出演:百花亜希、東谷英人、境 宏子、中田顕史郎
アメリカ北部、五大湖のほとりにある風が吹き
失意と孤独に沈むキャサリン。葬儀のため、ニューヨークから駆けつけるキャサリンの姉・クレア。そして、世紀の大発見を探しに遺稿整理に訪れる駆け出しの数学者・ハル。各人の思惑が絡み合う中、ロバートの部屋から"ある1冊のノート"が見つかって…。
(感想のようなもの)
開演時間まで数10分、延々黙々と紙を切り刻むキャサリン、サイコ・フラグ全開。彼女も父の天才的才能と狂気の血が流れているのか、一卵性親子のような鏡像関係を生きる宿命と激しい葛藤。
やがて引き裂かれた双生児の片割れはどう生きるのか。生き方の解を模索し、それを証明(プルーフ)していく道のりは、自己の存在証明でもある。我、証明する ゆえに我あり。媒介変数となる現実的な姉と善良な求道者ハル、真理に向かう数式はシンプルで美しい。
「熱いトタン屋根の猫」のようにむき出しの感情がせめぎ合う濃い会話劇、洪水のような演技に圧倒されるが、破滅へ序奏でもあるメロウなフラッシュバック・シーン、巧妙に吹き出すユーモアなど心憎い演出にオーマイ・マカロニ!
そして、場面展開に効果的にアジャストとされた多様な音楽。洒脱なジャズ、大音響のメタル、あざといポップス・・その切り替え手法は、何とも画期的!舞台演出として奈落の使い方も凄いぞ。これらは観てのお楽しみですね。
(キャサリンの百花さん)
全力情感疾走です。笑いながら怒る様はキュートすぎます。
(ロバートの中田さん)
甘さをまぶした硬派な立ち居振る舞い、役所広司降臨!
(クレアの境さん)
実はコモンセンス。あでやかでスノッビーに演じられました
(ハルの東谷さん)
生真面目は道化師の基本定理。シリアスなスラップ・スティックもやるね。