明海大学大学院応用言語学研究科

Meikai Graduate School of Applied Linguistics

他人・Others

2013年10月16日 | 日英言語比較

「You worry too much about what others think.」
「他人からどう思われているか気にしすぎだよ。」


 この表現はとてもシンプルでよく似通っているように見えるかもしれませんが、私には文化の背景を著しく物語っているように見えます。辞書で引くと「他人」はSomebody else, others, other peopleなどなどと訳されます。しかし、その日本語を広辞苑第六版で引くと「血筋のつながらない人。家族でない人。」が一番の意味であり、二番目に「自分以外の人」があります。英語のOthersには二番の意味しかありません。その他人・Othersのうちに誰が含まれているかによって発話の意味がかなり違ってくると思いませんか。

 

 また、他人・Othersは親や教師から子供への説教にもよく使用される単語です。ある和英辞書で「Be kind to others」は「他人に親切にしなさい」と訳されていましたが、これを聞くと子供の頭の中で誰が思い浮かぶでしょうか。個人差はどれぐらいあるでしょうか。「他人」の意味があやふやな今の日本では親子間の誤解がないでしょうか。

 

 村落共同体生活共同社会だった昔の日本では1番目の意味で使う人は多数を占めたことでしょう。しかし、急変化を遂げている現代の日本社会においてこの単語は人やコンテクストで指示しているものが異なるのなら、「これ」や「ここ」のように、一種の直指だと考えてもよさそうですね。【Joe Tabolt M1】



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2 コメント

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M1 (大塚孝一)
2013-10-16 23:27:11
Joeさん
 「他人に親切にしなさい」と親から言われたら、まず間違いなく「他人」は「自分以外の人」のことです。ただ、"Be kind to others"という英語の訳語として、「他人」と訳すのはいささか不自然に聞こえます。私ならば「『人』に親切にしなさい」と訳します。
 いつ頃から「他人」が「自分以外の人」を指すようになったかを調べると面白いことが分かるかもしれませんね。
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Unknown (Joe)
2013-10-20 09:54:31
コメントありがとうございます。
大塚さんは「自分以外」の意味で捉えていることはわかりました。しかし、皆はそうであると決め付けるのは少し早いかもしれません。特に子供は「他人」の両方の意味が備わっているとは限らないと思います。
また、高齢者を調べると案外曖昧な場面が多いかもしれません。
「人」もまた面白い単語ですね。自分自信も(間接表現ではありますが)、自分以外の人も両方指すこと可能ですから!
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