8月23・24日の週末に明海大学キャンパスで行われた関東甲信越英語教育学会に参加してきました。今回は本校のキャンパスで行われるということで、手伝いを兼ねての参加でした。手伝いの合間には研究発表を見に行くこともでき、充実した2日間になりました。その中でも、私が聞いた研究発表の中でも、興味深かったものを紹介させていただきます。
・よい読み手になるための必要条件 Part1 ~語彙サイズ編~ 上智大学大学院 中野達也さん
研究のきっかけは、センター試験の読解問題を読み終えることができないと相談してきた生徒が勤務校で多くいたからだそうです。そこでこういった生徒の目的である「速く読む」ために必要なこととは、先行研究では黙読時に心内音読を伴うのでなく、文字を見て理解することが必要であるされています。つまり英文の読解の際に、頭の中で文字の音声化、もしくは口でぶつぶつ言うようなことがなく、文字から意味を直接、読み取ることができることで速く読めるのではないかと考えられています。
そこで生徒に対し、心内音読に対する調査をおこないました。英文を読ませ、その後、どのように読んでいたか聞くというものです。そこでやはり、音声化せずに文字から意味を理解できる生徒のほうが読解が速いようである。しかし、調査の中で疑問がでてきました。音声化をせずに直接文字から意味を取っていると答えた生徒の中でも、「音声化できずに意味を読み取る生徒」と「音声化できるが読むためにあえて音声化していない生徒」がいるのではないかということです。この点は、「英文を音声化できるがあえてしない生徒」は良いのですか、「音声化できない生徒」はやはり英文の理解能力がないために内容理解できるようにまずはしなくては意味がありません。
やはり読解力をつけるためには、音読等の練習をおこない、音声化できることが必要不可欠なようです。発表内では、よい読み手へのプロセスを以下のようにまとめています。
①音声化できずに内容理解できないまま読む
②声に出して読む
③ぶつぶつ言いながら読む
④声には出さないが、頭の中で音声にして読む
⑤音声化することなく文字から意味を理解するようにして読む
最後に課題として、心内音読の調査法として、個人の意識を聞く調査では信頼性で不安が残る調査であり、MRIなどの科学的な方法を用いる必要性があるなどとしています。そのためにタイトルとしてpart1とし、今後も調査していくということでした。
読解という目に見えない読解の活動をどのように指導するか難しいからこそ、今後の研究が気になります。個人的に既に書いた5つのプロセスは納得できるものの、それぞれのプロセスの以降のタイミングが気になります。
この研究会では、その他にも多くの研究発表がなされ、大変、勉強になりました。また、個人的にうれしかったことは英語教育を専門とする院生と知り合えたことです。他校の同じ英語教育を志す方に出会い刺激を受けることができました。これを弾みに残り1か月を切った夏休みの研究に取り組みたいと思います。
このような貴重な勉強の機会を提供してくださった研究大会関係者に感謝申し上げます。
M1 庭山恵太
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