動的平衡で知られる生物学者の福岡伸一さんの言葉を少し振り返っておこうと思う。自分自身では福岡先生の考えの影響を受けているなどと考えてもいなかったのだが。
動的平衡は生物が実態としてというか、物理現象としてあるというよりは、情報論的あるいは関係論的存在であるという考えである。人間の身体を例にとるなら、人間の物理的側面の細胞を取り出してみると、細胞はどんどん入れ替わっている。1年もすれば大半違うわけである。
なんか固定されたものとして自分をイメージするが、その実変化しているということである。それが宇宙全般にも言えるということだろう。ベイトソンの“精神”って、世界全部繋がって変化しているということだから、近いかなと思う。
福岡先生は面白いことを言っていた。1年前にお金を借りていたら、その1年後は身体がほとんど入れ替わっているので、1年前の自分ではないから、返さなくてもいいという理屈になると。でも意識が自己同一性を主張するわけだ。僕も借りた金を返さなくていいかと思い喜んだが、社会が意識中心なので、そういうわけにはいかないようだ。うまくいかないなあ。
福岡先生のインタビュー記事があったので、貼っておこう。
「福岡伸一「自分の免疫が最高のワクチン」 活性化に大切な「リラックス」」
https://news.goo.ne.jp/article/dot/world/dot-2021051900011.html
結局ワクチン打っても、必ずワクチンの効果をすり抜ける変異が生じて、ワクチンとコロナのいたちごっこだという。まあ自然のウィルスに人為的に対抗しても、なかなかうまくいかないという話だ。
福岡先生の予想だろうか、5〜10年での収束と見ている。僕はスペイン風邪と同様3年ぐらいかなと思っていたけど、気長にやるしかないということだろう。でも、助けられる人がいたら当然助けるために医療をするのは当然だろう。さすが悟りを開いて、座して死を待ってもしょうがないから。
あとリラックスが大切だそうだ。現代社会はストレス社会で、ストレス解消自体が産業化されたモノ・サービスに依存するから、それ自体がストレスだよと思ってしまう。
特に都市社会は静かに暮らす方法を忘れてしまっているのが、ちょっと心配だ。でも僕は通勤電車にあまり乗る必要がなくなったので、その分ストレスは減ったんじゃないかな。