MY LIFE AS A DOG

ワイングラスの向こうに人生が見える

ブッシュの支持率

2004年09月06日 14時38分21秒 | アメリカ
アメリカではここのところブッシュの支持率が急上昇しています。
FOXニュースによれば最新のブッシュ支持率は52%で、ケリーの41%を大きく上回りました。共和党大会の直後であることを差し引いてもこの差はかなり大きいように思います。

今や、アメリカ以外の多くの国がブッシュの再選を望んでいないこの状況で(もちろん小泉純一郎を除きます)、何故彼はこれだけの国民の支持を集めつづけることができるのでしょうか。日本人の僕にはなんとも不可解です。

最近、国内外の知識人の間でブッシュとケリーにどれほどの違いがあるのか、という議論が交わされているのをときどき目にします。
ブッシュ政権以降のアメリカは、9・11のテロの影響もあって、一段と一国覇権主義の様相を強めてきましたが、冷静に考えてみると確かにこのような流れはブッシュ以前からすでにあったものです。
9・11以降のブッシュの手法ははっきり言って稚拙過ぎましたが、じゃあケリーが大統領になればアメリカは変わるのか?と言われれば、正直心許ない気がします。

たとえば、両大統領候補の公約を比較してみるとほとんどどっこいどっこいであると言わざるを得ません。
ケリー側も基本的には現在の一国覇権主義の流れを崩すつもりはないようです。
日本が尽力した京都議定書だってあいかわらず批准するつもりはないようですし、WTOに関してもこれを積極的に支持し続けてゆくと公約しています。テロ対策に至っては今まで以上に力を入れるといってますから、おいおい一体どこが違うんだ??と突込みを入れたくなってしまいます。

たしかに現在に至るまで、共和党は国民皆保険の導入を潰したり、銃規制を棚上げにしたり、部分妊娠中絶禁止法案を可決したり、金持ち達を対象とした減税を断行したり、我々日本人から見るとあまりうれしくない政策ばかりを積極的に推進してきたように見えます。
そういう意味では、民主党の方がずっとリベラルな印象はあります。
しかし、基本的な国連軽視と一国至上主義の考え方にそれほどの違いはないのです。

今回、ブッシュはサウジとの関係に距離をおこうとした結果、イラクの石油利権に力ずくで介入せざるを得なかったといわれています。エネルギー消費量が世界ダントツのアメリカはサウジ以外の石化燃料の安全な供給ルートをどうしても確保しておく必要があったのでしょう。
今回のブッシュのイラク侵攻は世界の非難を浴びましたが、実はイラク侵攻の是非を問題にする前に、ブッシュ以前から続いているアメリカのエネルギー政策自体を議論しない限り我々は本質を見失ってしまうかもしれません。
ブッシュのクビを挿げ替えるだけでアメリカが変わるなどとは考えてはいけないようです。
ですからもし本当の意味でアメリカに変わって欲しいと思うのなら、それこそラルフ・ネーダーにでも大統領になってもらうしかないのではないでしょうか。

アメリカではlesser evilという言葉がしばしば使われます。この場合のlesser evilはもちろんケリーを指します。どっちも悪には変わりないがブッシュと比べたらケリーの方がずっとマシだという意味です。僕も同感です。ラルフ・ネーダーとまでは言いませんから次の大統領選挙ではなんとかブッシュに退場して欲しいと願うばかりです。
コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロシア報道 | トップ | 暴力に逆らって書く »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (unknown1)
2004-09-07 14:34:01
 アメリカの様子が生き生き伝わってきて

とても有り難く拝見してます。

 日本のメディアは向こうの記事の「翻訳」みたいで何だか、ボヤケタ調子す。

オリンピック報道も国内大会みたいだったゾ。



 さて、ブッシュ氏のような大統領の存在、

アメリカ経済および社会の「危機」を反映してるみたいですね。



クリントン時代の株価、高維持政策が続かなくなっての9.11。

かといって暴落が続くと金融恐慌に、

経済の維持には古典的戦争経済政策というのが現況でしょうか。よって財界は上げてブッシュ氏支持。



ファシズムの歴史を知ってるヨーロッパ諸国は、その行き着く所を経験で知ってるんでしょうね。

アジアにとっても、こうした政策は当事国の国力衰退を招いているので、静観してるみたいですな。



あせらず、長い歴史の目で観察しましょう。

返信する
歴史のない国 (usuhs)
2004-09-08 07:34:41
久々に読ませていただきました。

このところ日本は台風の直撃を受けて大変です。

さて、歴史を学ばないと同じ過ちを繰り返す、というのはわれわれの常識だと思いますが、アメリカはたかだか建国200年ちょっとの新興国なので、学ぶべき教訓が少ないのでしょうか。いろいろあったとおもうけど・・・。一方で、イスラム教やアジア、ヨーロッパの国は数世紀にわたる壮大な歴史に基づく教訓と歴史観があるので、到底アメリカごときが中東の国に長い目で見て勝てるわけがないのかも知れませんね。
返信する
理想と現実 (kazu-n)
2004-09-08 11:40:55
皆さんコメントありがとうございます。



先日のロシアでの学校占拠事件を見ていてどうしようもない気持ちになりました。人類が歴史に学ぶなんてことは今後永久に出来ないのではないでしょうか、、、

何故ならお互いが自らの正義を振りかざしている限り、悪が介在する隙はないのですから、、



先日、ある高名な憲法学者が次のような発言をしているのを聞いて妙に納得しました。、

「9・11のテロがあったとき、これでアメリカも己の土地を他人に蹂躙される者たちの気持ちがわかるだろうと思った。しかし、彼らは軍事力という怒りの拳をもって尚一層、他国にむけての不合理な攻撃を強化させたのである。一切の内省を棚上げにして。」

アメリカは確かに歴史の浅い国です。そして肥大化する軍事力はいやが応にも世界秩序に影響を与えています。

このような一国覇権主義に僕は賛同しません。

しかし残念ながら、「アメリカの軍事力なくしてボスニアの悲劇を終わらせることは出来なかったではないか」とする物言いには、一定の評価を与えずにはおれないのも確かです。



暴力を終結させるための暴力を肯定すべきか?



現実を考える時、アメリカの存在と伴に誰しもが

直面せざるを得ない究極の問題ではないでしょうか。



返信する
諸外国では (Pow on !)
2004-09-10 09:11:42
 押しなべてケリー支持・・・というか、

ブッシュの降板を期待しているようです。

 ここへ来て、イラク戦争批判を始めた

ケリーですが、どうも選挙ゲームの一手として

主張しているような印象も・・・

 どちらが大統領になってもアメリカの外交路線は

大きくは変わらないのではないでしょうか。
返信する
ポピュリズム (kazu-n)
2004-09-10 13:12:02
ですよね。結局の所。

アホな大衆におべっか使うことで選挙に勝てるのなら、そりゃ適当に聞えのいいことばかり言いますわな。



もう15年ぐらい前になりますか、西部邁が公然と大衆批判を行い、論壇に一大センセーションを巻き起こしました。

「大衆は馬鹿だ!」と発言するのはその当時はまだ御法度だったようです(今も基本的には同じかも知れませんが)。



そして今は、国策を危めてでも、大衆におべっかを使おうという輩がアメリカには(日本にも)ゴロゴロいます。



同じ穴の狢。五十歩百歩。目糞鼻糞。



っていうことは、結局ラルフ・ネーダーしかないってことになっちゃうんですけどね、、、
返信する

コメントを投稿

アメリカ」カテゴリの最新記事