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2012年12月21日から23日、石巻に行ってきました。今回は箱庭に加え、クリスマス会用のビンゴや景品、プレゼント等々を積み込み、メンバー6人とギューギュー詰めの車でまてりあを出発しました。
石巻までは圏央道、東北道から三陸自動車道を経て約6時間の旅です。日の暮れかかる頃ようやく石巻に入り、11月17日に再開した石ノ森漫画館に到着。ロボコンやサイボーグ007に迎えられ、懐かしい日々を思い出しながら進むと、突然、緊迫した声が聞こえてきました。震災直後のラジオ石巻の放送です。震災のコーナーでは、北上川河口近くの中瀬に建つ、この漫画館に押し寄せる津波の映像が流され、脚が竦む思いでした。壁に貼られた手書きの石巻日日新聞からは、切迫した状況がヒシヒシと伝わってきました。
翌22日朝、小雪が舞う中、門脇から仮設一番谷地団地に向かいました。到着する頃には雪は雨にかわり、濡れながら荷物を運び入れ、子供たちや仮説の方々と一緒に部屋を飾り付け、クリスマス会の準備が進みます。ここの集会所は狭いけれどほっこりと温かい空気に包まれています。お昼にはカレーやケーキを頂きながら、あれやこれやと話しに花が咲きます。ケーキは屋根の煙突にサンタさんがいるケーキやさんのだとか。石巻では有名なケーキやさんだけど、地元の人の中には、海に近いそのあたりに近づく事ができず、買いに行けない人もいるみたいです。
ケーキが終わるとくじです。「懐かしいねぇ」と言いながら、大人も子どもと一緒の列に並び、他の人のくじにも一喜一憂。大盛り上がりで、笑いの絶えない素敵な時になりました。
ひとしきり盛り上がった後は箱庭です。はじめは皆で一緒にしていた子供たちも、段々と自分の世界が作りたくなり、順番が待ち遠しく、べそをかく子もいたりして。そんな中、手と顔のふるえが止まらないおばあちゃんと出会いました。「どっこも悪くないのにとまらないの。」と言うおばあちゃんの腕を摩りながら、一緒にゆっくりと呼吸を整えつつ、お話しを伺いました。二人だけの不思議な時が流れ、気が付くとふるえは治まっていました。「名前さなんて言うの。」と聞かれ、「また来てね。待ってるからね。」と両手をしっかりと握りあいました。
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この一番谷地団地ではみんなで子供を育んでいる。そんな感じがしました。団地の雰囲気は、責任者の人柄や覚悟、人を思う気持ちが表れてくるのかな。私達も肩の力が抜けて、ボランティアに来ました!と言うより、のんびりゆったり、一緒にクリスマス会を楽しませて頂きました。
夕方、温かな仮設の人々にお暇を告げ、大川小に向かいました。以前のままの校舎の中で光るクリスマスツリーの電飾が、涙の一粒一粒のように切なく瞬いていました。
23日は寒い寒い朝でした。日和山から見下ろす石巻は、まだまだ痛々しい傷跡を残したままです。日和山は石巻だけではなく、海沿いの土地土地にあり「日和山から海の間に家を建ててはいけない」と言い伝えられていたと伺いました。大切な先人の知恵を活かせないのは、なぜなのでしょう。
今日は何度か訪問している仮設押切沼団地でのクリスマス会です。皆でケーキを飾り、一つ一つに賞を決めておいしく頂きました。それからお待ちかねのビンゴです。お寄せ頂いたたくさんの景品を前に、皆、下見も念入りにビンゴスタートです。番号が読み上げられる度にあちこちから歓声があがります。一番人気は、以外にも宝くじ入りのタオルでした。
箱庭は、以前に体験した方がほとんどで、一人でじっくり置く姿が印象的でした。6月に皆で箱庭の街づくりをし「自分の家がまた持てるかもしれないと言う希望がわいてきた。あなたたちは、私たちが夢を持てるように来てくれたのね。」と言って頂いた事を思い出しました。皆の夢がどうか叶いますように。
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4ヵ月ぶりの石巻は、グニャグニャのガードレールや山積みの車を見かけなくなり、瓦礫の山も小さくなっていました。時の流れを感じながらも、ひとたび海沿いの道に入ると、水没した薬局や道路、「取り壊し不可」と赤字で書かれた建物が置き去りにされています。仮設にいる人も自宅で暮らす人も、心に負った傷はあまりに大きく、本当に癒される日がくるまでにはどれだけの時がかかるのでしょう。個々に様々な問題を抱える今、一人一人の心の声を聴き、体の声に耳を傾け、同じ空気の中でしっかりと向き合い、寄り添っていく事が求められているのだと感じました。「待っている」と言ってくれた人に会いに、来年もまた来ようと心に誓い、雪の石巻を後にしました。