ロシア報道

今日、CNNをはじめアメリカの主要メディアのトップニュースはクリントン元大統領の心臓バイパス手術のための入院に関するものでした。

これがアメリカのトップニュースです。

アメリカの今一番の関心事は、元大統領の冠動脈の内径が何ミリかということと、彼の手術を誰が執刀するかということなのです。
ロシアで何人の人間が死のうが、そんなことはこの国には関係ないようです。
先ほどからFOXニュースを見ていますが、クリントンの話題と、大統領選の話題と、フロリダに近づいているハリケーンの話題ばかりです。
ロシアの学校占拠事件の報道はほんの10秒足らずで、残りはクリントンの狭心症発作が日に何回起きただとか、階段上ると息切れするとかそんな話題ばっかりです。

これがアメリカという国なのでしょうか？

この報道に何らかの意図があるのか、それとも本当にアメリカ人は国内問題以外には関心がないのか判断に苦しみます。

（ちなみにBBCでは当然のようにロシアの惨劇をトップで詳細に伝えていました）

そういえば先日、実家の母と電話で話した時、偶然マイケル・ムーアの映画“華氏911”の話になりました。
母はわざわざ公開初日に映画を観にいったらしいのですが「内容には失望させられた」と言っていました。
母曰く「映画の内容は目新しいことが何もなく、どれもすでに知っていることばかりだった」というのです。
確かに我々日本人にとってあの映画の内容はある意味それほど刺激的ではなかったかもしれません。

しかし、実はあの映画が指摘した内容をちゃんと把握しているアメリカ人は意外に少ないのだとあるジャーナリストが警告しているのを最近目にしました。日本のメディアであたりまえのように取り上げられている、戦争の大義を問題にするようなニュースがアメリカ国内ではほとんど報道されていないのです。
もちろん、それなりの情報収集能力があれば事実を知ることはアメリカ国内でも容易には出来ますが、それが可能なのはある水準以上の知識階級層に限られています。この国に住むごく平均的アメリカ人の多くは、未だに9・11のテロはサダム・フセインが首謀者だっだと信じていますし、イラクでは大量化学兵器が見つかったと思い込んでいるのです。

このように、日本と違って教育格差が激しいアメリカにおいては“華氏911”程度の内容ですらも多くの人々には目からウロコであった可能性はあります。
何と言ってもアメリカは戦争当事国ですし、ベトナム戦争の教訓もあるでしょうから、出したくない情報を意図的に隠蔽することなどは日常茶飯事なのかもしれません。（特にFOXはその傾向が強いように感じます）

今回のロシア報道の不自然なぐらいの扱いの小ささに関しても、僕は何らかの意図を感じずにはいられないのですが、、、考えすぎなのでしょうか？