恋をすると女はいろいろと策略をめぐらす。用意周到に、あるいは的外れに。
用意周到にしたつもりが、的外れだったということもよくある話だ。
川上弘美の小説には、そんな的外れな女たちがよく登場する。
的外れで不器用でおたおたしていて世あたりが下手だ。
なんだかなあ…と迷いながら生きている。
最近読んだ「パスタマシーンの幽霊」は、そんな女たちであふれた22の短い物語で構成された短編集だ。
「ナツツバキ」の、コロボックル(小人)の山口さんにかなわぬ恋をしてしまったOLの誠子さんも、
「少し曇った朝」の、大好きな陶芸家の潮入さんのところにせっせとおにぎりを作って持っていくのに何も気が付いてもらえないアキちゃんも、
「修三ちゃんの黒豆」の、別れた恋人の愛が戻ってこないのを知りながら呼び出されると出掛けて行って相手にとって都合のいい女になってしまうアン子ちゃんも、
「すき・きらい・らーめん」のお父さんの再婚を受け入れられない律儀な中学生の一子ちゃんも、みんなけなげで泣けてくる。どの物語も読み終わるとしんとせつない。
ちょっとしたことでいそいそしたり、喜んだり、落ち込んだり。
どこにでもいそうな普通の女の心の機微を書いて、川上弘美の短編は絶妙だ。ああ、上手いなあと、感心してしまう。
ところで私は、読んでいる本のなかに、簡単な料理が紹介されていると、作りたくなる。
今回の「パスタマシーンの幽霊」のなかにも、そんな料理があって作ってみた。
―炊き立てのご飯を茶碗によそって、バターをひとかけ、ご飯のてっぺんに落とす。そこにお醤油をちょびっと。そこに輪を書くようにケチャップを絞る。そしてかきまぜすぎないようにかきまぜる。ときどき、ケチャップだけの味の部分や、お醤油味強い部分があるのが大事なのだ―。
結構、おいしかったです。
用意周到にしたつもりが、的外れだったということもよくある話だ。
川上弘美の小説には、そんな的外れな女たちがよく登場する。
的外れで不器用でおたおたしていて世あたりが下手だ。
なんだかなあ…と迷いながら生きている。
最近読んだ「パスタマシーンの幽霊」は、そんな女たちであふれた22の短い物語で構成された短編集だ。
「ナツツバキ」の、コロボックル(小人)の山口さんにかなわぬ恋をしてしまったOLの誠子さんも、
「少し曇った朝」の、大好きな陶芸家の潮入さんのところにせっせとおにぎりを作って持っていくのに何も気が付いてもらえないアキちゃんも、
「修三ちゃんの黒豆」の、別れた恋人の愛が戻ってこないのを知りながら呼び出されると出掛けて行って相手にとって都合のいい女になってしまうアン子ちゃんも、
「すき・きらい・らーめん」のお父さんの再婚を受け入れられない律儀な中学生の一子ちゃんも、みんなけなげで泣けてくる。どの物語も読み終わるとしんとせつない。
ちょっとしたことでいそいそしたり、喜んだり、落ち込んだり。
どこにでもいそうな普通の女の心の機微を書いて、川上弘美の短編は絶妙だ。ああ、上手いなあと、感心してしまう。
ところで私は、読んでいる本のなかに、簡単な料理が紹介されていると、作りたくなる。
今回の「パスタマシーンの幽霊」のなかにも、そんな料理があって作ってみた。
―炊き立てのご飯を茶碗によそって、バターをひとかけ、ご飯のてっぺんに落とす。そこにお醤油をちょびっと。そこに輪を書くようにケチャップを絞る。そしてかきまぜすぎないようにかきまぜる。ときどき、ケチャップだけの味の部分や、お醤油味強い部分があるのが大事なのだ―。
結構、おいしかったです。