MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

われ敗れたり 

2012年07月19日 23時39分29秒 | 読書

本年の1月12日、「第一回将棋電王戦」において、米長邦雄永世棋聖が、コンピュータソフト「ボンクラーズ」と対戦し、敗れた。本書は、この電王戦において、米長邦雄が史上最強の将棋ソフト「ボンクラーズ」を相手に、どのような対策を立て、どのように指したかを米長自らが記した戦いの記録である。

将棋ソフト「ボンクラーズ」は、1秒間に実に1800万手を読むことができる史上最強の将棋ソフトである。
どのようなアルゴリズムで次の一手を選択するのか、詳細は明らかではないが、とにかく歴代の名立たる有名棋士たちの棋譜を全て記憶しているらしい。

米長は、電王戦を前に、自宅に「ボンクラーズ」を設置し、試しに何局か指してみるのだが、早指しで対戦すると、米長の勝率はわずか1割程度であったという。米長は2003年に現役を引退しているため、さすがに全盛期の強さはないだろうと予想されるものの、それにしても勝率1割とは。。。「ボンクラーズ」がいかに強敵であるかがわかる。

しかし、米長は、この、勝率1割の状態から、「ボンクラーズ」攻略法について研究に研究を重ね、徐々に勝率を上げてゆく。

そして、「電王戦」の当日、先手「ボンクラーズ」の7六歩に対し、後手米長が指した一手目は、渾身の6二玉であった。

米長が6二玉と指した瞬間、将棋会館の解説室ではどよめきが起こったという。

私もそれほど将棋に精通しているわけではないので、この6二玉がどれほど奇手なのかはよくわからないが、どうやら将棋をよく知るものにとっては、ありえない一手のようだ。

しかし、米長はこの対戦の1カ月前には、一手目は6二玉と決めていたらしい。

「ボンクラーズ」のメモリに登録されていない奇手を、あえて放つことによって、「ボンクラーズ」の思考の裏をかくことが目的であった。

はたして、この奇手は効を奏し、中盤まで米長は圧倒的優勢を保つこととなる。

しかし、終盤での痛恨のミスから、一気に形勢を逆転され、最終的に米長は114手目で投了する。

「コンピュータなんぞに敗れては将棋指しとして一生の恥」という、棋士のプライドをかけた世紀の一戦は、米長の必死の攻防もむなしく「ボンクラーズ」に軍配が上がった(しかし、「ボンクラーズ」とはなんと憎たらしいネーミングだろうか。。)。

非常にスリリングな語りで一気に読める。

将棋が全く分からないひとでも、米長の鬼の気迫には圧倒されるに違いない。

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2 コメント

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Unknown (DAZ)
2012-08-01 12:40:54
これ読んで、アマゾンで注文しました。

まだ読んでないけど~
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Unknown (kazu-n)
2012-08-01 21:35:24
お久しぶり。
ごめん、ちょっと、褒めすぎかもしれないから、
それほど期待せずに、自然体で読んでね(笑)
返信する

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