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とのさま日記なるもの

思いのすべてを書きます

待ち人

2021-01-04 12:56:30 | 私の詩
そわそわ
わくわく

待ち人いかに

待ちわびる幸せ

至福のとき

輝きたる

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老夫婦

2020-08-22 22:30:11 | 私の詩

妻は一瞬受話器をとるのに躊躇いをみせた。
夫は訝しげに妻の様子を見た
そしてため息をつく。
八十の齢をむかえ何事にも臆病になる妻に最近は苛立ちを覚える。
一人娘からの電話に出ようとしない妻。
その気持ちが分からないわけではない。

「わしが出るか?」
そう言葉を発せば良いのだが
言ったところで妻は首を横に振り最終的にはそっと受話器を取るのである。
受話器から漏れてくるのは娘のヒステリックな声である。
妻は黙って聴いているだけである。
一度代わってはなしをしょうとした。

「お父さんとは話したくないからお母さんに代わって」
「そんなに嫌だったら帰って来ればよいだろう」
そう強く言ったこともあった。

「関係ない、関係ない、お母さんに代わって」
嫁ぎ先への不満だった。
それを娘は妻に一時間近くも愚痴るのだ。
「そんなこと言っても……」
妻がたまに小さくつぶやいている。
妻は最初こそ我慢をすることを諭していた。
最近はその気力はないようだ。

「なぜ嫁いだんだ。自分から家を出たんだろう」
「お父さんとは話したくない。お母さんに代わって」

もともと娘とは父子関係は良くなかった。
しかし、こんなことが一年以上毎日のように続いている。
妻も精神的に疲れている。
この状態でたとえ娘が戻ってきてもどうなるものでもなかった。
妻から聞くにはかなり娘が婚家と揉めているらしい。
結婚前から分かっていた部分もあったのだがそれを止められなかったことを妻は酷く後悔していた。

「お父さん、あの子はどうなっしまったんでしょう。」
「あいつはどうしたいんだ。」
「わかりませんよ。帰ってこいと言ってもそれは出来ないって」

確かに田舎だということもあって出戻りは目立つだろう
もう若くない。子供がいないだけ良かったのかもしれない。
妻の精神状態も日々悪くなってきた。
塞ぎ混むことも多く、起きられない日も増えてきた。

一人娘なので夫婦は可愛がって育ててきた。それが甘やかしていたのかもしれない。
我慢という言葉を知らなすぎたのだ。

「わし、近いうちにあっちへ行ってくる。様子を見てくる。」
娘に怒られても言いと思った。

とにかく会って話さなければ何も分からないではすまされないのだ。

妻の受話器を取り上げて言った。

「二三日内ににそっちへ行くから待っとけ。来るなって言うんならもう愚痴ってくるな」
「何よ、何にも分からないのに。お父さんは何にも分かってないのに。」
娘のヒステリックな声は妻にも聞こえていた。
妻が泣いていた。声を堪えて泣いていた。

「もう、好きにすればいい」
夫はそう言って受話器を激しく置いた。

直ぐに電話がかかってきた。
娘の携帯電話番号だった。
妻が手を伸ばそうとした。

「もう、出るな」

そう強く言い切ることしか出来なかった。
決して元気とは言えない妻の体調を考えると妻を守らねばとしか考えが及ばなかったのだ。

何度も何度もベルは鳴った。
電話機を部屋のすみに投げつけた老いた父だった。


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湯浴

2020-08-19 16:37:33 | 私の詩

湯浴みする
きらきら光る湯殿
そっと体を沈める
手拭いで腕を擦る
湯がサッと弾く
若ければもっと早く弾ける

深く深呼吸する
今日という人生に感謝する
これぞ生きている証
肌の張りは衰えても

一時の贅沢



*庭の水やりをしてからお風呂に入った
まだ陽が高い夏の夕方
とてつもなく贅沢に思える






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あっかんべー😛

2020-08-03 21:51:07 | 私の詩
姿が消えたとき
思いっきりあっかんべー

姿が消えたとき
もう一度あっかんべー

近くのガラスに写り混んだその顔に
思わず声が出てしまう

怖い顔

姿が現れたとき
にっこり微笑んで

姿が現れたとき
もうひとつおまけの笑顔をそえて

近くのガラスに写り混んだその顔に
思わず声が出てしまう

可愛い

私の顔はどっちなの


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君へ

2020-07-16 22:00:48 | 私の詩
ねえ
もっと思慮深かったよね
一つ一つのことも頑張ったよね
思いやりもあったじゃない

ある日を境に全てが崩れていったけど

結局は薄情だったのね
それじゃあ
誰もついてこないよ

気がついたら誰もいなかったなんて・・









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