満天の星空が見たい!

温泉旅がメインの生活。酒とグルメとミステリ小説、ごくたまに失恋の話。

故郷(田舎)があることの喜び…。

2017-04-27 00:20:52 | 人間


今の仕事は出勤13・00時で、帰りは21時30分ごろの地下鉄。住居のある駅に戻るのは、22時過ぎになる。しかし、決して過重労働ではない。特殊な仕事ゆえ(指定された枠内にある記事を書く)、そんな勤務になっているのだ。

今夜は久しぶりにイタリアン・バルの店に寄った。「ほんと久しぶりですね」と、いつもながら、愛想よく迎えてくれたのは、奄美諸島の一角、徳之島出身の店長だった。怪しさ満点?の客なのに、いつも笑顔を振りまいてくれる(笑)。今夜の話題は、「帰省」だった。自分は山口県周南市だから、新幹線でわずか2時間の距離である。しかしー。

「昔…」、「はい」、「新幹線のないころは、夜行列車で帰ってたんや」、「ヤコウ?」、「そうや、今でも思い出す。友人に茨城県から家出してきた男がおってな。なんや複雑な家庭環境だったから、正月に自分の田舎に連れて行こうと思ったわけや」、「ほう、Мさんええとこありますね」、「若いころやから、お金がない。12月31日の夕方まで働いて、飛び乗ったのが、大阪駅深夜00時発、下関行きの各駅停車の普通列車や」、「深夜発の各駅停車!」、「そう。寝台じゃなくて、普通列車やで~」

店長は目を輝かせ、つばを飲み込んで、話の続きを促すような表情をした。「12月31日の00時発なのに、列車は超満員、通路に新聞紙をひいて、客車に入り込む余地なしや。仕方なく、ドアの外におったけど、昔はドア付近は密封性がない。真冬で、風も入ってきて、友達とぶるぶる震えながら客車に空きが来るのを待っていた」、「へえ~、若い時やから持ったんでしょうね」、「岡山を過ぎてから通路に空きができて、あわてて座るスペースを確保したんや。しかし、若いと言っても、徳山まで8時間、さすがにしんどかったわ」

「しかし、君も奄美群島の徳之島やったら、帰るのに苦労したやろ。金も時間もかかると思うわ」、「いや、そのとおりですわ。若い時に(現在は大阪の女性と結婚して一男一女あり)、どうしても帰って来いという事情があり、それがМさんと同じ大晦日で、飛行機も列車も満員。高速バス(大阪から鹿児島行き)の運転手さんに土下座して頼み込み、運転席の横に補助席を作ってもらったことがありましたよ」、「うん、そうか。君も苦労しているな」、俺はさもありなんという表情を作った。

「しかし、しかしやで」、「はい」、「こんな話ができるのも故郷があるからや」、「そうですね」、「故郷は、遠きにありて思うもの…という文章があるけど、ほんま、その通りだと思う」、「僕もそう思いますわ」、「君、大阪弁がうまいな」、「嫁さんが大阪人、子供も当然大阪弁だし、当然そうなりますわ」、二人は同時に声を出して笑った。

仕事帰りのこんなひと時が癒される。