MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

アメリカの覇権主義宣言?

2005年01月22日 15時04分14秒 | アメリカ
毎週金曜の朝はラボのミーティングがあるのだが、今日のミーティングはいつもとやや違う雰囲気に包まれていた。
恥ずかしながら近ごろTVや新聞を全然見ていなかったせいで、昨夜ブッシュの就任演説があったことすら知らなかった僕だが、カンファレンスルームに入るとそれに関して皆が何やら熱い議論を戦わせているではないか。
よーく耳をそばだてて聞いていると、どうやら昨夜のブッシュの演説の内容が前代未聞だというようなことを口々に言い合っている。
「どこが前代未聞なのか?」と訊くと、どうもこういうことらしい。
昨夜の演説中にブッシュは「世界に民主主義を広げ、悪政をひく為政者を駆逐することがアメリカの政策だ」と述べたのだそうだが皆に言わせるとこの“政策(policy)”という言葉の持つ意味は大きいというのだ。
つまり、事実上のアメリカの“覇権主義宣言”だというのである。
かつて、同じような発言をした大統領は他にもいるが、これを明確に今後のアメリカの具体的“政策”として表明したのはブッシュがはじめてだという。
熱烈なブッシュ支持者である自称“extremely right”のDr. Uに至っては「歴代大統領の中でもっともアグレッシブな演説で気に入った」と御満悦であった。
(ちなみに、このDr. Uが今ハマっているものが“SIM CITY 4”なのだそうだが、彼の作った町では所得税の推進課税率が低所得者には非常に厳しく設定されており、彼曰く「金持ちを優遇するために作った町だ」とのことである。その町の教育レベルと医療レベルは極めて高いのだが、一方、スラム街でしばしばおきる住民の暴動には頭を悩ませているという。しかも、その対応策として税金を投入し、警察官をどんどん増員しているのにちっとも改善しないと首をひねっているので「貧乏人の税率を下げてあげるのが先じゃないですか?」とアドバイスしてあげた。)

もちろん、このDr.Uのような意見は全体の中ではむしろ少数派で、ブッシュのお膝元テキサスのど真ん中であるにもかかわらず、基本的には大統領の演説には否定的なコメントが多かった。
今や世界の嫌われ者と化したアメリカの評価をこれ以上下げるようなことをあまり言って欲しくないというのが大方の意見であるようだ。(ただし、我がラボは外国人率が高いのでテキサスの地元の人々の意見をそのまま反映しているかどうかは怪しいが、、、、)

「日本政府はアメリカ支持だろ?」と聞かれたので「そうだ」と答えると。
「じゃあ、アメリカ支持のほかの国と一緒だな。政府がアメリカ支持でも、逆に政府のほうは国民の支持率は低いだろ?」と訊かれ、僕は答えにつまった。
「実は国民からの支持率もそれなりに高いんだよね」とはどうしても言えなかったからである。

ちなみに、先ほども登場した自称“extremely right”のDr.Uご自慢の町でその後所得税率の引き下げが行われたかどうかは未だ確認が取れていない。
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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
キリスト教右派への更なる傾斜 (o_sole_mio)
2005-01-22 23:22:08
こんにちは、ブッシュ大統領の就任演説で盛り上がったわけですね。



こちらの報道を見ますと、第2期目は低支持率でスタートしたというニュースがある一方、就任演説は概ね好評であったなど、本当の評価はどうなのかな、という印象です。



また、チェイニー副大統領が会見で「イスラエルのイランへの先制攻撃の可能性がある」と発言しています。これについては、アメリカの「自由の押し売り政策」と「キリスト教右派への更なる傾斜」が背景にあるのではないかと思います。



しかし、拙文にも記載しましたが、中東は聖書の舞台になった地域であり、ヨハネの黙示録に記述を彷彿とさせるシチュエーションは、キリスト教右派の黙示録の成就への希求(妄想?)へとエスカレートしかねないと密かに懸念しております。



いずれにしましても今年が戦争と天災の少ない年でありますことを願っています。
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2期目 (kazu-n)
2005-01-23 02:52:21
o_sole_mioさん、こんにちは。

いつもありがとうございます。

うーん、ブッシュ政権の2期目は穏健化するなんて予測していたのはどこのどいつなんでしょうか?

このぶんではこれから4年間このまま突っ走りそうな勢いですね。

アメリカはこれほどカネをかけてイラクに侵攻したのですから中東にはこれからも積極的に関わり続けるでしょうし、絶対に手放すつもりはないでしょうね。



そして日本もそれに巻き込まれてゆくのかと思うとなんとも暗い気持ちになってしまいます。
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こっそりと・・・ (Pow on !)
2005-01-26 12:00:54
イラクでの大量破壊兵器捜索も終了したようで・・・。

もはやどの国もアメリカを諌めることはできない?



一方日本では相変わらずの議論の中身の伴わない

パフォーマンス国会が始まりました。

ふう・・・・・。
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こんにちは (kazu-n)
2005-01-30 08:52:10
Pow on!さん

こんにちは。コメントありがとうございます。

最近忙しくて更新ができておりませんが、サボっているわけではありません。

ということで、これからもときどきのぞきに来てやってください。
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Unknown (N)
2006-05-02 17:02:52
Dr. U? まさか!

恐ろしいことをなされます。

低所得者からの税収はたかがしれているでしょう。

これが財政を圧迫するとはあまり思えませんが。

下げるのが正解と思います。

返信する
Nさん (kazu-n)
2006-05-03 10:39:02
ゲリラ的書き込みありがとうございます。

金持ちの税率を下げ、貧乏人の税率を上げると、貧乏人が寄り付かなくなって、逆に低い税率にひかれて金持ちが集まるので、その結果、税収が増えるという可能性もあります。とはいえ、引っ越すだけの金すらない極端な貧乏人にとってはそれこそ暴動を起こして憂さを晴らす以外にはなくなってしまうのではないでしょうか。政治というのは難しいものです。
返信する
Unknown (N)
2006-05-03 11:20:03
言葉足らずでした。 下げるというのは、貧乏人の税金を現状より下げるという意味で言っていました。



ちなみに

「スイス中部のオプワルデン州(人口約3万3000人)が今年から、高額所得者ほど所得税率が低くなる新制度を導入した」という逆進税を導入しているところもあるようです。賛否ありますが。

http://www2.swissinfo.org/sja/swissinfo.html?siteSect=161&sid=6332764&cKey=1139210199000



http://www2.swissinfo.org/sja/swissinfo.html?siteSect=161&sid=6332764&cKey=1139210199000

など。 



おもしろいです。



コメントの場所が違いますが、どこかで紹介していた

ネットで見る何とかニュース、あれ面白いですね。お金払って全部見てるんですか。 言いたい放題の本音トーク小気味いいです。



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あっ、すみません (kazu-n)
2006-05-04 13:14:37
いえいえ、Nさんの意図は読み違えていませんでした。ただDr.Uから、金持ち優遇にも意味があるのだという話を聞いて、「そういう考え方もあるのかー」と思い、それを書いてみたのでした。

なんだか、call & responseになってなかったですね。失礼しました。



>>高額所得者ほど所得税率が低くなる新制度を導入



なるほど。金もちが町に集まってくれば税収も潤うという計算なのでしょうね。この試みがもし大成功したら、、、。それこそ従来型の社会秩序がコペルニクス的転換をせまられることになりそうですね。



>>ネットで見る何とかニュース

それって、ビデオニュース・ドットコムのことでしょうか。

もしそうであれば、はい。答えはイエスです。毎月500円払って観てます。観始めてもう3年半ぐらいになります。

正直なところ、あれを見ていると日本の大手のTVや新聞に対してかなり懐疑的になります。日本の報道は先進国の中でもっとも閉鎖的といわれているそうですが、あれを見ているとその理由が良く分かります。あれを見始めたころは毎回のように目からうろこが落ちていました。宮台真司の著作を読むようになったのもあの番組がきっかけです。

とても面白いのでNさんも是非ごらんになることをお勧めします!
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新自由主義政策 (丸激命っ子)
2006-06-12 18:17:12
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/30/



森永さんは私の中ではどうでもいい人だったんですけど、この連載記事は面白いなぁとおもいました。

よかったらKazuさんも読んでみてください。
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丸激命っ子さん (kazu-n)
2006-06-13 22:02:38
コメントありがとうございます。

ご紹介の記事を読みました。僕は経済は素人なのですが、この記事はとても分かりやすいと思いました。

ためになる記事を紹介いただきありがとうございました。当方弱小ブログですが、また遊びに来てください。
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