一昨日、明海大学の浦安キャンパスで公開講座がありました。今年のテーマは「通訳と翻訳の世界」。立教大学の特任教授でいらっしゃる鳥飼玖美子先生、そして、あの『ハリー・ポッター』の翻訳家として著名な松岡ハリス佑子先生にお越しいただき、鳥飼教授は「通訳者の役割 -透明な存在か、文化の仲介か-」というテーマで、松岡先生は「言葉の魔法 -ハリー・ポッターの翻訳者として-」というテーマで、それぞれ御講演を頂きました。さらに、パネルディスカッションでは、明海大学の山岸勝榮先生、小林裕子先生にもご登壇になり、「通訳・翻訳の諸相 - 理論と実践の出会い」というテーマで、聴衆の皆様からのご質問をいただきながら、議論をしました。
鳥飼先生の御講演では、「通訳者は文化差を踏まえて訳出すべきか否か」という点で、同時通訳の第一人者でいらっしゃった村松増美先生のご体験を例に、お話をくださいました。
松岡先生は、『ハリー・ポッター』の翻訳における“裏話”や、文芸翻訳における難しさを『ハリー・ポッター』の実例でご説明くださいました。
パネルディスカッションでは、山岸先生は、唱歌や童謡に見られる翻訳の難しさを、そして小林先生は法廷通訳への“道”を、それぞれお話しくださいました。質疑応答では、時間の都合上、二名の方のみの質問でしたが、いずれも非常に興味深い質問であるのと同時に、先生方のご回答からも勉強になることが多々ございました。
通訳でも翻訳でも、起点言語にかなりの文化的要素が含むテキストを、100人のプロの通訳者、翻訳家が目標言語に訳すとすると、百人百様の訳出になるのでしょうか。それとも、ある程度の“傾向”のようなものが見られるのでしょうか。あるいは、完全に一致するのでしょうか。もちろん、一概には言えないと思うのですが、ある程度の“傾向”のようなものは見られると個人的には思います。
鳥飼先生が、実践をする中で理論を構築し、さらなる実践から、さらなる理論の再構築を目指すということをおっしゃっていました。通訳・翻訳におけるあらゆる分野で理論が構築が進めば、プロ養成も促進されるように感じます。
二時間半という時間があっという間に感じられ、非常に勉強になった公開講座でした。もう少し先生方のお話をお伺いしたかったというのが正直なところです。
最後に、この公開講座の運営に携われた皆様にお礼を申し上げます。 【大塚孝一 M1】
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ゼミでは大変お世話になっております。今回は日本における辞書学、通訳、翻訳それぞれの分野の最高峰の方々が一堂に会したとても贅沢な公開講座でした。ひとつの道に専念しなければ決してものにならないことをそれぞれの方のお話しから伺い知ることが出来ました。翻訳か通訳かはたまたビジネス英語かなどとうつり気な私にはそろそろ専念すべき道を決定しなければならないといったことを考えさせられました。大塚さんは翻訳の方向でお考えになっているようですが私はやはり通訳で考えてます。お互いの道頑張っていきましょう。
10月21日
草皆高広
いつもゼミ、山岸先生のご講義にてお世話になっております。今回の公開講座では、メインゲストのお二方と、山岸教授、小林准教授をお招きし、通訳・翻訳におけるとても貴重であり有益なお話を伺うことが出来ました。今回のように、日本では通訳・翻訳の分野において最高峰の方が一堂に集まることはないと思います。起点言語と異文化言語における複眼的視点を持つこと、文化の差異を理解することの大変さや苦労、そしてその先に得たことなど、多くのことを知り、学び、勉強をさせて頂きました。今回私が公開講座にて拝聴させて頂いたことは、英語を学ぶ上でかかせないことと思っています。
10月22日
佐々木健史
コメントをくださりありがとうございます。こちらこそいつもお世話になっております。
そうですか。草皆さんはそのような選択肢を持たれているのですね。いずれの道も“イバラ”でしょうが、望むところという思いです。来年も草皆さんとご一緒できることを楽しみにしております。
佐々木君
コメントを寄せてくれてありがとう。最近の佐々木君のがんばりにはゼミ仲間もいい影響を受けているでしょう。ゼミでは翻訳を勉強していますが、どの先生方のお話からもとにかく勉強になることが多かったと思います。来年も一緒に頑張ろう。
10月22日
大塚孝一