彼とは、共通(きょうつう)の友人がいて、パーティーとかみんなが集まるときに顔を合わせることがよくあった。お話しもしたし、何かこの人いいなって思ってた。そんな彼から突然(とつぜん)電話がきた。二人だけで会いたいって。大事(だいじ)な話があるんだって。これって…。
私はソワソワしながら彼との待ち合わせの場所(ばしょ)に。彼は先に来ていて、私を見つけると手を振(ふ)ってくれた。私たちは近くのお店に入る。とっても雰囲気(ふんいき)の良いレストラン。
二人、向かい合って座る。静かな音楽が流れていて、告白(こくはく)をするには…。私は彼のセンスの良さに感心(かんしん)した。彼の方を見ると、彼も何だか落ち着かない様子(ようす)。
二人の前に料理(りょうり)が並(なら)ぶ。たわいのない話で二人は意気投合(いきとうごう)。彼って、こんなに面白(おもしろ)い人とは思わなかった。これは発見(はっけん)である。食事が終わり、二人の前にデザートが運ばれた。さあ、いよいよよ。今が、告白のベストタイミング!
彼もそのつもりだったらしく、私の方をチラチラとうかがっていた。私は素知(そし)らぬふりをする。それが礼儀(れいぎ)というものよね。告白しやすくしてあげなくちゃ。彼が意(い)を決したように私を見つめる。私も彼を見つめて微笑(ほほえ)みを浮(う)かべる。
その時だ。彼の携帯(けいたい)が鳴(な)り出した。彼は慌(あわ)てて携帯を持って席(せき)を立つ。何で? ちゃんと切っときなさいよ!――まったく誰(だれ)よ。雰囲気(ふんいき)ぶちこわしじゃない。
<つぶやき>きっと告白の結果(けっか)を早く知りたくて、友人が電話をかけたのかもしれません。
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