先日、西洋美術史に残る数々の風景画の傑作を生み出し、英国最高の巨匠と称されるジョゼフ・ターナー(1775-1851)の大回顧展に行ってまいりました。
いっかいの理髪店の息子が、名所旧跡の水彩画で腕を磨き、油絵風景画最年少でロイヤル・アカデミーの正会員となるなど若くして成功。精細な写実、荒れ狂う波、差し迫る緊迫感、大自然への畏怖・・ロマン派的な作風で名声を博す。(従軍戦記ものは、どこかしら小松崎茂を想起)
ところが、40代にはイタリア旅行で歴史文化に触れ、明るい陽光と遠近法で美しく壮大な画風で歴史的風景も描くようになり、夏目漱石も魅了されたという。さらに歳を重ねると、カンヴァスから突き抜けてくるばかりのまばゆい光、黄色を主とした色彩に風景が溶け込むような心象風景のような画風となり、印象派を先取りしたともいわれる。70歳を過ぎても衰えぬ探究心に圧倒されました。
押し寄せる波と光と色彩の衝撃で(これほど作品数があるとは思わず、手荷物を預けず鑑賞したことも手伝い)、足元をがふらつくほどのハイ・テンションを保ちながら、奇しくも英国が現人類にプレゼントしてくれたもう一人の巨匠Sirポールのライヴへと向かったのでした。
ターナーの色彩と雰囲気をめぐる実験、色彩のはじまりなどは、ポールのファイアーマンやNEWにのようでもありました。安定した地位・生活にありながら常に探求したんですね。旅先でのスケッチも膨大で、A5版くらいのスケッチブックにびっしりと書き込んでありました。時の経つのも忘れ見入ってしまいました。ついついグッズ類も買いすぎて会計で2度ビックリ<(^^;
ポールとターナーの同時遭遇&感激!世界は広いけれど、一粒で二兎を得ることもあるんですね、丸いから。"君には二つの生き方がある。奇跡など起こらない、と信じて生きるか、すべてが奇跡だ!と信じて生きるかだ。"(アインシュタイン)もう一つ、Abbey roadアルバム・ジャケット写真展にも行く予定だったのですが・・(^^;
「チャイルド・ハロルドの巡礼」
坊ちゃんにも登場するテーラーの松。奇跡の一本松を想起します。ロジャーディーンの構図にも近いものがありますね。これはおみやげ品で、原画は縦142.2cm x 横248.3cm、壮大な威光を放っております。
「ベネツィア、日の出」(「大運河とジュデッカ島」スケッチブックより)
あまりの画風の違い。まるでHelter SkelterとI Willを書いてしまうポールのようです。