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『よし』・『ゆき』、我が家に住むペンギン?の「ペン太」の散策記です!

秋の京都旅行 その①宇治探訪 (上) 2008.11.12(水)

2008-11-12 20:12:33 | お泊り旅行記(2006~)

2008-12-14 19:22:57
 京都旅行の初日は宇治へ。
宇治と言えば宇治茶と平等院。
平等院に有る阿弥陀堂(鳳凰堂)は10円玉にも描かれており、宇治はお茶の3大産地の1つ。
JR宇治駅前には、茶壷の形をした郵便ポストが設置されています。

 宇治にはJR奈良線と京阪電鉄が乗り入れており、JRは宇治駅、京阪線は京阪宇治駅と言う名で、両駅は宇治川を挟んで500m程の距離が有ります。
 写真はJR宇治駅。
京都駅からだと、JR奈良線に乗って快速で17分、各駅停車で27分です。

 駅前のロータリーの向こうに商店街への入口が有ります。
入口には写真の様なアーケードが有ります。
てっぺんには源氏物語の場面を模した男女2人の姿、左端には茶摘娘の姿が有ります。
商店街の中には、地元の方々の日々の生活に根ざした商店の他にも長い歴史を持つお茶屋さんが複数有ります。
古い家屋・屋敷も多数現存していますが、写真右手の様な新しい建物も。
其処で生活される方々が苦にならない程度に抑える必要が有りますが、鉄筋コンクリート建ての建物を建てる際にも、高さ制限だけでなく壁面の色にも一定の配慮をする等の規制も必要なのではないかな?
家屋・商業ビル共に、様々な形が有り、統一性やまとまりの無い日本では、着工されてから問題になる事が多々有ります。
そうなる前に手を付けておかなければいけないのではないかと思いました。

 さて、源氏物語の終盤の10帖は、光源氏亡き後を描いた物で、主な舞台が宇治になっています。
源氏の不義の子である薫(かおる)と、薫に対抗心を燃やす匂の宮(におうのみや)と言う2人のプレイボーイが、宇治に住む大君・中の君姉妹と、その異母姉妹の浮舟を加えた3人の女性と繰り広げる悲恋を記した物なのです。
宇治が舞台となる事から「宇治十帖」と呼ばれており、宇治市は其れを理由に「源氏物語で町興しを」としているのです。
 又、文献に「源氏物語」と言う存在が記されるようになってからちょうど1,000年目。
 「源氏物語千年紀」
と言う事で、京都各地で催しやグッズ販売がされています。

 平等院前の商店街です。
駅からは昔ながらの商店街を抜け、その後写真の土産物街を抜けるのですが、共に古い家屋が多く建ち並ぶ通り。

 胃炎の具合が思わしくなく、薬を忘れたので、商店街の薬局に寄って胃薬を購入しました。
後に知ったのですが、その薬局も昭和初期に建てられた当時としては珍しい鉄筋コンクリート建ての歴史の有る建造物。
古くて貴重な建築物なのだそうです。
白衣を着た薬局の御夫人(お婆さん)からは、食事に対して親切にあれこれとアドバイスしていただけ、更に胃に優しい物を出す近所のお店も教えていただきました。
この薬の効果や気を付けた事も有り、昨秋の旅行の様にダウンする事も無く、何とか乗り切る事が出来ました。
とても感謝しています。

 直接お会いして御礼を述べる事は出来ませんので、この場で丸五薬局の御夫人に御礼を述べたいと思います。

 「本当にありがとうございました。」

お知り合いの方が居られましたら、お伝え頂ければ有り難い限りです。

 写真の奥は平等院の門。
平等院は藤原藤原頼通が父道長から継いだ宇治の別荘を寺にした物。
10円玉に描かれて有名な阿弥陀堂(鳳凰堂)は、創建当時の建築様式を伝える唯一の物で、1053(天喜元)年の建立。
平等院の歴史は以下の様な物。

【歴史】
・9世紀末、左大臣源融(みなもとのとおる)の別荘だった物が、宇多天皇に渡る。
・宇多天皇から孫の源重信の物に。
・998(長徳4)年摂政の藤原道長の別荘「宇治殿」になる。  
・1027(万寿4)年、道長没。
・1052(永承7)年、道長の子で関白の藤原頼通が宇治殿を寺院に改め、平等院に。
・1053(天喜元)年、阿弥陀堂(鳳凰堂)建立。

 源融は、源氏物語の主人公である光源氏のモデルと言われる人物。
宇多天皇は59代天皇で、孝徳天皇の子。
母は桓武天皇の孫なので、桓武天皇から見ると曾孫にあたる。

 当時は、「釈迦の入滅(死去)から2000年目以降は仏法が廃れ、天災人災が続いて世が乱れる」と言う「末法思想」が広く信じられていた頃で、皇族・貴族による大規模寺院の建設が相次いで行われました。
道長は「無量寿院(後の法成寺)」を建立し、「六勝寺」と呼ばれる「法勝寺・尊勝寺・最勝寺・円勝寺・成勝寺・延勝寺」が現在の京都府左京区岡崎付近に建立されましたが、何れも現存しておらず、当時の貴族が建立した寺院が建物・仏像・壁画・庭園と言った物迄残っていると言うのは珍しいそうです。

 門を入って直ぐの所に有るのが阿弥陀堂。
「鳳凰堂」と言う名が広く知られていますが、これは俗称。
本尊である阿弥陀如来像を安置する「阿弥陀堂」が正しい名前。
横に長い姿が鳳凰が羽を広げている姿に見える事と、屋根の両端に鳳凰が置かれている事から後に「鳳凰堂」と世間で言われる様になったそうです。

 阿弥陀堂では、小さい橋を渡って入ります。
平等院の拝観料は¥600で、阿弥陀堂は¥300になっています。
阿弥陀堂の拝観は、チケットに記された時間に集合して入る形になっている「完全入替え制」です。
係りの方と共に入り、中央部の国宝の阿弥陀如来と26体の雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)、壁画等の説明を聞き、阿弥陀堂から出ると言う15分~20分程度の行程になっています。

 阿弥陀堂の周囲に人が居ますが、この日は到着した11:20頃には
 「次の阿弥陀堂参拝は、12:10迄待つ事になりますが」
と言われました。
休日ともなると、更に長時間待たされる事になるでしょう。
平等院へ行った際には、先ず阿弥陀堂参拝のチケットを購入し、その集合時間迄は平等院全体の見学にあてると良いでしょう。

 阿弥陀堂に向かって左側からの光景。
正面からだと全体を写すことが難しいので、多少左右どちらかに寄った方が良いと思います。
何ともバランスの良い建物だと感じました。
高さと横の長さのバランスが良いのでしょうね。
 「整った美しさ」
 「きちっと計算された狂いの無い美」
と言う感じですね。

 此れが中央の建物の屋根。
左右に居る鳳凰ですが、実はこれはレプリカ。
大気汚染による酸性雨の影響を避ける為に、本物は敷地内の鳳翔館に展示されています。
鳳翔館には、阿弥陀堂内に納められていた全52体の雲中供養菩薩像の内、26体も展示されています。

 阿弥陀堂は、阿弥陀如来像と菩薩像を安置する為の物で、其処で参拝するものではありません。
参拝する者は、堀の対岸から参拝する事になっていました。
現在は、堀の対岸の枝垂桜が植えられている付近がその場。
写真の格子の上部に丸く開いている部分が有りますが、枝垂桜の横に行くと、丁度その丸窓に阿弥陀如来の顔が入るのです。
此処で阿弥陀如来の顔を拝んで祈るのです。
そう言った事を計算されて建造された事に感心してしまいました。
 又、この阿弥陀如来像の額にはまっている水晶は、正面から見ると「輝いて白く見える」ものの、少し左右にずれると輝きを発しない「黒い石」になるのです。
これは阿弥陀堂参拝の際に見る事が出来、説明がされるので是非御自身の目で確かめてみてください。

 この阿弥陀如来像は、非常に大きな物で、複数のパーツを組み合わせた物。
大分金箔が剥げていますが、傍目には金属製に見えます。
然し、木製との事。
木を合わせ、麻を巻いて金箔を貼って・・・と、様々な細かい過程を経て完成された木造です。

【如来と菩薩 仏像の違い】
 さて、豆知識ですが、仏像には「○○如来像」とか「○○菩薩像」とか上の部分が異なるものの、下の部分が同じ物をよく見ますよね。
此れには意味が有り、
①「如来」
 悟りを開いた者で、「お釈迦様」の事。
②「菩薩」
 如来になる為に修行をしながら人々を救おうとしている者で、悟りを開く前はインドの王子だった釈迦の姿をあらわしています。
③「明王」
 人間の持つ弱い心を慈悲に満ちた強い怒りで断じて正しい道へ導く者。
不動明王の憤怒の表情は、そう言った事を表しているのです。
④「天部」
 仏教を敵から守る為に武装した姿で居り、毘沙門天・大黒天・四天王等が此れに相当します。

 服装にも違いが有り、悟りを開いた「如来」が簡素な衣をまとっただけであるのに対し、菩薩はきらびやかな装飾がされています。
 中央に1体の「如来」、周囲に「菩薩」が安置されているのが普通です。

 阿弥陀堂の屋根を見ると、変わった鬼瓦が。
「鬼」と言うより「龍の頭」なのかな?
鳳翔館内に修理の際に作られた夫々の時代の瓦が展示されています。
画面の瓦の一番下の部分の「○型」の中には渦巻きの様な模様が記されていますが、新羅の瓦も平安時代の瓦も「花」を記した物が多かったですね。
花のイメージは日本も大陸も同じで、「真ん中にまん丸で周囲に花弁」と言う形が主流。
何かの花の模写ではなく、「取り合えず、花の形と言えば」と言って描く花は、大差無い様です。

 平等院内には複数の院が有りますが、その1つに源頼政の墓が有ります。
源頼政は平安時代の人物。
保元の乱・平治の乱では勝者側に付き、源氏ですが平清盛からも信頼された人物。
然し、平治の乱後に平清盛と後白河法皇との対立が発生したり、清盛によって高倉天皇が譲位させられ、幼少の安徳天皇が即位させられる等、平家による専横政治が進む中で「打倒平家」を企てます。
 1180(治承4)年、後白河法皇の第三皇子以仁王と共に平家打倒を図り、同年4月に諸国の源氏と大寺社に平氏打倒を呼びかける令旨(皇太子・三后の命令を伝える為の文書)を出しましたが、事が露見し、5月に此処平等院で自刃しました。
時に頼政76歳。
当時としては非常に長寿で、平家の世にあっても重用された人物でした。
 歌人でもあり、

 「のぼるべきたよりなき身は木の下に 椎(四位)をひろひて世をわたるかな」

と言う句を詠んで、清盛が長らく「正四位」のままに居た頼政を「従三位」への昇進させた逸話が有名です。
 辞世の句は

 「埋もれ木の花咲く事もなかりしに身のなる果はあはれなりけり」

 以仁王の令旨の影響は大きく、此れが東国の源氏が再び打倒平家を掲げて挙兵するきっかけになりました。

 平等院の直ぐ東側には宇治川が流れています。
宇治川は水量が多くて流れが速く、川幅が広い川。
一部深い場所が有る物の、大半は大人の膝や腿程度の深さに見えますが、とても歩いては渡れない流れの早さ。
旅行の前に雨が降り、増水していると言うのなら分かるのですが、そうではない様で、頼政が橋を落として平家の大軍と戦ったのも理解出来る状況でした。
写真は宇治橋で、橋の向こうに京阪宇治駅が有ります。
橋の手前には紫式部像が有り、その右手にムラサキシキブが植えられていて実をつけていました。
 昔の宇治は、都の中心部から離れた別荘地。
宇治川の畔で何を思い何を夢見ながら過ごしたのでしょう?
流れ続ける宇治川には、悠久の歴史が流れ、今迄もそして此れからも其れを見続けている様に感じました。

 宇治橋を渡って対岸に。
川の水は、周囲に民家が多く有る割には綺麗。
山迄の距離は左程無い物の、これだけ多くの水量を誇る事に驚きを感じずにいられませんでした。
 川には白鷺、青鷺、川鵜(かわう)の姿が見受けられましたが、魚が豊富で、周囲に野山が残存しているので、川蝉も居るのではないでしょうか?

 宇治橋の上流の朝霧橋です。
この橋で中州に渡る事が出来るのですが、中州の更に上流では鵜飼が行われています。
夏場に訪れたのであれば、是非見たいものです。

 宇治には、他にも
≪宇治上神社≫
 国宝に指定されている本殿(内殿三社)に応神・仁徳天皇・菟道稚郎子命(うじのわきいらつこ)を祀る。
内殿三社は檜皮葺の一間社流造と言う平安時代後期と推定される様式で、世界文化遺産に登録されている神社建築としては日本最古の遺構。
拝殿は寝殿造住宅風の鎌倉時代の物。
拝殿の右手に宇治七名水の「桐原水(きりはらすい)」が有る。
【拝観時間】8:00~16:30【拝観料】無し【住所】宇治市宇治山田59
【アクセス】京阪宇治駅から徒歩10分

≪源氏物語ミュージアム≫
 宇治市の「源氏物語をテーマとした街づくり」の中核施設。
復元模型や映像による宇治十帖の世界を再現。
【開館時間】9:00~17:00(入館は16:30迄)【休館日】月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始【入館料】¥500【住所】宇治市宇治東内45-26【アクセス】京阪宇治駅から徒歩5分

≪興聖寺≫
 1233年に曹洞宗の宗祖である道元が道場として開いた。
総門から龍宮造の山門迄の200m程度の参道が紅葉の名所。
【拝観時間】9:00~17:00【拝観料】志納¥300以上【住所】宇治市宇治山田27-1



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2 コメント

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はじめまして (橋屋 渡月)
2008-11-17 06:23:21
橋屋と申します。
京都をご旅行されたのですね。

わたしは生粋の京都人ではありませんが、京都に住んでもう10年が経ちました。
しかし平等院は、まだ一度も行ったことがありません。(観光地近くに住んでいる人ほど、そんなものなのかも)
ということで、大変興味深く拝見させていただきました。

またお邪魔させていただきます。
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ようこそ (よし)
2008-11-22 22:50:08
橋屋さん初めまして。
京都へお住まいとの事。
他にも行ってみたい所が多々有りますし、季節毎の姿も見たいので、京都やその近郊に御住まいの方を羨ましく感じます。
とは言え、私も鎌倉や箱根と言った観光地の近くに住んでいますし、贅沢を言ってはいけないですね。
 橋屋さんが平等院を訪れていない様に、私も鎌倉で行った事が無い有名な寺院が多々有ります。
 「行こうと思えば何時でも行ける」
 「混雑する中、わざわざ行こうとは思わない」
 近くに有ると、そう言う事になりますね。

 今回、京都の道路渋滞や観光客の多さに驚かされました。
京都にお住まいの方にとっては、観光客は「生活するのに邪魔な存在なのでは」と思ったのですが、どうなのでしょう?
「其れが普通」と思えば、何とも思わないのかな?
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