってくれるの?マリさん(キャッシーさんの本名)の方がずっと頑張っているのに」

Uさんが予め聞き取りをしておいて読み上げて下さった。

昭和58年からずっとファンでした。歌も大好きでした。「しあわせの涙」「花びらの涙」「私は忘れない」が好きです。
ドラマは「なんたって18歳」が好きでした。

ここで沖ファンとしてはまず「昭和58年」にひっかかるかも知れないが、キャッシーさんは施設で育ったのでテレビがあまり観られなかったと以前のメールにあった。再放送でのファンなのだ。
しかし歌は「ファースト・ラブ」も入れて欲しかったし、ドラマは「だから大好き!」「小さな恋のものがたり」と言って欲しかった(笑)。
事実、彼女のメールには「チッチ」の登場率が高かったのだ。

友紀さんはキャッシーさんの言葉を懸命に聞き取ろうとして下さり、手をしっかりと握って「ありがとう」と繰り返していた。
ありがとうはこっちですよ!
いくら名古屋で仕事があるからといって、ここまでわざわざ来て下さるなんて、今の言葉で言えば正に「神対応」。後光が差して見えたほどだ。
同時に、人に憧れられる俳優や歌手の方は作品だけでなく、こうやって人を助けたり癒したり出来るのだと改めて実感したが、今回の友紀さんの対応は格別だ。なかなか出来ることではない。

友紀さんが「私がスヌーピーを好きなの知ってる?今日は私が自分のおうちにあったスヌーピーを持って来たから、ここに置いておくわね。新品じゃなくて悪いんだけど、私のスヌーピーを」
いやいや、新品よりその方がお宝です、ファンが欲しいのは正にこれですと言うと、友紀さんと同世代のヘルパーさんが「こっちの方が鑑定団に出せます」とおっしゃった。
このヘルパーさんは面白い方で、後で看護師さんが来た時に友紀さんが来訪されたことを説明した時に「一世を風靡したんだから。プロマイドの売り上げだって何年も一位で。今でいえばAKBが48人全員で来るよりすごいことよ」と話していらした。確かにそうだ。

キャッシーさんが「浅草」と一言。
一瞬友紀さんの出身地のことかと思ったが、○ベル堂でプロマイドを買ったという話を思い出したので確認すると、「あたり」と一言。こちらの言っていることが正しい時は「あたり~」と言うのが口癖のキャッシーさんだが、友紀さんには「はい」と丁寧。ヘルパーさんが「はいって言うの初めて聞いたわ」と言っておられた。憧れの方と対面して、緊張していたのだ。

私が「小さな恋のものがたり」の撮影時に初めておみかけしたが、とてもお疲れのご様子だったと友紀さんにお話しすると、あの頃は寝る暇もない忙しさで、移動の時だけが睡眠だった、だから今もその癖があって新幹線に乗るとすぐに寝てしまうとのこと。
ロケ場所についても「車で連れて来られて降りて撮影してまた車に乗って…だから、どこだか全然わからないままだった」。スーパーアイドルならではのエピソードだ。
う~ん、このほっぺに沖さん、いやサリーはチューしたのだなと考えて、みとれる不純な私に対し、キャッシーさんの頭をなぜる姿が天使のように美しい岡崎友紀さんだった。

感謝と感激の一日だった。
岡崎友紀さん、来て下さってありがとうございました。
素晴らしい作品を残して下さってありがとうございました。

キャッシーさん、早く良くなってまた上京して下さいね。待っています。


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4 コメント

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Unknown (管理人マフォン)
2015-11-16 11:43:28
ayaさん
キャッシーさんがお墓参りをされた時には何度か会われたayaさんには、
キャッシーさんのまっすぐな気持ちがおわかりになりますよね!

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Unknown (aya)
2015-11-13 23:13:34
キャッシーさんにこの機会をがあったことが嬉しくて涙が出ます。
キャッシーさんにお会いしたとき、沖さんと同じくらいに岡崎のファンだと知っていたからです。機会に恵まれたこと嬉しく思います。
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Unknown (管理人マフォン)
2015-11-03 21:49:53
マイマイさん
キャッシーさんは憧れの友紀さんに会って
キラキラお目目が輝いていましたので、
きっと元気百倍です。
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Unknown (マイマイ)
2015-11-03 00:44:04
本当にキャッシー様の願いが叶って良かったですね
早く元気になって、また研究会に来て欲しいです
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