自分の一生もほぼ見えてきた。このまま、歳を重ね、ガンか脳卒中、
あるいは酒飲みなので、肝臓病か、腎臓病か、いずれかを患って死ぬんだろうなと思う。
今までの人生に悔いはない。高卒で財産なしの家系、見えすぎた将来に
危機感を抱き、山口県から夜行列車で大阪に出てきて、3流の新聞社にしろ、
一応、編集長までになった。吉本、松竹の芸人さんや、売れない演歌歌手、
大阪府警4課(やくざ、暴力団担当)の刑事さん、裕福な宗教家、
大阪ミナミで朝7時まで営業している寿司屋のかんちゃん、大阪の喫茶チェーン店の
アホなボンボンなどなど、いろいろな方と知り合いになった。
不景気のせいか、その方々との交流もまちまちになっている。仕方なく、
休日は好きな映画を見に行くことが多いのだが、そこでふと考えた。自分の
人生を映画にすると、どんな作品ができるのだろうか…と。
最近の映画は壮大である。スケールがちがう。自分の人生を映画にするとなると、
とてもそんな作品はできないから、当然ハリウッド製作は論外である。
話にもならない。となると、松竹か、東映か…。それもあっさり却下だ。
どんなに有名な脚本家に依頼して脚色してもらっても、俺の人生では観客は来ない。
そうなると、自主制作である。小さな小屋に知り合いの方々にお運び願い、
うまい酒と極上の料理を用意して見てもらう。そんな想像をして笑った。
いくらなんでも、そこまで卑屈になることはないだろうって…。
自分ひとりで、あの時はこうだった、そしてこの時はああだったと、
ひとりごちて見た方が感慨深いのではないか。きっと、
もう一度人生をやり直してみたいと思うはずである。
主演男優は当然俺に決まっているが、主演女優は誰になるのか?
そこで指折り数えた。今まで、俺の人生には7人の女性が出演してくれた。
結婚したのは一人だけだが、同棲は3人、そして付き合いだけの女性は3人。
それぞれが個性派で、俺の人生に素晴らしい彩りを添えてくれた。
その中で光り輝く主演女優賞は誰なのか!ダダダダ、ダーン!!!
それでは発表します。俺の人生の中で最高の輝きを見せてくれた主演女優賞は…!
それは、これからお付き合いする貴女です。こんなわがままで気ままな男ですが、
私の人生の主演男優として、最高のエンディングにしたいと思います。
私は大のミステリーファンなので、その結末に、そのどんでん返しに、
貴女は驚愕するでしょう!!!
しかし、彼女いない歴早や3年経過、そんな寛大な女性は現れるのかしら?