なかなか米国大統領が決まらない。そんなニュースが喧しい。
国民が直接選挙で決まるように見えながらも、なんだか選挙人というのがあって、州ごとに割り当てられた選挙人を獲得していく、なんだかよくわからない制度だ。
米国内でも国民の投票結果に基づけばいいのにという意見は多々あるが、それは進んでいないというか、押し殺される。
もし米国国民の直接選挙で大統領が決まれば、どういう大統領が生まれるだろう。いろいろな社会的属性を元にした人口構成に従うことになるのだろうか。
米国が多人種多民族の国家であることは誰でも知っている。しかしながら、その支配層は白人である。その宗教的背景としては、プロテスタントであろうが、カソリックであろうが、キリスト教である。
共和党(保守政党)と民主党(リベラル政党)、このどちらであっても中心は白人男性、キリスト教徒である。つまり米国支配層、米国の中心を構成してきた人々はこのどちらかの政党を支持する。
米国の人口構成は変化している。そのため、直接選挙で大統領を決めた場合、米国支配層、つまり白人男性にとって不都合な大統領が生まれる可能性がある。中南米出身者がメジャーリーグで活躍するのはいいが、政治ではどうだろう。
例えばCNNの記事を見てみよう。
選挙人団を擁護する声の中には人種差別的な色合いを含むものもある。ルページ前メーン州知事は、選挙人団がなくなると白人の人々は発言権が小さくなると主張した。これは5分の3妥協案が選挙人団を生み出すのを助長した歴史を踏まえると非常に残念な発言だ。
報道によれば、ルページ氏は「実際に何が起きるかと言えばこうだ。もし彼らが主張する通りのことを実行したなら、白人は何も言えなくなる」「少数派だけが大統領を選べるようになってしまう。https://www.cnn.co.jp/usa/35160861.htmlより
実は支配層が白人キリスト教中心社会の維持のために作りだした巧妙な制度、それが選挙人団でである。これは米国建国の父たちがこの制度を決め、憲法に規定されていて、抜本的変更は難しい。
各州の選挙人とは米国支配層が占めている。米国大衆はこの事実を知らないで、大統領選挙を新しい王様を決めるかのような祭りにしてきたのである。はっきり言えば、教育を受けた白人男性を大統領にするのが目的としてあるのが選挙人団という制度である。
これは本当に民主主義だろうか?民主主義を信仰するわけでもないのだが。