ねむたいむ

演劇・朗読 ゆるやかで懐かしい時間 

Pアクト文庫 50回記念公演

2017-03-29 | Weblog
朗読会って、ただ本を読んでいる人を観てるだけで眠たいしあまり面白くないと、誰かが言ってた。
正直、私も、ちょっと思う。
知り合いが出ていて、作品が面白そうで、時間に余裕があって、チケット代もお安くて、と、いろんな条件をクリアしてやっと、じゃあまあ観に行こうかとなる。

そんな朗読公演を、京都のPアクト文庫は、毎月開催している。そして、50回を迎えたそうだ。
50回というと、4年以上続いていることになる。
一回の出演者は三人。照明も音楽もない手作りの空間で、これはすごいことだと思う。

そのすごいの一番が、毎回違う作品を引っさげて出演してきた女優の飛鳥井かゞりさんだ。
飛鳥井さんの朗読が聴きたくて通ってくるお客さんがいて、Pアクト文庫は50回も続いたんだと、私は思う。
飛鳥井さんの素敵な朗読が聴けるのだから、ほかに知り合いが出てなくても、作品が何かわからなくても、時間をちょっと無理しても、チケット代はお安いし、じゃあ、行こうか!となるだろう。
私も10回以上は観に行ったと思う。出演も三回させてもらった。

先日の50回記念公演で、飛鳥井さんは、今まで読んだ中でリクエストの多かった芥川龍之介の「雛」を読むというので、これはぜひ聴かなくちゃ!と、行ってきた。
Pアクトで飛鳥井さんが読んだ作品のなかで、私も一番印象的だったのが、この作品だったのだ。

物語は、老婆が語る子供の頃の思い出だ。
昔は裕福な家柄だったが、明治以降没落し、お金に困って大切にしていた雛人形を外国人に売ることになる。子供だった老婆は、せめて売り渡す前に一目見たいと父に頼むが、手付けを貰った以上、他人のものだと断られる。何度頼んでも父は聞き入れてくれない。
だが、引き渡す前の日の夜、ふと目を覚ますと、寝巻のままの父が枕もとで雛人形を出して飾っていた。行灯のほのかな明かりに照らし出された雛人形と父の横顔…。

冒頭、「これはある老女の話である」と飛鳥井さんが静かに語りだすと、もう物語の世界だ。
土間の暗がりや行燈の仄暗いあかり。少女の、父の、母の、兄の、それぞれの悲しみ、せつなさ、やさしさ…。いろんな伏線が絡まって、どんどん引き込まれていく。
最後の父がお雛様を次々と並べていく場面では、もう涙が止まらない。
芥川、作品構成、憎い、あざとい、上手すぎるぞ(笑)。

私は耳からの読解力がなくて、聴いただけでは意味がわからないことがほとんどだ。
あとで本を読んでああそういうことかと理解する。
でもこの「雛」だけは、飛鳥井さんの声で完成してしまった。

ああ、飛鳥井さんの朗読は別格だ、いいなあ。
これに、内田百閒の「冥途」が付いて(森嶋さん、おまけあつかいでスミマセン。百閒の不思議世界、私も大好きです)、500円。満足の朗読会だった。



Pアクトブログ

劇団大樹&星みずく共同プロデュース公演VOL.1「絵葉書の場所」

2017-03-08 | Weblog
先日、台本の打ち合わせで東京に行ってきた。
新幹線、駅弁、富士山、川野さんたちにお会いできる。楽しみ!という感じで。

雲に隠れて富士山が見えなかったのは残念だったけど、劇団大樹川野さんと演出の斉藤さんにお会いして脚本のことなど打ち合わせし、そのあと中野ブロードウエイをひやかして、時間を合わせてくださったみなさんとちょっと一杯やりながら談笑し、いい気持になって川野さんに送られて一緒に東京駅に向かう。
新幹線の最終には余裕の時間だったのに、中央線の人身事故のせいで電車がのろのろ運転。こりゃまにあわないと川野さんの判断で神田で山手線に乗り換え、走る。
東京駅でも「み群さん、走りましょう!間に合いません」。そりゃ、川野さんはお酒を飲まずに青汁ばかり飲んでいたから走れるでしょうが、私はハイボールを二杯飲んでたんで、「走れないよう~」といいながら、山手線の駅~新幹線の駅~改札~階段、走って走って飛び乗ってセーフ。あー、やれやれの一日だった。

劇団大樹さんにはもう過去に7作品も上演してもらっているのだけど、共同プロデュースは今回がはじめて。
大阪に住むわたしに協力できることは少ないけれど、でも、私もがんばるぞ!

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◆劇団大樹&星みずく共同プロデュース公演 vol.1
2017年12月6日(水)~10日(日)全7ステージを予定。

「絵葉書の場所」

作:み群杏子 
演出:斎藤貴 
製作総指揮:川野誠一

出演:川野誠一、勝又絢子、伊丹あい子、具志堅華梨沙、外海多伽子、俵一、ほか

花美術:横井紅炎(草月流華道家)
ギター:ゆりえ(from ユカリエ)

照明:篠木一吉(創光房)
制作:間宮知子(風ノ環)
制作協力:畠山真実

於:小劇場 てあとるらぽう

◆チケット
前売:3500円 当日:3800円 学生:3000円

<ものがたり>
物語の舞台はカフェ・ブランシュ。店主の光介のもとに若い娘が訪ねて来る・・ウェートレス募集しているんでしょ。私、働いてあげてもいいよ・・記憶と印象の中のような喫茶店で、時間と空間を行き来し、絡まった糸がほぐれ、止まった時間が動き出す。。。

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以上、川野さんのFBより。写真も川野さんから拝借。2015年の「カスタネットの月」の時の写真です。セットも素敵だった。大樹さんの公演は、いつも素敵なセットで、そうだ、森蔭アパートメントだったか、マダムグラッセの家だったかの時にも2人の写真があったと探したら、これ。

でもこれ、なせか大きくならない。小さすぎて森蔭だったかマダムグラッセだったかわからない。



「星みずく」のホームページ
URL : http://hoshimizuku.blue.coocan.jp

(「星みずく」のHPからのメールが、届かない状態になっているようです。
上演依頼とか送ってくださったかたもいるかもしれないのですが、申し訳ありません。ブログのまたはFBからご連絡ください)。