「ここで決着(けっちゃく)をつけましょ」
トイレに立った良彦(よしひこ)を見送って久美(くみ)は言った。
「私、今から彼に告白(こくはく)する」
「告白って…」日菜乃(ひなの)は目を丸くして久美の顔を見た。
「だから、好きだって言うの。いいでしょ? どうせあなたは言えないんだし」
「何よそれ。あたしが彼のこと好きだって知ってるくせに、何でそんな意地悪(いじわる)するの」
「私も、彼のこと好きになったからよ。いけない?」
久美は挑発(ちょうはつ)するように日菜乃を睨(にら)みつけて、「そうよね。あなたには告白する勇気(ゆうき)ないよね。黙(だま)って見てなさいよ。彼が私のものになるのを」
そこへ良彦が戻(もど)ってきた。彼が席(せき)につくのを待ちかねたように久美が言った。
「ねえ、あなたに大事(だいじ)な話があるの。聞いてくれる?」
「ああ。なに? 大事な話って…。仕事(しごと)のことだったら――」
久美は良彦の手を取ってにっこり微笑(ほほえ)むと、「私ね、前からあなたのこと――」
「やめて!」日菜乃が突然(とつぜん)立ち上がって叫(さけ)んだ。
良彦は驚(おどろ)いて日菜乃を見つめる。良彦と目が合った日菜乃は、ますますオドオドして顔を赤らめた。しばらく日菜乃はためらっていたが、全身(ぜんしん)から絞(しぼ)り出すように言った。
「あたし、あなたのことが好きです! 好きで好きで、どうしようもなく好きなんです」
<つぶやき>告白できない彼女のために、ちょっと悪者(わるもの)になってがんばっちゃいました。
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