まだ半分しか書けていないのに、その4です。
今回は、残り5冊+αを一気に書いてしまおうと思っていますので、
(長くなるかと思いますので)お時間ある時にどうぞ…。
『見えない誰かと』(瀬尾まいこさん)(祥伝社)
(2006年12月10日初版第一刷)
(モバイル連載『誰かとつながる。それは幸せなことだ』2004年10月~2005年6月に加筆訂正まとめたもの)
映像化作品や代表作も数多い作家瀬尾まいこさんのエッセイです。
図書館で見つけて
「エッセイも書いてるんだ!?」
と思って手に取りました。
作家さんのエッセイって、山本文緒先生とか、豊島ミホさんとか(豊島さんは年が近いのでつい「さん」付けで呼んでしまいます。)を
読んだことはあったけれど、お2人はペンネームなのに対して、瀬尾さんは本名(実際は漢字だけど)で、
しかも学校の先生をしている(当時)ので、日常が近いというかお2人に比べて身近な題材が多かった気がします。
実は私も大学で教職の授業を取っていたので、
「(国語の授業を受け持つことになって、実習で授業をしたことはあったけど)
どうしていいものかがいまひとつわかっていなかった私は、とりあえず、教科書を読み
それにくっついている指導書を参考にして、授業を行なっていた」(『教科書を捨て、校外に出よ』より)
という話が、身に覚えがあったし、意外と日常より学校の話の方が「わかる×2」となりました。
瀬尾さんは子供が大好きで教職を志した方で、私の場合は
「図書館司書だけじゃなくて司書教諭も取っとくかぁ~」
と教職選択して、実習に行くまでに必要な教科の単位を落として諦めちゃったのですが…。
このエッセイの最後の『アイラブ二組』という文章は、それまで講師という立場から正式に教員として採用されて、
初任者として初めて受け持ったクラスが「2年2組」(学校2年目)で、初任者の自分(学校1年目)で自分より学校の事を知ってることで、
からかわれたり…だったけど、気が付けば助けてくれるのも、落ち込む原因も、励まされるのもクラスの子たちのおかげで、
そんな子たちの担任を1年半。
『私が二組に惚れ込んでいるのは見え見えなので、たまに生徒にも、
「うちらが卒業したら、先生どうなるんだろうねえ」
と言われることがある。
「またかわいい一年生とか担任できるだろうから、別にいいよ」
と、言ったりするけど、今年の三月、二組の面々がいなくなることを想像するだけで、内心ぞっとしている。』
と書いていて、瀬尾さんが愛しているのも、愛されているのも伝わってきて、すごくほほえましくて、
こういう先生に出会えるって幸せだよね~と思いました。
そしてこのエッセイで『図書館の神様』の話題が出てきたので、次は
『図書館の神様』(瀬尾まいこさん)(ちくま文庫)
(2009年7月10日第一刷発行)
(『図書館の神様』は2003年12月、マガジンハウスより刊行。)
前に一度読んだことがあって、そのときは、
「昨日読み始めて、丸一日で読んでしまったほど、魅力的な文章でした!」
とブログに感想を書いていたのですが、(「そのとき」という文字をクリックすると飛べます。)
今回はなんやかんやで1ヶ月も読み終えるのにかかってしまいました。
その時も今回も、主人公の清(きよ)さんと、文芸部唯一の部員・垣内くんのやり取りは好ましかったのですが、
もぅ1人出てくる人物が…。
前回のブログを読み返してみて、その人の話すら書いていないので、自分がどういう印象を持って読んでいたのかも
判らない(覚えていない)のですが、この人苦手だなぁ…(苦笑)
清さんと垣内くんの話題にいろいろな小説が出てくるのですが、今回はメモを取りながら読んでいて、
その中でも『抒情歌』(川端康成)と、『夢十夜』(夏目漱石)は、私も読んでみました。
『頭のうちどころが悪かった熊の話』(安東みきえさん)(理論社)
(2007年6月第4刷発行)
息子の国語の教科書に安東さんの『星の花が降るころに』という小説が載っていて、ダンナさまが関連図書でこの本を見て
「おもしろそうなタイトルだね」
と言ったので、図書館で借りてきました。
「人生について考える7つの動物寓話」という奥付通り、動物が主役の7つの短編集。
主役はクマ/トラ/ヘビ/カラス/おたまじゃくし→カエル/牡鹿/冬眠しそびれたクマ(最初のクマの友達)と、
1つ1つが別々の話で、発表されたのもバラバラで、長かったり短かったりしているんだけど、
トラの話の最後で、
「食べられちゃったのかな!?」
と思っていた人(?)が、牡鹿の話の最後に通りかかって
「あ、よかった無事だったんだ」
と安心したり…。
トラの話は、新聞に載ったもので、牡鹿の話は書き下ろしなので、この本を通して読んでいないと解らなくて、
どれも面白い話ばかりでした。
『少女病』(吉川トリコさん)(ポプラ文庫)
(2019年7月5日第1刷発行)
(2011年8月に光文社より刊行された作品に、『少女病 近親者ユキ』(底本『文芸あねもね』所収)を加え、加筆修正の上文庫化したもの。)
順番が前後するのですが、『図書館の神様』を読んだあと、『抒情歌』と『夢十夜』を読んでからのこの本だったので、
歴史的仮名遣いからのコレで、すごく新鮮に感じました。
この本の解説を山本文緒先生が書いているということを、ツイッターを遡ったときに知り、読み始めたという不純な動機ですが、
著書はウィキペディアに載るけど、「解説」までは載らないので、知ることが出来て良かったです。
「この作品は、ひとつ屋根の下で暮らす三姉妹とその母親の物語である。
長女はほとんどの家事を担い地味で家庭的、次女は自由奔放ではすっぱ、
三女は美しいが潔癖で四角四面。そして母は実年齢より異様に若く見え、
外見だけではなく中身も大人になることを放棄した少女小説家である。
容姿も性格もバラバラだが、この四人に共通しているのは『少女病』に罹患しているということだ。」
文緒先生の解説をそのまま引用すると、この小説はこういう話です。
読んでいて、最後の『近親者ユキ』だけが違う感じ
(1つだけ繋がっていないような「書き下ろしかな?」と思うような別の感じ)を受けたのですが、
『文芸あねもね』所収と見てビックリ!?
『文芸あねもね』持ってます…。文緒先生と豊島ミホさんしか読んでなかったけど…。
「長女・次女・三女・母・ユキ(従弟)」と5編あって、私が一番好きだったのは「三女 紫」のお話でした。
(読み進めてだんだん明らかになっていく部分なので、内容は書けませんが…)
『東京・地震・たんぽぽ』(豊島ミホさん)(集英社)
(2007年8月30日第1刷発行)
『少女病』を読み終わったのが暮れで、息子が冬休みに入ってすぐに立て続けに出掛ける予定があり、
待ち時間の間に読もうと終業式の日に図書館に行って、
「前から気になってたんだよね~」
と借りてきたのがこの本でした。
でも、地震の描写とか、人が亡くなる話とかで、ちょっと辛くなったところで、元日の石川県の地震が起こって…。
外でカバンから出して、
「あの人はこんな時に、どんな本読んでいるんだ!?」
と思われないか不安になりながら読みました。
この本の発行年は「2007年」。3/11が起こるよりもちょっと前。
豊島さんは秋田出身(3/11当時は在住?)なので、多分3/11があったらこんな小説書いてないだろうな…。
(と今、豊島さんの年表をみて、自分が休業前の物しか読んでいないことに気付く…。)
14人の主人公の14通りの物語。
共感できること。出来ないこと。好き・嫌い。色々あるけど、最後の2作が
「これが後ろの方で良かった」
と思えるような話でした。
1/17も、3/11も、元旦の地震も「ちょっと揺れてるね」というくらいしか体験していないので、
実際に被災した方でないと解らない気持ちもあると思うのですが…。
今、調べたら文庫版も出ていて、それにはもしかしたらあとがきがあるのかもしれないけど、
この本は書き下ろしで、珍しく(?)あとがきがなくて、豊島さんがどんな想いで書いたのか判りませんが、
辛い話が最後に来なくて本当に良かった、思いました。
2023年の振り返り、本当に長々と書いてすみません。
ここまで読んで戴き、ありがとうございました。
以下、「2022年の振り返り。(その4)」です。
今回は、残り5冊+αを一気に書いてしまおうと思っていますので、
(長くなるかと思いますので)お時間ある時にどうぞ…。
『見えない誰かと』(瀬尾まいこさん)(祥伝社)
(2006年12月10日初版第一刷)
(モバイル連載『誰かとつながる。それは幸せなことだ』2004年10月~2005年6月に加筆訂正まとめたもの)
映像化作品や代表作も数多い作家瀬尾まいこさんのエッセイです。
図書館で見つけて
「エッセイも書いてるんだ!?」
と思って手に取りました。
作家さんのエッセイって、山本文緒先生とか、豊島ミホさんとか(豊島さんは年が近いのでつい「さん」付けで呼んでしまいます。)を
読んだことはあったけれど、お2人はペンネームなのに対して、瀬尾さんは本名(実際は漢字だけど)で、
しかも学校の先生をしている(当時)ので、日常が近いというかお2人に比べて身近な題材が多かった気がします。
実は私も大学で教職の授業を取っていたので、
「(国語の授業を受け持つことになって、実習で授業をしたことはあったけど)
どうしていいものかがいまひとつわかっていなかった私は、とりあえず、教科書を読み
それにくっついている指導書を参考にして、授業を行なっていた」(『教科書を捨て、校外に出よ』より)
という話が、身に覚えがあったし、意外と日常より学校の話の方が「わかる×2」となりました。
瀬尾さんは子供が大好きで教職を志した方で、私の場合は
「図書館司書だけじゃなくて司書教諭も取っとくかぁ~」
と教職選択して、実習に行くまでに必要な教科の単位を落として諦めちゃったのですが…。
このエッセイの最後の『アイラブ二組』という文章は、それまで講師という立場から正式に教員として採用されて、
初任者として初めて受け持ったクラスが「2年2組」(学校2年目)で、初任者の自分(学校1年目)で自分より学校の事を知ってることで、
からかわれたり…だったけど、気が付けば助けてくれるのも、落ち込む原因も、励まされるのもクラスの子たちのおかげで、
そんな子たちの担任を1年半。
『私が二組に惚れ込んでいるのは見え見えなので、たまに生徒にも、
「うちらが卒業したら、先生どうなるんだろうねえ」
と言われることがある。
「またかわいい一年生とか担任できるだろうから、別にいいよ」
と、言ったりするけど、今年の三月、二組の面々がいなくなることを想像するだけで、内心ぞっとしている。』
と書いていて、瀬尾さんが愛しているのも、愛されているのも伝わってきて、すごくほほえましくて、
こういう先生に出会えるって幸せだよね~と思いました。
そしてこのエッセイで『図書館の神様』の話題が出てきたので、次は
『図書館の神様』(瀬尾まいこさん)(ちくま文庫)
(2009年7月10日第一刷発行)
(『図書館の神様』は2003年12月、マガジンハウスより刊行。)
前に一度読んだことがあって、そのときは、
「昨日読み始めて、丸一日で読んでしまったほど、魅力的な文章でした!」
とブログに感想を書いていたのですが、(「そのとき」という文字をクリックすると飛べます。)
今回はなんやかんやで1ヶ月も読み終えるのにかかってしまいました。
その時も今回も、主人公の清(きよ)さんと、文芸部唯一の部員・垣内くんのやり取りは好ましかったのですが、
もぅ1人出てくる人物が…。
前回のブログを読み返してみて、その人の話すら書いていないので、自分がどういう印象を持って読んでいたのかも
判らない(覚えていない)のですが、この人苦手だなぁ…(苦笑)
清さんと垣内くんの話題にいろいろな小説が出てくるのですが、今回はメモを取りながら読んでいて、
その中でも『抒情歌』(川端康成)と、『夢十夜』(夏目漱石)は、私も読んでみました。
『頭のうちどころが悪かった熊の話』(安東みきえさん)(理論社)
(2007年6月第4刷発行)
息子の国語の教科書に安東さんの『星の花が降るころに』という小説が載っていて、ダンナさまが関連図書でこの本を見て
「おもしろそうなタイトルだね」
と言ったので、図書館で借りてきました。
「人生について考える7つの動物寓話」という奥付通り、動物が主役の7つの短編集。
主役はクマ/トラ/ヘビ/カラス/おたまじゃくし→カエル/牡鹿/冬眠しそびれたクマ(最初のクマの友達)と、
1つ1つが別々の話で、発表されたのもバラバラで、長かったり短かったりしているんだけど、
トラの話の最後で、
「食べられちゃったのかな!?」
と思っていた人(?)が、牡鹿の話の最後に通りかかって
「あ、よかった無事だったんだ」
と安心したり…。
トラの話は、新聞に載ったもので、牡鹿の話は書き下ろしなので、この本を通して読んでいないと解らなくて、
どれも面白い話ばかりでした。
『少女病』(吉川トリコさん)(ポプラ文庫)
(2019年7月5日第1刷発行)
(2011年8月に光文社より刊行された作品に、『少女病 近親者ユキ』(底本『文芸あねもね』所収)を加え、加筆修正の上文庫化したもの。)
順番が前後するのですが、『図書館の神様』を読んだあと、『抒情歌』と『夢十夜』を読んでからのこの本だったので、
歴史的仮名遣いからのコレで、すごく新鮮に感じました。
この本の解説を山本文緒先生が書いているということを、ツイッターを遡ったときに知り、読み始めたという不純な動機ですが、
著書はウィキペディアに載るけど、「解説」までは載らないので、知ることが出来て良かったです。
「この作品は、ひとつ屋根の下で暮らす三姉妹とその母親の物語である。
長女はほとんどの家事を担い地味で家庭的、次女は自由奔放ではすっぱ、
三女は美しいが潔癖で四角四面。そして母は実年齢より異様に若く見え、
外見だけではなく中身も大人になることを放棄した少女小説家である。
容姿も性格もバラバラだが、この四人に共通しているのは『少女病』に罹患しているということだ。」
文緒先生の解説をそのまま引用すると、この小説はこういう話です。
読んでいて、最後の『近親者ユキ』だけが違う感じ
(1つだけ繋がっていないような「書き下ろしかな?」と思うような別の感じ)を受けたのですが、
『文芸あねもね』所収と見てビックリ!?
『文芸あねもね』持ってます…。文緒先生と豊島ミホさんしか読んでなかったけど…。
「長女・次女・三女・母・ユキ(従弟)」と5編あって、私が一番好きだったのは「三女 紫」のお話でした。
(読み進めてだんだん明らかになっていく部分なので、内容は書けませんが…)
『東京・地震・たんぽぽ』(豊島ミホさん)(集英社)
(2007年8月30日第1刷発行)
『少女病』を読み終わったのが暮れで、息子が冬休みに入ってすぐに立て続けに出掛ける予定があり、
待ち時間の間に読もうと終業式の日に図書館に行って、
「前から気になってたんだよね~」
と借りてきたのがこの本でした。
でも、地震の描写とか、人が亡くなる話とかで、ちょっと辛くなったところで、元日の石川県の地震が起こって…。
外でカバンから出して、
「あの人はこんな時に、どんな本読んでいるんだ!?」
と思われないか不安になりながら読みました。
この本の発行年は「2007年」。3/11が起こるよりもちょっと前。
豊島さんは秋田出身(3/11当時は在住?)なので、多分3/11があったらこんな小説書いてないだろうな…。
(と今、豊島さんの年表をみて、自分が休業前の物しか読んでいないことに気付く…。)
14人の主人公の14通りの物語。
共感できること。出来ないこと。好き・嫌い。色々あるけど、最後の2作が
「これが後ろの方で良かった」
と思えるような話でした。
1/17も、3/11も、元旦の地震も「ちょっと揺れてるね」というくらいしか体験していないので、
実際に被災した方でないと解らない気持ちもあると思うのですが…。
今、調べたら文庫版も出ていて、それにはもしかしたらあとがきがあるのかもしれないけど、
この本は書き下ろしで、珍しく(?)あとがきがなくて、豊島さんがどんな想いで書いたのか判りませんが、
辛い話が最後に来なくて本当に良かった、思いました。
2023年の振り返り、本当に長々と書いてすみません。
ここまで読んで戴き、ありがとうございました。
以下、「2022年の振り返り。(その4)」です。
2022年振り返り。(その4)2022年に読んだ本、残り3冊は、山本文緒先生の本です。 『残されたつぶやき』(山本文緒さん)(角川文庫)(2022年9月25日初版) 8月に本屋さんでたまたま検......